新米食べくらべのつどい2015報告

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「来年もやって欲しい」~参加者

昨年初めて開催した、提携米生産者によるお米の食べくらべ会を、今年も開催しました。昨年と違い、今年は2部制にして、参加者をそれぞれ募り、できるだけ多くの方に参加していただけるよう工夫してみました。皆さんのご協力により、両回ともほぼ定員いっぱいとなり、有料参加者25名、招待2名、生産者・事務局8名の35名で、今年の新米を食べくらべました。内容等についてくわしくレポートします(事務局・牧下圭貴)

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2015年12月6日(日)、目白の古民家ギャラリー「ゆうど」をお借りして開催しました。昨年も同じ会場で開いています。
ゆうどを続けて使った理由は、まず、古民家ギャラリーで雰囲気がいいこと、都心で交通の便がいいことがあります。そして、「水」が都心なのに井戸水、しかも、山梨の方からゆっくり入ってくる地下水が湧き出すところであり、その魅力もありました。会場としては、参加者、主催者合わせて25人が限界で、せまいのですが、その分、親しみをつくることはできます。

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当日、生産者は、黒瀬正さん(秋田県大潟村、黒瀬農舎)が地域内のご不幸のために急きょ欠席となり、土橋敏郎さん(秋田県三種町、山本開拓農場)、佐藤和則さん(山形県庄内町、庄内協同ファーム)、横田正稔さん、飛鳥さん(新潟県加茂市、加茂有機米生産組合)が参加しました。
参加者は、生産者・事務局の知り合い、生産者や提携米研究会のfacebookつながりが多かったようです。

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食べくらべは、玄米4種類、白米7種類を炊きます。昨年同様、提携米として、黒瀬農舎(黒瀬)、山本開拓農場(土橋)、庄内協同ファーム(個人生産者3名、小野寺、野口、佐藤)、加茂有機米生産組合(横田)から、玄米を1種類ずつ、白米はうるち米を多品種つくっている山本開拓農場から2、庄内の3名からは各1品種出していただくことにしました。
今年は、玄米が、あきたこまち(黒瀬)、泡雪こまち(土橋)、山形95号(佐藤)、コシヒカリ(横田)、白米が、あきたこまち(黒瀬・無農薬、土橋・無農薬)、泡雪こまち(土橋・無農薬)、つや姫(小野寺・JAS有機)、ひとめぼれ(野口・減農薬)、山形95号(佐藤・無農薬、無施肥)、コシヒカリ(横田・JAS有機)です。

玄米の炊飯は、それぞれ指定の浸水時間をとった上で、圧力鍋にて蒸し炊きをして、それを小分けしてラップにくるんだものです。出すときに電子レンジにかけて温めて食べてもらいました。
白米は、昨年同様7つの炊飯土鍋とガスコンロを用意し、同時に炊きあがるように炊飯しています。浸水は品種ごとに違いますが、研いだ後に水あげしておき、30~1時間浸水させます。そして、洗い米と水を加えて炊飯土鍋で15分火にかけ、20分蒸らします。
昨年、炊飯時の浸水等で、当日の炊きムラが大きかったため、あらかじめ送っていただいた米と、生産者からの標準的な炊き方を参考に本番同様の同時炊飯のテストを2回行いました。それでも、当日は、気温や水質の違いなどもあって、やはり思ったようには炊きあがりませんでしたが、昨年よりは揃って炊きあげることができたと思います。

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昨年、イベント開催にあたり、7つの炊飯器では電源が足りなくなると考え、私自身が日常的に土鍋炊飯をしていることもあって、土鍋炊飯+カセットコンロの組み合わせを選択しました。予算的に、比較的安くて普及している土鍋を用意しましたが、日常使っている土鍋よりはいくつかの欠点があります。鍋の厚さが薄い、吹きこぼれ防止の返しがついていない、中蓋のような工夫がないことです。その分だけ、「軽い」という利点はあります。
この違いは、火加減も変えます。土鍋が厚いと、最初の温度上昇が遅いため、やや強火で火をかけても、中はゆっくりと立ち上がり、その後一気に沸騰したら、その状態が自然に続きます。そのため、やや強火15分、火を止めて20~30分の蒸らしでほぼほぼよい炊きあがりになります。
土鍋ではなく、普通の鍋での炊飯では、やや強火、沸騰したらそのまま15分ほど弱火、止めて20分蒸らしということが紹介されていますが、薄い土鍋の場合は、やや強火15分を前提にしながら、早めに吹いたら、火を弱めて、時間をやや長めにするといった炊き方がよさそうです。

炊飯担当としての感想として、1週間で約1斗(10升)のお米を炊きましたが、炊けば炊くほど、米は奥が深いとあらためて思い知らされた次第です。
一番は、品種ごとの浸水時間や水加減の難しさです。同じ品種でも、生産者や栽培方法、土地が違うと変わってきます。あきたこまちは、吸水が遅いので、たとえば夜にお米をといで、炊飯器にかけておいて翌朝炊きあがる、というのに向いていますが、泡雪こまちは、30分以上水につけておくと、水を吸いすぎてしまいます。軽く水につけたら、すぐに炊飯するというように、早炊きには向いたお米のようです。黒瀬農舎のあきたこまちと、山本開拓農場のあきたこまちでも、栽培条件、乾燥、精米の違いなどで炊き方や味の違いを感じました。
さらに水質も炊きあがりに変化をもたらします。ギャラリーゆうどの水は、飲用可能な井戸水。長い年月をかけて地下にたどり着いた水です。いわばナチュラルミネラルウォーター。飲んでもはっきりとおいしい水です。この水を使うと、事前に使った湘南の水道水(浄水器使用)とは違う感じの炊きあがり方になります。水温の違いもありますが、水質も影響しています。そんな微妙な違いは、味、香りの違いとしてはっきり感じられます。

食べくらべですが、玄米は色つきのシールで区別して4種類を食べていただきました。また、参加者にプレゼントした古代米(アサムラサキ)を同じ大潟村のあきたこまちと混ぜて炊いたものも添えました。白米は、紙製のランチボックスに軽くおにぎり型に型抜きしたものを順番に並べて食べてもらうことに。
合わせて、山本開拓農場の大豆、米で仕込んだ味噌でこしらえた葱と豆腐の味噌汁、手作りの漬物、共同代表の橋本さんが用意したしその実漬けや、ピーマンの煮付けなど、様々な、ごはんを食べるおかずも用意しました。

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試食後は、テーブルごとに生産者との会話、第1部は参加者ひとりから感想を話していただき、30分時間の長い第2部では数名の参加者の方から感想や意見を言っていただきました。
生産者にとっても、参加する消費者にとっても、違う産地の違う品種を一度に複数食べくらべる機会はなかなかありません。
参加者アンケートからは、また参加したい、楽しかった、勉強になったなど好意的な意見を多く寄せられました。翌日の反省会では、もっとゆっくり話ができるといいとか、回数を増やしたら、といった、前向きの意見もいただいています。
事務局の体力の問題はありますが、来年度も引き続きやっていきたいと思います。実は提携米として扱ってはいませんが、会員の生産者もいるので、あと数産地分も一緒にできるといいですね。
生産者からは、もう少し手伝いの人数を増やして、ゆっくり消費者と話ができるようにしたい、直接その場で販売受付ができるような資料や申込用紙のようなものがあってもよい、という意見もいただいています。

炊きたてのごはんは、香りが豊かですが、少し冷めてからのごはんは甘みやうま味が口に広がります。どのタイミングで食べるのか、お米の味や食べ方には奥行きがあります。方法を考えながら、たくさんの人に、お米のおいしさを味わっていただけるようにしたいものです。

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■感想より

米を気に入った理由
・うまみ、粘り
・食感、うまみ
・甘み、うまみ
・甘みよりうまみ
・香りと甘み
・うまみと香りのバランス
・香り、甘み、うまみ
・あまり粘りがなく、パンチがある
・味、食べやすさ、香り
・食べ慣れた品種

ふだんの購入先
・実家や生産者
・産直
・実家や流通団体
・米穀店
・スーパー
・自分でも栽培、産直

お米を買う際に気にしていること
・栽培方法
・無農薬
・味、安全性、生産者の米づくりの姿勢
・産地、栽培方法
・天日干し、農薬、知っている生産者
・品種、味
・味、産地、栽培法、生産者
・味、農薬、放射能
・品種、産地
・価格、農薬、放射能
・産地、品種、味、価格
・産地、農薬
・産地、品種、価格

試食会について
・順番を決めるのは難しい。
・全体に水分が多かったように思う
・家では玄米食
・味噌汁、漬物等が手作りでおいしかった
・納豆ご飯、卵かけご飯で食べてみたい
・また行って欲しい
・産地の映像なども見たい、話ももっと聞きたい
・人数が少しなのはもったいないが、ゆったりしているのは良い。
・もっと多くの人に企画を知って欲しい
・いつもと違いいろいろ試せてよい機会に。
・お米の炊き方など勉強になりました。
・お米の特色についてもっと知りたい
・なごやかに試食と交流ができて楽しい
・ゆったりとした素敵な空間
・安価でいろんなお米が食べくらべられて貴重な会
・生産者と消費者が話ができるこのようなイベントは続けて欲しい



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今回のお米を入手したいときは、以下へお問い合わせいただくか、提携米研究会事務局へお問い合わせください。事務局から、希望の生産者を紹介します。

ライスロッヂ大潟・黒瀬農舎(秋田県大潟村、あきたこまち)
http://www.kurose.com/
山本開拓農場(秋田県三種町、あきたこまち、浅雪こまち)
http://yknojo.exblog.jp/
庄内協同ファーム(山形県鶴岡市・庄内町、ひとめぼれ、つや姫ほか)
http://shonaifarm.com/
加茂有機米生産組合(新潟県加茂市、コシヒカリ)
http://www.okome.com/