提携米研究会について

米と稲作は、日本の食と農業の根幹をなすものです。
水田稲作は、日本の地域の環境に適し、その環境と多様な生物を守りながら私たちの主食「米」を生み、命を育んできました。
今日、食生活の変化、過度な自由貿易、世界の食糧・エネルギー資源のひっ迫、自然環境の悪化と気候変動、農業者と消費者の高齢化など、米と稲作をめぐる状況は急速に変化しつつあります。
1962年に約120kgだった日本人の米の消費量は、2005年には約61kgと、半分になりました。水田面積も大きく減り、耕作放棄地が増えていきました。
1975年に約790万人いた農業就業人口は、2005年に約330万人と半減し、そのうち65歳以上が194万人と58%に上っています。すなわち、今後10年間で過半の農業者が出荷生産者としての生産能力を失うことは明かです。
これに対し、環境と調和しつつ経済的にも持続可能な稲作農業のあり方が模索されています。2006年12月には有機農業推進法が成立し、日本の農業に有機農業の考え方がはじめて取り入れられようとしています。一方、産業としての農業と基盤となる農地のあり方について、さまざまな政策が検討されています。
従来の自作農、家族経営主体、集落に生産基盤を置く農業生産体制が現実に崩れつつある中で、米と稲作をめぐる今後はどのような形が望ましいのか、地域、環境、経営、流通、消費を含めあらゆる面から検討し、新しい農業、食のあり方を実現しなければ、日本の食と農業は崩壊する局面にあります。
このような認識に立ち、過去のしがらみにとらわれず、未来を見据えて日本の米と稲作の新たな農業、食のあり方を実現するため、提携米研究会を設立しました。
多くの生産者、消費者の参加をよびかけます。

【提携米研究会の目的】
一、農業生産者に対する生産調整等を前提とした各種規制の解除
一、地域内消費、地域間提携、個人・団体を含む産直提携を軸とした生産・流通・消費の拡大と制度的確立
一、食の安全と環境保全を確保するための生産、流通、表示制度の確立
一、自由貿易体制の中での食料主権の確保(主食自給率の確保)
提携米研究会は、この目的を実現するための情報収集、研究、政策提言等を行います。

【事業】
主に水田稲作に関わる農業政策の情報収集、研究、提言、調整
農業政策に対する提言、調整
その他、農業、環境、食に関する調査、研究、提言、調整
提携米商標権・栽培出荷基準の運用管理

注:事業の「調整」には、他の研究、農業運動、市民運動などとの連携やキャンペーン型の運動等も含みます。

【農業生産者に対する生産調整等を前提とした各種規制の解除】
日本の農業政策は、米の生産調整(減反政策)を軸に混乱を続け、農業生産者の経営体力を奪ってきました。1970年から続いてきた強制力を持つ減反政策は食管法廃止と食糧庁解体、食糧法制定によって表面上は終了しましたが、2007年からの品目横断的経営安定対策をはじめとする新たな米および農業政策でも生産調整が必須となっており、農地・水・環境支払い等の環境保全政策であっても、「認定農業者」=生産調整協力者を前提としているなど、事実上、減反政策は継続されています。
生産調整が、言葉通り「生産者の自主的な取り組み」であるのならば、農業政策に生産調整要件を入れる必要性はありません。生産者の自主的な創意工夫による生産や健全な経営を構築する上で、農業政策における生産調整等を前提とした各種規制は不要であり、これら規制の撤廃に向けて取り組みます。

【地域内消費、地域間提携、個人・団体を含む産直提携を軸とした生産・流通・消費の拡大と制度的確立】
主食である米は、政府統制による分配の時代を経て、自由な流通、販売の時代を迎えました。1993年の大不作による米パニックの際、地域内・地域外を問わず、提携、産直を行っていた生産者-消費者は安定かつ公平な米の供給に全力をつくし、その後、自主的な備蓄や緊急時の体制づくりにも取り組んできました。しかし、過去10年以上に渡って「米あまり」が言われ、この提携、産直にかげりが見えていることも事実です。
地産地消や食育、あるいは地域環境保全や地域自立の必要から、提携、産直を軸とした生産、流通、消費の拡大と制度的な位置づけ確立を目指します。

【食の安全と環境保全を確保するための生産、流通、表示制度の確立】
米の流通、表示制度は、旧食管法の流れをくみ、流通上の都合を最優先にした構造になっています。生産者の経営安定と農薬削減、消費者の食の安全、安心に対する適切な検査、流通、表示制度の確立を目指します。

【自由貿易体制の中での食料主権の確保(主食自給率の確保)】
世界の食料需給がひっ迫する中、きわめて自給率の低い日本は食料危機の可能性が増しています。一方、WTO/FTA自由貿易体制が世界の自給的農業を破壊し、食料主権を奪いつつあります。すでに世界では、食料輸出国の輸出規制が起こり、コメや他の食料を求めて暴動が起き、食料不足が深刻となった国もあります。これらに対し、日本における米を軸とした主食自給率の確保と食料主権の確保に向けて、取り組みます。

2008.1.18

提携米研究会 共同代表 黒瀬正 橋本明子

提携米研究会事務局 牧下圭貴
メール forum@teikeimai.net (@を半角にしてください)

提携米研究会への参加希望は、メールにてご連絡ください。
入会には、提携米研究会規約によって、運営会議の承認を得ていただき、会費を納入された方となります。
参考までに、
会費は年間1口5000円 個人1口以上、団体10口以上です。
商標権の使用者は、商標権運用要綱に定められた使用料を会費として支払うこととなっております。
会の運営に参加しない賛同団体は、運営会議の承認を受け、年間20000円以上を支払う者となっています。
商標権等については、商標権運用要綱をご覧ください。

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