米流通システム検討会開催、11月末には流通制度骨格をとりまとめ方針

2008年10月17日、農水省で米流通システム検討会が開催された。MA輸入の汚染米事件に関連し、トレーサビリティ、原料米原産地表示、流通規制、罰則の強化について検討する会議である。予定では、11月27日までに8回の検討会を開催し、「新たな米流通制度の骨格」をとりまとめる予定としている。事前の申し込みで傍聴が可能であったが、傍聴希望者が多いとの理由で会議室には入れず、別室で音声のみの傍聴となった。傍聴者は40名以上おり、関心の高さが伺えた。
この検討会の今後のスケジュール(予定)は、2回10月23日、3回10月29日、4回10月31日、5回11月7日、6回11月12日、7回、11月21日、8回11月27日となっている。
委員は、座長を高崎経済大学学長の吉田俊幸氏、座長代理に日本獣医生命科学大学応用生命科学部食品科学科教授の阿久澤良造氏、そのほか、京都大学大学院農学研究科教授の新山陽子氏、(株)イトーヨーカ堂加工食品部開発商品担当バイヤー、全国消費者団体連絡会事務局長、全農米穀部長、(社)食品需給研究センター調査研究部主任研究員、亀田製菓(株)取締役、(株)武蔵野常務、全国米穀販売事業共済協同組合理事長付、(株)吉野屋執行役員となっている。
もっとも影響を受けるはずの米の生産者・生産者グループは委員に入っていない。
議論のポイントや問題点として、今回の検討会で対象とする範囲をどうするのか、という課題が上げられた。主食用の米、加工用そのほかの米、いわゆるくず米など原料の範囲の問題と、もちやせんべいといった米を中心とした加工食品ではなく、今回学校給食で問題になったオムレツの増量剤としての米などにまで範囲を広げるのか、といった問題である。そのほか、事業者をどこからどこまで範囲にするのかなどの指摘もあった。また、そもそも、農水省が、米流通制度管理、米の安全性に関するリスク管理の担当省であると同時に、MA米や政府米(備蓄米)については、売買の事業者となっている点の整理ができていないことについての指摘もなされている。
農水省からは、「検討すべき課題」が資料で出されているが、それ以外の点についてどこまで議論されるのかが問題であろう。また、委員からは、加工等、主食以外の米の流通実態や価格、業者数、動向についての資料や、今回平行して行われている内閣府等の検討会との整合性の資料、中間とりまとめが行われたばかりの「販売を軸とした米の検討会」との整合性の資料なども事務局に対して要望されている。
加工業界からは、本来国産米を使用したいのに、生産調整の中でMA米が輸入され、その処理に困っているところで、加工食品業界が農水省に協力してきた経緯もあり、このあたりの整理も必要だとの指摘もあった。
次回の検討会は10月23日である。傍聴は、通常10日から1週間前に農水省ホームページ等で公開されるが、次回まで1週間を切っている。傍聴希望者は留意して欲しい。