2004年・提携米産地確認会 高生連
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2004年・提携米産地確認会 高生連

[ 2004年12月31日 橋本明子 ]

 ■2年ぶりの高知~橋本明子


1.2年ぶりの高知

 提携米確認会で、6月23、24日、25日と関東から、石附、牧下、橋本の3人が高知のたんぼ確認にでかけた。石附さんははじめて、 牧下さんとわたしは2年ぶりの訪問である。空港には、高生連の松林、星川二人が2台の車で出迎えてくれた。今回、室戸地方を除く高知全県を走行、 全走行距離約450キロ、訪ねた生産者14人、見学したたんぼ30数枚にのぼった。高知県内に高速道はおいおいとのびてきているが、 わたしたちが走るのはすべて一般道、それもたんぼへ出向くとなると、運転ひとつをとってもかなりの技術と時間を要する。 松林さんは携帯電話をはなさず、細かい時間配りをして、どのたんぼにも、わたしたちが行き着いたときには、 ちゃんと生産者が笑顔でむかえてくれたのであった。
 わたしがはじめて高知県のたんぼをみせてもらったのは'93年であるから、もう11年前のことである。当時、 窪川では紙マルチの手植えがはじまり、几帳面な鬼頭さんは前もってたんぼの長さに紙を切っておくという入念さであった。 手間のかかる田植えには消費者も参加した。南国では、合鴨を放して除草を試みる生産者のたんぼをみせてもらったが、 除草に新しいやり方が導入されたというばかりでなく、たんぼにいきものがいるということで、地域の人々とのふれあいが生まれ、 話題もうまれることを知った。

2.狭い土地をうまくいかす
 高知県は海と山にかこまれ、平坦地が少ない。農業で生活していくためには、土地利用のさまざまな工夫があり、温暖な気候もそれを助けてくれる。 かって、米は2期作であった。いまは1期を米とし、2期めを他作物とする例が多い。富家の米の後作の大豆がそれにあたる。 米だけを収入の柱とする生産者はむしろ少なく、ハウスもののナス、ピーマン、ニラ、ブロッコリーなどを主力生産物とし、 あわせて米もつくる生産者がほとんどである。念のため付け加えると、たんぼは大豆は別として、1年1作となっており、除草効果を高めるため、 冬期間、数回の耕耘を繰り返すのが一般的、また地力増進のために牧草をまく場合もあった。気候温暖のため、草は良く伸び、虫もおおいのである。 ハウスは設備の関係で同じ場所での生産で、そこでは、連作障害を避ける工夫がこらされている。
 提携米ネットワークで生産者栽培基準を定めてから、高知のたんぼに確認にでかけるのは、今回で3回目である。 高知の生産者のプロフィールはというと、ほとんどが“いごっそう”の通称のとうり、自分の農法に確信をもっている人が多く、 自分はこうしているとはっきりとした主張を述べる。そのうえで、秋田はどうかいのう、山形はどんなか、新潟はどんなふうか、という質問がくるが、 それは参考にさせてもらうという感じである。3回の確認会いずれにも、秋田、山形、 新潟の米生産者にも同行してもらってお互いの経験を深めてもらっている。

3.会うたびに年をとる
 3回目、2年毎に会うとなると、わたしのようなシニアー組は、ふと、ああ、2年たってすこし00さん、 しろいものが髪にまじるようになったなあ、と思うケースがある。ざっくばらんな門田さんは、もう腰が痛うて痛うてかなわん、 と述懐し腰痛みの少ない省力除草として、ジャンボタニシは助かりますという話であった。前々回は、南国の村上さんが、 おとうさんを亡くされたばかりで、お母さんと二人でこれからはがんばります、と、無農薬米作りにういういしい感じであったが、 今回はさすが落ち着いて、変わらずの無農薬挑戦であった。前回、癌手術のあとで、 顔色がよくないのにたんぼを案内してくださった宿毛の西山和さんにはもうお会いできないことが同じたんぼに立ってみてわかった。 跡継ぎの和明さんに案内してもらい、たんぼの合鴨を守るために烏を追う工夫、増えすぎたジャンボタニシを退治できないかと、四万十川で鯉を釣り、 タニシが伝い歩く流れに放流した話など,生き物好きならではの話をきくことができた。
「富家ライスファミリー」(野市町)と、「チョットいいかもクラブ」(愛媛県一本松町)は熟年を逆手にとっての挑戦である。富家の大豆作りは、 まだたんぼに稲があるうちに、畦から、動力噴霧器で大豆の種をたんぼ一面にばらまく不耕起作りで、収穫にむらがあるのが難点だが、 省力ではすぐれている。

「いいかもクラブ」には、今年画期的な出来事が二つあった。定年退職者の米作りを看板にかかげ、除草は合鴨におまかせと、 鴨のトレーニングに励み、シーズンともなると、除草を必要とするたんぼのあちらこちらと、鴨は出前除草に励む。たんぼの一枚は一本松小学校の5、 6年生と餅米を作る。もう10年にもなるが、田植え、鴨入れ、収穫はこどもたちといっしょにやり、除草は鴨にお願いする。 秋には収穫を祝って餅をつき、町内のお年寄りに配る。この試みを「環境保全型農業コンクール」で発表したところ、奨励賞を受賞、 全国から反響があった。いままで値段の高かった鴨も、業者の申し出をうけて、格安で入手できたし、なによりも、 クラブの面々が元気をもらったことが大きかった。
 次は、川から鯉の卵をすくってきて、たんぼに放し、養殖と除草の実験をはじめたことである。なんでもやる、の意気込みで、 米の販売にもゆうパックをとりいれ、「鴨といっしょに米作り」とうたってなかなかの売れ行きだとのことである。
 南国・田島さんは地域の議員が忙しいおとうさんに替わって、息子さんの誠さんが米作りの主力をになっている。 肥育牛160頭と稲作のタイアップで、稲藁は全部牛舎で使い、たんぼの裏作は牧草である。いまのところ順調で、 将来は牛をもっと増やしたいと意欲満々であった。息子さんがたんぼのオペレーターを担うようになったのは、 窪川の議員である島岡さんもおなじである。島岡さんはたんぼ担当であったが、労力が軽くなったぶんを、町の有志で作る保育園のビオトープ作りや、 たんぼと池のある伝統的な庭造りなどに力をいれている。また、おくさんの和子さんと力をあわせ、地域の物産興しにも熱心、 かって窪川に原発はいらない、とたちあがったぶん、いまはソーラーパネルで自家発電して、四国電力に逆に電気を売るようにもなった。

4.がんばるはたらきざかり
 南国の門脇さんは、高知で開発されたパプリカを主力に、米は低農薬中心だが、すこしを無農薬挑戦しており、 ジャンボタニシをうまく分散して使って、去年、今年は成功とみている。たんぼの一部は国分川沿いで、川は見えない程低くを流れているものの、 たんぼのまわりにはとんぼが乱舞していた。早くから姿をみせ、数も多いので、今年は秋、冬が早いのではないかとの門脇さんの感想である。
 米作りの熱心さでしられる南国の西村さんのたんぼは、はやくも出穂していた。じゅうたんをしいたように丈がそろい、稗もないたんぼは、 今年から導入したジャンボタニシの働きが大きかったそうである。おなじ南国でもここはまだジャンボタニシの自然侵入がないため、 それを嫌うひとが、西村さんのたんぼのふちから、目につくタニシをすくって殺していると、笑う足元に、その証拠があった。 ジャンボタニシは増えすぎると、稲まで食い荒らすので、評価は有機農家によりさまざまである。うまく管理すれば除草には効果はあっても、 合鴨や鯉のように管理しきれない部分をどうするか、また、周辺にひろがった場合はどうするかなどの課題をかかえている。 タニシは強靱でどんな環境にも適応するようなのでなおさらのことである。

 窪川の鬼頭さん。はじめに述べたように紙マルチに挑戦、いまは減農薬の米作りだが、 稲本来の自然にしたがった作り方へのこだわりは相変わらずである。健苗を作り、苗に従った田植え、自然の資材を使用することをこころがけている。 同じ窪川でも山間にある井上さんのたんぼは、いのししに荒らされる。山には鷹や狐もいて、 ほかよりもおいしい稲といろんないきものがいる無農薬のたんぼをめがけてやってくる。さまざまな防御策も決めてがない。 井上さんはアキタコマチ一本でやってきた。

5.高生連への信頼
 高知には一生懸命生産にはげむ有機農家が多い。にもかかわらず、県内消費は限界があり、遠隔地への出荷は個人レベルでは難しい。 そうした農産物を集めて、ぜひ都市の消費者にたべてもらいたいとの松林さんの熱意がベースとなって、高知生産者連合が結成されたのは、 いまから16年前のことである。結成前の「土と生命を守る会」のころから高知の生産者の面々と顔なじみだったわたしは、「提携米ネットワーク」 たちあげのときも、減反裁判のときも、多くの高知の生産者の方々のお世話になった。
 今回、牧下さんは、それぞれの生産者に国認定のJAS有機や特別栽培制度のことをどう思うかと聞いてまわった。 どのひとも国の認証はとっていず、必要とも思っていなかった。 自分の信条がはっきりあらわされているカード付きの生産物が消費者に届けられている現状でよい、「無農薬」 の表示付きの高知県の認証をもっているひとはいたが、それで自分の生産物の評価がどうこうなるとは考えていないし、なかには、 表示にはウソが多くて信頼できないという意見もあった。また、認証を必要としているのはあなた達消費者でしょうという意見もあった。
 一同は各人それぞれの作り方を認め、情報公開する高生連のやり方を認めているのだ。高生連が生産者の農産物を責任をもって集配、 販売している実績が評価され、信頼されていることをわたしは感じた。高知県は車でまわれば広く、奥行きが深い。 近場の生産者は自分で生産物を持ち込むが、たいていは遠くなので、高生連は2ルートにわけ、5人の職員が交代で週2回、全県下を集配してまわる。 米のほか、果物、野菜、自然塩などをふくむ加工品も加わる。最近、ニラなど鮮度を尊ぶ野菜は、直送の便も図られるようになった。
 最後に高生連の事務所兼集配所兼作業場につれていってもらった。10名たらずのスタッフは、それぞれいそがしそうであった。うれしかったのは、 米保管のため借りている、伝統的な倉作りの冷蔵保管庫を目のあたりに見たときである。堂々たる倉で、ここなら安心と思った。 (04年7月1日)

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