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2005年の東北確認会で感じたこと

[ 2005年12月31日 橋本明子 ]

2005年の東北確認会で感じたこと
橋本明子


000 一年1回の年中行事の感がある確認会。提携米生産会員のたんぼを見て回る回数が増えて、 年1回会えるのを待っていてくださる方もあり、わたしの楽しみも年ごとに増えていく。今年はとりわけ、みんなに会うのが、 楽しみでもあり、うれしくもあった。
 昨年、台風、高潮、とたんぼのほとんどが被害をうけ、赤茶けたたんぼ、白穂のたつたんぼを、心で泣きながら見て回ったのとくらべ、 今年はどの田も、黄金色の豊作が予想されるのであったから、みんなに会う前から、唇がゆるんで当然だった。





田に 残る稗
 今回は、生産上大きな問題であるたんぼの稗を中心にこの文をすすめたい。除草をどうクリアーするかが、 除草剤に頼らない有機農業の生産者共通の課題である。初期除草を完全にするために、合鴨をたんぼに放す、紙マルチで田植えする、 機械除草を精力的にこなす、冬期湛水、米糠の振り込み、手抜き除草など、さまざまな手法が試みられている。
 米作が経営の柱で、一人15ヘクタールで米作りをする大潟村は、 1ヘクタール1枚のたんぼを、春、均平にならすことからはじまる。 いままでさまざまな除草方法が試みられてきたが、稲が出穂してなお、稗を抜ききれないたんぼが多い。
 稗抜きの最後は人手になる。周辺の村から、たんぼ仕事になれた女性たちが集まってきて、10人、20人とたんぼに列を作って、 手で稗を刈る。
 が、加茂、庄内をはじめ、他の地方では、除草に人手を頼めない、頼みたくても、人が集まらないという。

紙マルチも限界
 加茂では、早くから紙マルチ田植えが普及していた。が、紙マルチは、 3、4年たつと、紙の合わせ目ばかりでなく、稲を植えるときに破られる紙の穴から草が出るようになる。5年以上たつと、稗がいっぱいとなる。
 庄内では、紙マルチ田植機を共同購入して、順に使いまわしている。紙マルチを初めて4、5年たてば、草をおさえきれなくなるので、 他の除草法にきりかえるという。こまかい種もきちんと拾ってくれるのは、合鴨である。イネミズゾウムシなどのやっかいな害虫もたべてくれる。

 しかし、生き物と性のあわない人には無理、またたんぼの立地条件や広さ(大潟村では合鴨をやる人は少数) によっても無理なところがでてくる。今、注目されているのは冬期湛水である。また大潟村では、軟弱な土をかためて、 浅い表土で田植えするなどの方法が試みはじめられた。

農業経営と草
 もう一つ。その人の農業経営の内容如何で、 たんぼの除草におくれが出る場合がある。たとえば、加茂では梨、桃などの果樹栽培と稲作の二つが経営の柱である場合、 果物に手の掛かる時期と、除草の時期がかさなって、たんぼが後回しになる。庄内は、転作田でのだだちゃ豆(枝豆) の収穫期と除草期がかさなる。
 以前、秋田山本町の土橋さんが、大地はカンバス、絵筆こそ持たないが、生産者はその上に自分を表現する、 といった意味の文章を書いたことがある。
何度も同じ人のたんぼをみてまわっているうちに、その人となりがたんぼに表現されていることに気がつく。Kさんらしいたんぼだな、 Aさんらしいたんぼだな、と本人さんを前において、わたしは内心感じ入っていたのだ。こんなやり方で、 その人とのふれあいが深まっていくように思う。
 1週間かけての確認会を終えて帰宅したら、台風14号が北上してきた。ああ、稲穂がたれていたのになあ、と気が気でなかったが、さいわい、 今回はたいした被害にはいたらなかった。ある人が言った。「早く、この手に米をにぎってみたいよ」ぜひ、そうなっておくれ、 たとえ米の市況が下がろうとも、無事に収穫をおえておくれ、というのが、今のわたしの切なる願いである。


0000 ひえぬき風景(大潟村)

















 

2005年確認会報告 山本開拓農場

[ 2005年12月31日 山本開拓農場 ]

■山本開拓農場
橋本、坪井、加藤、榑林、牧下
333  9月3日に訪問しました。前夜から雨が降り、一時は、スコールのような土砂降りの雨でしたが、 午前中は降ったりやんだりの天気となりました。その後天候は回復し、昨日ほどではありませんが、やはり蒸し暑い一日となりました。
 山本開拓農場の土橋敏郎さんは、あきたこまちとキヨニシキを無農薬、減農薬(除草剤1回)で栽培しています。無農薬は紙マルチ栽培で、 4年目となります。今年少しヒエがではじめたそうで、他の提携米産地の紙マルチ栽培でも5年目ぐらいからヒエが多くなるという話を聞き、 今後どのような対策をとるか考えなければとのことでした。今年、山本町では5月下旬まで低温傾向が続き、慣行の早植えの人の苗と、 有機などで遅めに植えた人の生長がほぼ同じになったようです。6月以降天気は持ち直しましたが、8月後半はスコールのような雨に見舞われ、 やはり蒸し暑い日が続いたそうです。
 今年は、どの産地でもイネコウジが発生していましたが、土橋さんは「うちの田んぼでは出ていない」と言っていました。しかし、この日、 田んぼに出てみるとイネコウジが急に発生しています。「昨日まで見なかったなあ」と土橋さん。 秋の高温多湿が今年のイネコウジの原因のようです。
 今年は、イネアオムシがでたり、カラバエが多くいて、出穂前に幼穂の先を食べる被害が出ています。例年クモ、バッタ、カエル、 トンボなど生き物の多い土橋さんの田んぼですが、暑い盛りを過ぎ、そろそろ少なくなる頃です。

335 土橋さんの田んぼ、午前中の雨に濡れている。
















 

2005年確認会報告 黒瀬農舎

[ 2005年12月31日 黒瀬農舎 ]

■ライスロッヂ大潟・黒瀬農舎(秋田県大潟村)
石附、橋本、坪井、前川、加藤、榑林、牧下

 9月2日に訪問。昨年は9月5日に訪問し、台風の被害を目の当たりにしました。ぽきぽきと折れているポプラの街路樹、 真っ白になった田んぼなどかつてない被害のあとには、一度落ちた葉の後に新芽が出ていましたが、その後さらに台風が到来し、新芽が枯れ、 再度咲き、そして冬を迎えました。今回訪問した大潟村は、一見昨年の台風被害などないように見えますが、街路樹には間があき、 片付け終わっていない倒木も見受けられました。
 田んぼは違います。昨年とは違い、稲が青々としていて、稲穂が黄金に色づきはじめ、 ふつうであたり前のうれしい実りの秋を迎えつつあります。
 しかし、もはや「ふつうの秋」はないのかも知れません。この日、確認会で大潟村の田んぼを生産者や確認同行の方々と回りましたが、 気温は高く、前夜の雨のせいかこもったような空気でちょっと外に出るだけで生産者を含めみな疲れてしまい、 熱中症のような状態になってしまいました。9月の秋田でも日中暑い日はありますが、蒸し暑い日はなかなかありません。 虫と植物ばかりが元気です。

221 (桑原秀夫さん)
 無農薬と除草剤1回の減農薬栽培です。あきたこまち。プール育苗3年目です。桑原さんは、春先にプラウ、レベラーで均一に耕運したあと、 5月の連休明けぐらいまではしっかり田んぼを乾かすよう心がけています。乾かすのにはふたつの目的があり、 ひとつは乾田効果で田んぼに元々入っている有機成分を分解して肥料効果を上げるため、もうひとつは、 地盤をしっかりさせることで乗用の除草機が大潟村の広く、湿田化しやすい田んぼに入っても沈まないようにするためです。 2回除草機を入れるための工夫だとも言います。そして、代かきした田んぼではすぐに田植えをすることで草の抑制も図っています。その後、 無農薬の田んぼではさらに手作業の除草を入れています。その数、2.3ヘクタールに70人。それでも少ない方です。
 桑原さんは、畦畔の虫を網ですくい取り調査しています。今年は今のところ、イナゴ25匹、クモ2、3匹、カメムシ0という状況でした。 田んぼではニカメイチュウが多く、モンガレもありました。また、ザリガニがドジョウ目当てに多くいて、 田んぼに穴を開けて水を漏らす被害が増えているようです。

222 (石川賢治さん)
 減農薬(除草剤1回)であきたこまちと餅米のきぬのはだを栽培しています。平年は反あたり10俵取れていますが、 昨年は台風被害で6俵ほどだったそうです。今年は、7月に一度夜15度ぐらいまで気温が下がった日があり、 溝切りして水を入れていなかった石川さんの田んぼでは白穂が少々出ました。その後1度も水を田んぼに入れていませんが、 それでもまだ乾いていないそうで、夏場に雨が多かったことを裏付けています。





223 (阿部淳さん)
 無農薬であきたこまちと古代餅米のアサムラサキ、減農薬(除草剤1回)であきたこまちを栽培しています。今回は、 アサムラサキの田んぼを見せていただきました。7月頃まではきれいな紫色の稲穂をしているそうですが、登熟しはじめた今は穂が黒く見えます。 玄米では黒いのですが精米するとやや白くなるタイプの有色米です。 水路との緩衝地近くで緩衝地が草むらになっているせいかイナゴがとてもたくさんいました。
 阿部さんたちが取り組んでいる馬場目川の上流にブナを植える会の取り組みは1992年からはじまり今も続けられています。 馬場目川はかつての八郎湖に注ぎ込む川で、大潟村の水質にも大きな影響を与える川です。 上流部にブナを植えることで豊かな森をつくるだけでなく、周辺の川や水、森について多くの人が考え、行動するきっかけとなっています。

224 (黒瀬正さん)
 代表の黒瀬正さんです。無農薬と減農薬(除草剤1回)であきたこまちを栽培しています。無農薬の最大の課題は、今も昔も「除草」です。 黒瀬さんは、最近「結局は、草の種を落とさないこと、広がる前に物理的に抑えることしかないのではないか」と考えています。 「田植え後10日で活着できるような健康な苗をつくり、 10日目には乗用の除草機が田んぼに入って草を抑えていくような形が大潟村の無農薬の理想ではなかろうか」とも考えています。ヒエ、コナギ、 ホタルイをどのように抑えるか、無農薬栽培の悩みはつきません。黒瀬さんも2回の機械除草のあとは、手取りで除草を続けています。 10日おきに3回、近郊から作業に慣れた女性たちを雇って草取りを頼んでいます。まるでヒエの収穫をしているかのようです。 風のせいで田んぼの端の方はコナギとホタルイに負けてしまったところもありました。
 今年は春先に異常な低温があり、苗が小さく、葉先が黄色くなったものもありましたが、全体的にきれいに揃っており、 平年なみに収穫できそうです。「台風さえ来なければ」と黒瀬さん。ちょうど台風14号が九州に接近しつつあり、すこし不安げでしたが、 幸いにその後離れて通り過ぎ、昨年のような被害はありませんでした。

225 (桜木義忠さん)
 大潟村でも北部に位置する桜井さんの田んぼは昨年の訪問時被害をあまり感じませんでしたが、結果的には反あたり7俵ほどの収穫で、 黒瀬さんのところとあまり変わらなかったようです。無農薬と減農薬(除草剤1回)のあきたこまちです。昨年ヒエを抑えきれなかったため、 今年は人手を多くかけてヒエの種を田んぼに落とさないよう徹底した手取り除草を行っています。「来年のため」と桜木さん。
 桜木さんによると、「冬の季節風はかつてとても強かったが、近年風が弱くなってしまった。そのせいか、 イモチが少しだが見られるようになった。気候が変化している」と、感じています。また今年のできについて、「見た目には、 慣行栽培の田んぼもふくめてとてもきれいに仕上がりつつあるが、例年ならば慣行の田んぼでは3割ぐらい倒伏していてもおかしくない。 今年は倒伏がほとんど見られないので、もしかしたら収量が少ないかも」と分析していました。

226

黒瀬さんの田んぼ。草取り(ひえぬき)の風景

















2005年確認会報告 遊農くらぶ

[ 2005年12月31日 遊農くらぶ ]

■遊農くらぶ(山形県遊佐町)
橋本、坪井、前川、加藤、榑林、牧下

 昨年から隣接する平田町を中心に新しい生産者が加入した遊農くらぶですが、昨年は、遊佐町が壊滅的な台風被害のため、 その対応に追われ、新しい生産者を訪問することができませんでした。8月31日に訪問。今年は順調な稲の仕上がりです。 代表の尾形修一郎さん、なつさんは、枝豆の収穫に追われていましたが、新しい生産者の田んぼを案内していただきました。
 いずれも肥料や栽培方法を統一して除草剤1回の減農薬栽培を行っています。

111 (前田仁志さん、修子さん)
 平田町の前田さんは、畜産(肥育牛)と稲、大豆の専業農家で、田んぼの規模拡大をしながら、コシヒカリ、 ひとめぼれの減農薬栽培にも取り組んでいます。品種を作り分けることで、作業を分散しています。肥料は、 自家製の牛ふんともみがらのたい肥を中心に、共通する肥料である鮭と米ぬかでつくった鮭パワーとに、牡蠣殻などをあわせたもので、 除草剤1回の栽培です。除草剤1回の田んぼでは、後半ヒエが出るため牛の世話の合間をぬって手取り作業を3回入ったとのことです。※ 写真左は代表の尾形さん、右が前田修子さん



(阿部広志さん)
 平田町の阿部広志さんも、畜産(肥育牛)の生産者で、前田さんと同様に自作のたい肥を中心に共通する肥料設計で無化学肥料、減農薬栽培 (除草剤1回)の栽培をしています。品種はひとめぼれです。この日は別の会合のためお会いできず、田んぼだけを拝見しました。

112 (齋藤良之さん)
 平田町の齋藤良之さんは、コシヒカリの無農薬栽培とササニシキの減農薬(除草剤1回)栽培に取り組んでいます。 無農薬の田んぼには機械除草で2回、手取り除草で1回入りました。ヒエだけでなくコナギも手で取ったとのことです。齋藤さんは、 庄内柿なども生産しています。※写真右が斎藤良之さん







(高橋修二さん)
 従来メンバーである畜産(肥育牛)を営んでいる高橋さんも不在でした。ひとめぼれの除草剤1回、自作たい肥中心の共通する肥料設計です。 毎年拝見する田んぼに行きましたが、今年は順調なようです。草のオモダカが特徴的に多く出ていました。尾形さんの要請で、 試験的に植物から抽出した有機資材を使用してみたところ、対象する使用していない田んぼに比べて明らかに稲が丈夫で実入りもよい状態でした。 しかし、尾形さんいわく「資材が高すぎるからなあ」と、効果には驚きながらも実用はできないとちょっと残念そうでした。
 別の方ですが、近隣で飼料米を栽培されており、すでに収穫されていました。稲わらと若い稲穂ごと飼料として使用するそうです。


113 (石垣芳光さん)
 遊佐町の石垣芳光さんも新しいメンバーです。尾形さんよりもさらに海に近いため、 昨年は本当にひどい台風の風と塩分による被害を受けました。石垣さんは、牛ふんともみ殻のたい肥を中心に共通の肥料を使用しています。 はえぬきは無農薬で米ぬかによる抑草、ひとめぼれとササニシキは除草剤1回の減農薬栽培です。無農薬のほうは、機械除草(手押し動力) を2回、さらに手取り除草を行っています。ササニシキを長年つくっている石垣さんは、「かつてのササニシキ最盛期に比べて気温が高くなり、 10日ぐらいは収穫までが早くなっている」と話していました。ササニシキは気温に敏感なため、だんだん作りにくくなっているようです。 石垣さんによると、減農薬や無農薬の田んぼにはイナゴがたくさんいて、朝夕はそれを狙ってツバメが多く飛んでいるので、どれが減農薬、 無農薬なのかはすぐに分かるそうです。※写真右が石垣芳光さん

114
(土門忠男さん)
 遊佐町の土門忠男さんは、コシヒカリをアイガモで、ヒトメボレを無農薬の機械除草で、ササニシキを除草剤1回で栽培しています。また、 土門さんは畜産農家ではなく、発酵鶏糞、鮭パワーなどを中心に肥料にしています。田んぼでは、 一昨年から農業を継いでいる正昭さんがひとり畦の草刈りをしていました。ヒトメボレは機械除草2回、手取りが1回です。土門さんも、 尾形さんとほぼ同じ地帯に田んぼがあり、昨年はひどい被害を受けましたが、今年は順調で美しい稲姿になっています。豊作が期待できそうです。
※写真右が土門正昭さん

115 (尾形修一郎さん、なつさん)
 遊農くらぶの代表で、遊佐町の尾形修一郎さんは、コシヒカリの無農薬栽培を行っています。尾形さんは、自らも参加する鮭のふ化、 放流事業で戻ってきた鮭を採取する際に取れる鮭を米ぬかとともに肥料化する鮭パワーを共同で開発しています。 その鮭パワーを中心に牡蠣殻なども使った少なめの肥料で健康な稲作りに取り組んでいます。育苗はプール育苗、カモを使った除草が中心です。 カモは、マガモです。マガモは神経質なところがあるため、本当はアイガモにしたいそうですが、どこもアイガモは引き合いが多いため、 なかなか安定して入手できないとか。カモは反10羽いれ、最初の1週間は昼夜を問わずつきっきりで一緒に田んぼにいます。 外敵からカモを守り、カモが安心して田んぼで除草に励んでもらうためには、最初の1週間が大切だと尾形さん。 植える株数も少なくしてカモの動きをよくしています。昨年は、台風の塩害でつらい秋を迎えましたが、 今年は美しい稲姿で尾形さんも満足そうです。やはり今年は蒸し暑く、そのため少しモンガレ病が出ていますが、 このままいけば豊作が期待できそうです。

 

2005年確認会 加茂有機米生産組合

[ 2005年12月31日 加茂有機米生産組合 ]

■加茂有機米生産組合(新潟県加茂市)
黒瀬、橋本、坪井、前川、榑林、牧下

 8月29日(月)に訪問しました。昨年は9月1日です。昨年は、餅米の稲刈りがはじまっていましたが、 今年は慣行栽培でも遅れ気味で、加茂市周辺ではまだどこも稲刈り前でした。
 新潟県では、今年から従来のコシヒカリをいもち病耐性のある新品種コシヒカリBLに変え、 コシヒカリBLをコシヒカリとして認める方針を打ち出し、JAなどで販売した種子や苗もすべてコシヒカリBLとなりました。
 加茂有機米生産組合では、現在コシヒカリBLは使わないという方針で、自家採取により従来のコシヒカリを栽培することにしています。
 加茂有機米生産組合で出している苗は、昨年よりプール育苗していますが、今年は昨年よりうまくいっているようです。 今年はは種量をすこし増やすとともに、温度管理で平均的な芽だしを心がけたそうです。

01 (石附健一さん)
 石附さんの田んぼは、若い人たちが中心となって作業しています。JAS有機が8町歩、新潟県特別栽培が2町歩あり、 有機米の田んぼでは5月、6月に機械除草で1回から3回(乗用は2回まで)、7月からはひえ取りをしています。
 今年は、田植えを早め、初期除草をしっかりできるようにしました。また、冬期湛水の実験も取り組み、一部は、12月に耕耘しておき、 湛水し、春代かきせずに田植えを行い、一部は不耕起湛水にしてみました。今のところ、 不耕起で冬期湛水にしたほうが草は生えにくいという感じを受けています。また、冬期湛水水田の方が稲の活着や分けつがいいとのことです。 全体的にはヒエが昨年より多くなっていて、反あたり70時間・人入っているところもありました。




02(山田均さん)
  加茂市の中心部、市役所の近くの住宅地で田んぼや畑を維持しています。除草剤1回の特別栽培米です。今年も、 山田さんの田んぼのまわりには畦大豆が育てられていました。畦に直接豆を蒔くとハトがやってくるため、苗にしてから畦に移植しています。 住宅地の田んぼについて不都合な点をお聞きすると、近隣に気をつかうため早朝の作業がやりにくいとのことでした。少しずつ農地が減り、 住宅地で影ができて日照が不足するなど難しさは増す一方のようです。

 

 


03 (佐野誠さん・竹光さん)
 佐野誠さんの田んぼは除草剤1回の特別栽培米です。佐野さんは専業で誠さん夫婦と竹光さんの3人で農業を行っています。暑い日差しの中、 息子の竹光さんがひとりヒエ取り作業をしていました。目に稲の葉先が当たらないようサングラスをかけています。竹光さんは現在39歳、 4年前に農業専業としてはじめています。稲作は6町ほどで、委託分も含んでいます。 夏場は畑作を行っているため6町が稲作面積の限界だといいます。「収入は足りないけれど、3人の作業的には今が限界です」と、 現状の農業環境の厳しさを語りました。

 



04 (早川勇さん、孝策さん、正長さん)
 昨年、身体の調子を崩して除草作業が思うようにいかず有機栽培田に除草剤をやむなく使用し、 有機栽培がいったん中断した早川さんの田んぼですが、今年からは3町歩に紙マルチ栽培を導入し、 有機栽培の再取得に向かって取り組みをはじめました。早川さんの田んぼは合計10町歩あり、 7町歩は特別栽培米として除草剤1回の減農薬です。
 今も体調のすぐれない勇さんに変わって、田んぼや畑、きのこ栽培をふたりの息子さんである、孝策さん(31)と、正長さん(28) が担っています。
 紙マルチの田んぼは、今年紙がとけるのが早く、そのため草の出が多くなりました。そこで、 普通の刈り払い機に丸ノコにつかう直径10cmや14cmの歯を工夫してとりつけ、それで株間のコナギを払ってみています。 1日5~6反は作業ができるとのことです。


05 (浅川和夫さん)
 有機栽培と減農薬栽培(特別栽培米)を行う浅川和夫さんは、紙マルチ栽培を続けています。もともと果樹栽培を行っている浅川さんは、 夏場の稲作作業の軽減を考え、紙マルチを平成8年から導入していますが、3年目、4年目あたりから稲の植え株の横からヒエが出るようになり、 年々ヒエがひどくなっています。紙マルチで草を抑制しても、ヒエがあとから出てきて種を残すため、年々土の中のヒエの種が多くなり、 結果的にヒエを抑えられなくなっているようです。畑作との関係で作業体系を変えられないため、 新たな対策をどのようにとるか課題となっています。
※写真左が浅川和夫さん、右は黒瀬正さん

 

 

 

2005年確認会報告 庄内協同ファーム

[ 2005年12月24日 庄内協同ファーム ]

■庄内協同ファーム(山形県藤島町)
橋本、坪井、前川、加藤、榑林、牧下

 8月30日(火)、庄内協同ファームを回りました。今年の庄内地方は、枝豆(茶豆)が空前の作柄に恵まれ、 庄内協同ファームのメンバーも枝豆の収穫作業の追われていました。
 庄内全体でも、水田の畑作転換により枝豆生産が押しすすめられた結果、豊作による生産過剰が起こり、 大豊作の中の価格低迷に苦労しているようでした。
 今年の庄内地方は、春先に低温があったもののも、夏にかけて気温が高く、また、 夜や午前中にスコールのような雨が降るなどして蒸し暑い日が続きました。そのため、イモチは出ていませんが、モンガレ病やニカメイチュウ、 イナゴなどの昆虫の発生が多くなっています。全般には稲はきれいに揃い、作柄に期待ができます。
 ちなみに、山形県では7月終わりから8月終わりの期間、田んぼや畑の畦、高速道路や鉄道、河川の河川敷などの草刈りを全面禁止として、 カメムシ対策を行っています。

001 (工藤広幸さん)
 余目町の工藤さんは、除草剤1回の減農薬栽培で、種子消毒や育苗、本田に竹酢液、木酢液を使用して稲を健康に育て、 病気や虫に負けない稲作りに取り組んでいます。はえぬきで、モンガレが少々出ていましたが、これは夏場の気温が高かったのが原因のようです。 除草は、除草剤1回をうまく効かせるようにしていますが、部分的には手取りに入るそうです。





(佐藤和則さん)
 田んぼだけを見ました。有機栽培7年目の田んぼは、ヒエが一面にありました。佐藤さんは紙マルチ栽培をしていますが、 庄内協同ファームでは共同で紙マルチ田植機を使用しており、ちょうど佐藤さんのときに機械が不調となり、 途中で紙マルチをあきらめて機械除草に切り替えました。紙マルチ栽培を続けてヒエの種が土中にあったことや、 畑作業で田んぼの除草が追いつかず、結果的にヒエの多い田んぼになったようです。

002 (石垣憲一さん)
 余目町の石垣さんは有機米と減農薬米を栽培し、果樹や花卉、椎茸などを生産しています。有機の紙マルチ栽培は4年目ですが、 やはりヒエは増えているようで、3人で4~5日はヒエ取りをしているといいます。イネミズゾウムシはいませんが、モンガレが出ていました。 今年から31歳の忠彦さんが専業で後継者として入っています。






003 (芳賀修一さん)
 三川町の芳賀修一さんは除草剤1回にイネミズゾウムシ対策として畦畔に殺虫剤を使用しています。庄内地方も、 近年イネミズゾウムシの被害が幹線道路沿いに広がっていて、 これまで有機栽培をしていた人がやむなく中断してイネミズゾウムシ対策の殺虫剤を使用し、減農薬に戻るという例が見られます。 イネミズゾウムシにやられると稲がだめになり、そこに草が入って田んぼ一面が草だけになるということもあるからです。 芳賀さんもそのため畦畔に殺虫剤を使いましたが、それでも全面散布していないため、若干のイネミズゾウムシは発生していますが 「そのくらいならば気にならない」とのことです。
 カメムシについても、有機栽培の田んぼや無農薬の田んぼが集中源で、そこから慣行の田んぼにカメムシがやってくるという声を受け、 試験場に入ってもらい実態を調査し、慣行も有機もカメムシの量では変わらないことを示しました。 「事実を客観的に見せないと納得してもらえない」と芳賀さんは語ります。

004 (菅原孝明さん)
 三川町の菅原孝明さんは、アイガモ除草で有機栽培を続けています。また、除草剤1回の減農薬栽培もあります。アイガモは、 3反に40羽を入れています。菅原さんは、電牧柵を使用していませんが、必ず入れた羽数と現状と出すときの羽数を確認し、 生きたまま逃げないよう気を配っています。一度カモが逃げると、近隣の河川などで繁殖し、翌年の春先に稲を食べに来て、 周囲の農家が迷惑するし、そのような疑いをかけられるためです。近年カラスが賢くなり、テグスを田んぼに張っても、 その間をホバリングして入り込み、カモを狙うケースが出てきたと危惧しています。カラスが入ると、カモが恐れて働かなくなるからです。 カラスや野犬、イタチ対策として、近隣でイヌを飼っている方々にお願いし、田んぼの周辺を散歩コースにしてもらうようにしています。 イヌのにおいを周囲につけることで、とくにイタチなどが入り込めないようにしています。また、 田植えを粗植にすることでカモが動きやすくなるよう工夫しています。

006 (五十嵐良一さん)
 鶴岡市の五十嵐良一さんは、庄内協同ファームの米部会長です。昨年は台風被害、 一昨年は冷害以前に東北の地震が紙マルチ田植えの直後に起こって苗が紙の下にずれてしまうという大きな被害を受けました。 とりわけ昨年は4.5俵ほどしか収穫できず、ハウスの倒壊もあって経営的には大きな痛手でした。 その五十嵐さんの田んぼも今年は3年ぶりにみごとにそろった稲の姿がありました。
 五十嵐さんは、有機栽培ではコシヒカリをアイガモで草とイネミズゾウムシ対策を行っています。また、 紙マルチ栽培も引き続き取り組んでおり、こちらは枝豆との輪作田で品種をはえぬきにして元肥無肥料(追肥一部あり)で栽培しています。 どちらの稲も順調に育っていました。
 紙マルチ栽培では紙の合わせ目などからのヒエが出ていましたが、アイガモの方は、一度も除草に入っていなくても問題ありませんでした。 枝豆など夏場の畑作と有機栽培の両立にめざして五十嵐さんの考えが、形としてあらわれたようです。

007 (小野寺喜作さん)
 鶴岡市の小野寺喜作さんは、プール育苗でひとめぼれの苗を育てています。有機はアイガモで、減農薬は除草剤1回でしたが、 今年は加えてイネミズゾウムシ対策の農薬を1度使用しています。ぎりぎりまで待って検討しましたが、 結局被害が広がりそうなので使用したといいます。また、アイガモ田でも奥の方はずいぶんヒエが出ていました。 聞けばアイガモを入れてから1週間目ぐらいからカラスがアイガモをとっていき、その影響でアイガモの働きが悪かったそうです。とくに、 田んぼがとろとろになっている方が、テグスを張っていてもカラスが入ってきたそうです。その結果、ヒエ、コナギがずいぶん出ているとのこと。 小野寺さんも今年は豊作の枝豆作業に追われていました。





008 (志藤正一さん)
 庄内協同ファーム代表で藤島町の志藤正一さんの田んぼは、有機でひとめぼれをアイガモ、コシヒカリを冬期湛水不耕起にて栽培しています。 今年は冬期湛水田とアイガモ田を入れ替えることで草の抑制に取り組みました。イネミズゾウムシが出る地帯ですが、冬期湛水不耕起の方も、 昨年までアイガモを入れていた田んぼなのでイネミズゾウムシによる被害はありません。冬期湛水は、秋に稲わら、たい肥、 ぼかし肥を入れて湛水し、雪解け後にも4月以降何回か水を入れてそのまま田植えします。1回ヒエ取り(のべ40時間・3人) に入っているだけで目立ったヒエはありませんでした。餅米は紙マルチで4年目になりますが、 イネミズゾウムシは風が吹いて寄ったところの畦ぎわが5メートルほど被害を受けたそうです。
 なお、今回、志藤さんの豚舎も見せていただきました。こちらは、自然農業の手法で、もみ殻を厚く、深く敷き詰めた開放式の木造豚舎で、 バークシャー種を育てています。一般の養豚のようにしっぽを切らなくても、 ストレスでしっぽを噛み切られることのないのびのびとした豚の様子には驚きました。 飼料は非遺伝子組み換え配合飼料を使用しているとのことです。

009 (野口吉男さん)
 羽黒町の野口吉男さんは、ひとめぼれを除草剤1回の減農薬栽培しており、 安定的な収量と稲姿で庄内協同ファームの指標ともなっている田んぼです。昨年からイネミズゾウムシが畦ぎわを中心に出はじめ、 対策に頭を悩ませましたが、今年はやむなくイネミズゾウムシ対策に殺虫剤を1回使用しました。毎年畦シートを張って、 水漏れや水落ちをなくし、機械除草をはじめていねいに稲作りをしているだけに、イネミズゾウムシが入って稲株が抜け、 そこから草が入っていくのは見るにしのびないようです。実際に、イネミズゾウムシが大繁殖すると、小さな苗がだめになって草が生え、 さらに病虫害と草が広がり、田んぼに壊滅的な被害を与えます。生産者は難しい選択を迫られています。


010 (斎藤健一さん)
 イネミズゾウムシ被害により昨年から「有機はひとやすみ」している羽黒町の斎藤健一さんは、 庄内協同ファームの中で提携米ネットワークの理事を担当しています。今年も除草剤1回、イネミズゾウムシ対策の殺虫剤1回を使用しています。 庄内協同ファームでも山ぎわにある斎藤さんの田んぼは例年もイナゴが多いですが、今年はとくに多く、カメムシも心配だといいます。

 

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