2014年12月7日(日)、東京都目白の古民家ギャラリーゆうどをお借りして、提携米研究会はじめてとなる、新米を食べくらべるイベントを開催しました。
古民家ギャラリーゆうどは、都心の幹線道路を一歩入ったところにある庭付きの築80年を超す古民家を改装して作られています。ふだんは、手作り作家の布や服、道具などの展示を行ったり、小さな音楽会やワークショップの場として利用されています。自噴の水が湧いており、直火も使えるということでぴったりの場所として選びました。
ゆうど http://blog.yu-do.noor.jp/
当日は、一般参加18名を加え、28名が参加。生産者は、ライスロッヂ大潟・黒瀬農舎の黒瀬正さん、山本開拓農場の土橋敏郎さん、庄内協同ファームの小野寺喜作さん、加茂有機米生産組合の横田正稔さん、石附健一さんが参加しました。
(11種類を食べくらべ)
食べくらべた品種は、
白米は、
あきたこまち(秋田県大潟村 黒瀬農舎・黒瀬正 無農薬・有機栽培、カモ除草)
淡雪こまち(秋田県三種町 山本開拓農場・土橋敏郎 無農薬・有機栽培、紙マルチ)
キヨニシキ(秋田県三種町 山本開拓農場・土橋敏郎 無農薬・有機栽培、紙マルチ)
コシヒカリ(新潟県加茂市 加茂有機米生産組合 有機認証米)
ひとめぼれ(山形県鶴岡市 庄内協同ファーム・野口吉男、減農薬(除1)・有機栽培)
つや姫(山形県鶴岡市 庄内協同ファーム・小野寺喜作、有機認証米)
山形95号(山形県余目町 庄内協同ファーム・佐藤和則、無農薬・有機栽培)
ササニシキ(山形県余目町 庄内協同ファーム・佐藤和則、無農薬・自然栽培)
あきたこまち(秋田県三種町 山本開拓農場・土橋敏郎 無農薬・有機栽培、紙マルチ)
の9品種、
玄米は
あきたこまち(黒瀬農舎)
淡雪こまち(山本開拓農場)
コシヒカリ(加茂有機米生産組合)
山形95号(庄内協同ファーム)
の4品種です。
このうち、山形95号は、山形県農業試験場が減農薬や有機栽培向けに開発中の品種です。
庄内協同ファームの佐藤さんの田んぼを借りて、山形県農業試験場の安藤さんが除草などの栽培管理を行い、天日干しして仕上げたものです。安藤さんも当日は参加して、食味を確かめたり、品種の説明などをしました。
(試食会の様子)
白米は、炊飯用土鍋とカセットコンロを7セット用意し、試食会会場でいちどに7品種が炊けるようにしました。これを、品種が分かるよう印をつけた皿に一口ずつ乗せて、食べていただきました。
玄米は、前日に圧力鍋で炊き、それを一口大ずつ印をつけたラップにくるんでおき、食べる直前に軽く電子レンジで温めて食べていただくことにしました。
一口ずつといっても、ご飯ばかり11種類あります。全部食べると軽くお茶碗2~3膳分。お腹いっぱいになりますが、それだけでは口寂しいものです。お茶、味噌汁のほか、漬け物などが持ち寄られました。
味噌汁は、山本開拓農場の土橋さんが、自家製の大豆、米からつくった手前味噌を使用し、昆布とけずりぶし(混合ぶし)、葱(神奈川県産無農薬栽培)、大根(九州産)、油揚げ(神奈川県産大豆使用)のもの。
また、山形の庄内かぶの漬け物と、橋本明子さんのしその実漬け、ししとう漬けです。お茶は、熊本県産の無農薬茶。できる限り、提供する材料にもこだわってみました。
(どれが一番おいしかった)
食べた方には、あらかじめ、品種や生産者、栽培方法について紹介する「しおり」を配り、最初から参加した方には、生産者より一言ずつ説明をしていただきました。アンケートを配ってどの品種がおいしかったか、白米、玄米ごとに記入をお願いしたところ、みんな真剣に香りや見た目、色、味を確かめていただきました。
アンケートの結果は、みごとに分かれてしまい、お米は好みだということがよく分かりました。
実は、白米の浸水時間や火入れの時間など、品種の特徴を無視して全品種同じ条件でやったため、品種によっては固く炊きあがったり、柔らかすぎたりして、食べくらべるには条件が悪かったのです。それも説明しながら、味を確かめていただきました。
(またやろう)
生産者が食べくらべるのは、たいていが地域内で同じ品種をいくつか食べてみるぐらいで、別の産地、別の品種を複数一度に食べる機会はあまりありません。農業試験場の安藤さんは、「農業試験場では毎日のように複数の品種を食べて試験をします」とのことですが、生産者も消費者も、こういう機会はまずありません。違う品種を食べるときも、「まず、買ってきた一袋が終わったら、次の品種」というのが普通です。
食べくらべることで、自分がどんな米が好きなのか、生産者にとっても、自分がつくる米と他の産地や品種の味の違いなどがよく分かります。「思っていた以上に違う」ということに改めて気がつくことができました。
11時半にはじめて、予定では14時半まででしたが、15時まで延長して行ったのは、あとから来るお客さんがいたこともありますが、参加者と生産者との間で会話が盛り上がっていたことも印象的です。
古民家で、テーブルを囲んで「一緒においしく食べる」ことって、素敵ですね。
せっかく道具もそろったことですし、生産者と都市の消費者が直接顔を合わせてゆっくり会話をしながら、米を食べてもらい、有機農業などに関心を持つ人をひとりずつ増やしていきたいと思います。
提携米研究会でも、今後、不定期ながら、こういうイベントを行っていきます。
もし、10名ぐらい集めていただければ、米と道具を持って、出張試食会も考えますので、遠慮なくご相談ください。
■ライスロッヂ大潟・黒瀬農舎(秋田県大潟村)
黒瀬正さんと、後継者の友基さんで、あきたこまち、キヌノハダ(もち米)を栽培しています。無農薬・有機栽培と、除草剤1回のみの減農薬・有機栽培のお米です。無農薬米はずっと機械除草と手取り除草でしたが、昨年度よりカモ除草も取り入れました。
収穫したお米は、低温倉庫に保管し、自家精米で消費者に産直しています。年間契約の方には、全国的な不作時でも秋に在庫を持って一定期間お届けすることや、自宅そばのロッジを開放して宿泊可能にしています。発芽玄米餅やせんべいなども商品開発しています。仲間も多く、自立した農業を目指す多くの人のリーダー的存在です。
黒瀬農舎 http://www.kurose.com/(単品購入、年間契約案内等あり)
■山本開拓農場(秋田県三種町)
土橋敏郎さんと、後継者の敏拓さんで、あきたこまち、ゆめおばこを中心に、キヌノハダ(もち米)、キヨニシキ、淡雪こまちなどを無農薬有機栽培、除草剤1回の減農薬栽培をしています。無農薬米は、田植えの時に田んぼに紙を敷いて、草が生えないようにします。時間はかかりますが、草を抑える有機農業技術のひとつです。また、大豆、黒豆、大根、ジャガイモ、人参などの野菜も栽培しています。
味噌や黒豆豆腐など、オリジナルの商品も開発しました。米は自家精米で産直しています。
山本開拓農場 http://yknojo.exblog.jp/
(単品購入は、楽天市場にショップ開設)
http://www.rakuten.co.jp/kaitakunojo/
■庄内協同ファーム(山形県鶴岡市)
生産者自身による農産物加工、販売組織として有機米や餅、枝豆などを産直、生協等で販売しています。
庄内協同ファーム http://shonaifarm.com/
つや姫を出品した現代表の小野寺喜作さんは、だだちゃ豆、米の有機認証栽培のほか、家族で農家民宿レストランを経営しています。
小野寺農園・農家民宿レストラン菜あ(産直の案内も)
http://e-naa.com/
山形95号、ササニシキを出品した佐藤和則さんは、自然栽培(無農薬で有機肥料も入れない栽培方法)と有機栽培を行っています。個人産直もしています。
ひとめぼれを出品した野口吉男さんは、除草剤1回の減農薬有機栽培です。毎年、気象条件に関わらず安定した米づくりに定評があります。
庄内協同ファーム米として、出荷されています。
■加茂有機米生産組合(新潟県加茂市)
コシヒカリや五百万石(酒米)などを有機認証栽培しています。新潟県では近年病気に強い新コシヒカリ(BL)を栽培していますが、昔ながらのコシヒカリにこだわっています。除草は、機械除草、手取り除草中心で、田んぼの状態を草が生えにくく、微生物の多い状態にするよう心がけています。
お米の自家精米、個人産直をしています。
加茂有機米生産組合
http://www.okome.com/