「販売」を軸とした米システムのあり方に関する検討会

「販売」を軸とした米システムのあり方に関する検討会
http://www.maff.go.jp/j/study/kome_sys/
は、平成19年10月から月1回以上という密度の高いペースで続けられている。
最新は、平成20年4月25日。
田んぼの小作料の整理、ほ場整備の整理、規模拡大と米の生産費の整理、および、平成20年度の米消費拡大政策についてのとりまとめが資料として出されている。

これまでの繰り返しになるが、
認定農業者(担い手)は、生産調整が必須要件になっている。
認定農業者には、いくつかの支援策が用意されている。
認定農業者が規模拡大の最大の引き受け手と考えられている。
耕作放棄地などの最大の借り手と想定されているのも認定農業者である。
ほ場整備されたところの耕作放棄も増えており、これらのうち償却が終わっていないところは、安い小作料では困る。
生産調整が必須要件のため、認定農業者は規模を拡大しても、米の単作はできず、他品目に労働力やコストが奪われてしまっている。
そこで、たとえば、条件の有利な農地を借りた上で、条件不利な農地を生産調整にあてるなどにより、条件不利地=生物多様性や国土保全、水の保全上は大切な農地を放棄させるようなことにもつながる。
認定農業者で、規模拡大の結果、機械や人件費などの固定的支出が増大し、販売価格の変動によって経営破綻に陥りやすい状況が生まれた。

「生産調整を強制しない」ことや、個々の農業者を土地条件などによって線引きをせず、農地を農業生産として利用する限りできるだけ自由な作付けや経営方法を保証するという選択を議論できない前提で、いくら検討をしても、農業者の経営が好転し、米の販売がよくなるとは考えられない。
 一般的な産業の話であるが、政府が、個々の経営者の経営方法に介入して、その産業の個々の企業経営がよくなるであろうか?
 農業は、国の基本となる欠かせない第一次産業であるが、それと同時に、個々の農業者=本来は経営者が、それぞれの環境(自然、社会)に対応しながら創意工夫する、民間の産業でもあるはずだ。
 農業者の自主、自立を失わせようとする介入はもっとも無駄な税金投入である。
 農業生産者を守りたいのか、農地を守りたいのか、国土の多面的機能を守りたいのか、食料生産量を増やしたいのか、農産物を安くしたいのか、高くしたいのか...。
もちろん、複合的な要素ではあるが、何のために、誰のために、政策(税金投入)を行うのか、考える必要がある。