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2002年 東北産地確認会 庄内協同ファーム

[ 2002年12月31日 庄内協同ファーム ]

■庄内協同ファーム(山形県三川町ほか)8月1日(木)

 庄内協同ファームでは、提携米出荷生産者と提携米出荷生産者ではない生産者がいます。今回は、 若い生産者などを中心に12カ所を回りました。
 昨年数名のメンバーが紙マルチ田植機をレンタルして実験しましたが、今年は、 1台の紙マルチ田植機を購入し8人が交代で紙マルチ栽培に取り組みました。その面積は7町5反ほどです。
(工藤広幸さん)
 紙マルチ栽培に取り組み現在転換期間中です。虫は少なく、ヒエが少々出ていました。
(富樫英治さん)
 紙マルチ栽培ですが、風が強いため作業に時間がかかることが難点だとのこと。田植え予定日の前日に、 前の人のほ場で紙マルチ田植機を実際に体験し、自分のほ場で田植えをしますが、スケジュール通りにいかないという悩みがあります。
(石垣憲一さん)
 成苗ポット植えにより、除草剤1回で栽培しています。また、紙マルチにも取り組んでいます。紙マルチ栽培では少々欠株がありました。 ポット苗ほ場では、イナゴやアマガエルが見られています。
(今野裕之さん)
 アイガモと不耕起栽培に取り組んでいます。95年から無農薬で現在有機農産物となっています。 アイガモは反15羽で畦沿いのネットのみで他と分けています。手取り除草も併用しています。
(菅原孝明さん)
 有機栽培7年目で、ヒエの種が多くなりヒエ対策が問題になっています。カモ、トロトロ層、紙マルチなどさまざまな方法を試していますが、 楽なのは紙マルチではないかとのこと。
(芳賀修一さん)
 紙マルチの最後となり田植えは5月23日でした。イネミズゾウムシの被害が目に付きました。ニーム(インドセンダン) を焼酎に漬け込んで散布していますが、効果は不明とのこと。
(五十嵐良一さん)
 紙マルチを使用しています。またトロトロ層での抑草も行っています。イネミズゾウムシ被害が大きく、 またトロトロ層のほ場ではコナギが多く見られました。野菜の方では豆やきゅうりに対してニームが効果的とのことです。
(佐藤清夫さん)
 昨年、紙マルチの実験をして欠株や紙マルチの間からの草がひどかったのですが、昨年の影響が残っていて、コナギが多く出ていました。しかし、 ヒエは少な目で、欠株も昨年に比べれば大幅に減っています。
(小野寺喜作さん)
 アイガモとトロトロ層栽培ですが、トロトロ層のほうは今年あまりうまくいかず、あとからアイガモを入れたとか。アイガモは反10羽投入、 タヌキやネコの被害があります。田面にテグスを張っているためカラスの心配はないようです。
(小野寺仁志さん)
 トロトロ層の栽培では、2回代かき、米ぬかペレット2回投入を行っています。例年よりコナギが多くなっっているようです。ヒエは抑えられても、 コナギが出てしまうのが難点とか。
(富樫俊悦さん)
 富樫俊一さんの後継者です。野鳥復帰目的も含めた冬期湛水とトロトロ層による栽培をめざしています。くず大豆、米ぬかペレットを利用し、 代かきは1回だけで田植えをしています。除草剤1回の家から一番遠い水田では、イネミズゾウムシが大発生し、稲が半分壊滅、 ヒエは稲と同様なくなりましたが、日光が当たるためコナギをはじめ草が大発生しました。ようやく7月になってある程度稲が大きくなりましたが、 半作以下はまぬがれないようです。
(志藤正一さん)
 トロトロ層不耕起とアイガモの栽培です。カモは反13羽投入。元肥には豚糞、放線有機や天恵緑汁などを活用しています。また、 ニームと唐辛子エキスの混合液を病害虫予防に葉面散布しています。
(野口吉男さん)
今回一番早かったのが野口さんの田で、すでに穂が出ていました。トロトロ層の栽培でこのほ場が一番きれいに仕上がっています。
(斎藤健一さん)
 毎年見ている田んぼです。今年は例年よりも揃いがよいようでした。
(各地を回ってみて)
 今回、目にとまったのは、紙マルチとトロトロ層栽培の普及です。紙マルチの方の抑草効果が高いため、生産者からは高い評価を得ていますが、 コスト面、作業面が今後の課題です。
 また、紙マルチのところでもイネミズゾウムシの被害を抑えることはできず、今年は昨年以上に被害が目に付きました。 イネミズゾウムシへの有効な対策が見つかっておらず、これからの大きな課題です。

 

庄内協同ファームは第三者認証をとっています。ここは有機転換中ほ場
イネミズゾウムシにやられた稲。
田んぼの周囲を広くとっているのは、減反のせい。
庄内協同ファームは広い。1日かけて12生産者を回りました。
虫除け祈願。地域でやっています。
菅原孝明さん
草も元気です。除草剤を使わないと、この対策が大変。
五十嵐良一さん
アイガモは、引き上げたはずなのに。
1羽だけ、逃げ回り。
今も田んぼにいます。
小野寺喜作さん
我が運命や、いかに。
小野寺仁志さん
富樫俊悦さん、試行錯誤のまっただなか。
イネミズゾウムシにやられた田は、日光が入り、草が生えやすくなります。
ここも田んぼなのですが…。
虫と草に負けてしまった田んぼ
稲の花をみつけました。
志藤さんご夫婦。恥ずかしがって、顔は隠したままです。
野口吉男さん
斉藤さんの田んぼ
斉藤健一さん

 

 

2002年 東北産地確認会 遊農くらぶ

[ 2002年12月31日 遊農くらぶ ]

■遊農くらぶ(山形県遊佐町)7月31日(水)

 遊農くらぶでは、尾形、土門、高橋の3生産者のほ場を、清水、橋本、沢里、前川、牧下が確認しました。
 尾形さんが組合長をつとめる升川鮭漁業生産組合は、鮭の稚魚養殖、放流事業を行っていますが、鮭と米ぬかを利用した有機肥料を生産しています。 4月に農業試験場で分析を行い、肥料として本格的な活用をはじめました。
 昨年より尾形さんが取り組んだ土壌分析による微量要素補給テストは、天候が良すぎたため肥効が効き過ぎ、一部倒伏したそうです。 今年も引き続き土壌分析をもとに肥料設計を行うことにしています。
 除草は、アイガモがもっとも効果あり、適しているとしてアイガモ主体に切り替えました。しかし、キツネ、タヌキ、カラスによる被害があり、 特に夜間の被害が大きいため、アイガモを田んぼに入れた当初は数日間毎日徹夜で見張るようにしているとのことです。
 この苦労を行っても、アイガモ除草は効果が高いと尾形さんは判断しています。
 土門さんは、昨年まで行っていたコイ除草を中止しました。アオサギによる被害が大きく、実効性がなくなってきたためです。今年は、 手取り除草でしのぎ、対応しています。
 高橋さんは、肉牛肥育が主体ですが、BSE問題で経営に影響が出ています。稲は例年通りですが、モンガレ、カメムシの被害が昨年から出ており、 今年も気になるとのことでした。
 昨年まであまりみられなかったことですが、他の生産者のほ場で、水田畦畔に除草剤を使っているところが見られました。

 

遊佐にもトノサマガエルが。
アカガエル。
大豆畑の尾形さん
稲の根の具合を見ます。
これが稲の根。
もう、穂がでるところです。これは、穂を開いたところ。
土門さん。
高橋さん。牛の生産農家です。BSE騒動で苦しんでいます。
高橋さんの犬。高橋さんはとても動物好き。
高橋さんの犬は、水浴びが好き。
尾形さんが稲の状態を確認しています。
また、犬が。

 

 

2002年 東北産地確認会 山本開拓農場

[ 2002年12月31日 山本開拓農場 ]

■山本開拓農場(土橋敏郎さん・秋田県山本町) 7月29日(月)

 土橋敏郎さんのほ場を、清水、沢里、手塚、牧下にて確認しました。無農薬栽培ほ場は紙マルチ3年目とあって、紙マルチのずれもなく、 草もなくきれいにそろっていました。低農薬栽培ほ場も、除草剤1回の使用ですが、草もなく、そろいもよい状態です。
 紙マルチ栽培は、田植え時に天候に左右されますが、毎朝の天候によって低農薬ほ場と紙マルチほ場で田植えを切り替えることにより、 紙マルチ田植えの精度と作業効率の向上を実現しています。
 今年の稲の状態に関しては、土橋さんもこれまでのところ満足している様子。
 昨年も、カエルやヘビの多さに驚きましたが、今年は、アマガエル類だけでなく、トノサマガエルなどのアカガエル類が非常に多くいました。また、 夕方になるとクモが稲と畦の草の間、稲の葉先と葉先の間に糸を張り、そこに小さな羽虫がたくさんつき、 その下にはアメンボがおこぼれを狙って集まっていました。
 年々生物層が豊かになると土橋さんの弁です。
 先日来のBSE問題で、たい肥での骨粉使用への問い合わせがあるため、コスト増になりますが、 リン酸分として骨粉からグアノへの切り替えを行いました。グアノは輸入品のため土橋さんとしては使いたくないとしています。

 

土橋さんの記録帳。天候と作業が書いてあります。
紙マルチの筒。トイレットペーパーのようにまいてあります。
土橋さんの田んぼにはクモや小動物がいっぱい
元気に育っています
タニシが
カエルが
夕方近くなるとクモが巣を張っています。
ここにもカエルが
今年は調子がよさそうな土橋さん。
地下からのわき水はとてもきれいです
トノサマガエルを久しぶりに見ました
大豆畑です。こちらも調子良さそう
これが田植機。
紙マルチをつけても、つけなくても田植できます。
夏の夕暮れ。

 

2002年 東北産地確認会 黒瀬農舎

[ 2002年12月31日 黒瀬農舎 ]

■ライスロッヂ大潟・ 黒瀬農舎 7月28日(日)
 恒例の生産者の勉強会を兼ねての確認会です。参加者は、 生産者が、黒瀬、山本、桜木、丹野、小野、石川、桑原、花塚、鈴木、高野、川島、小林の12名(敬称略)、確認は、清水、牧下、 県民生協やまゆりの沢里専務理事が参加しました。

(高野健吉さん)
 今回確認したほ場は、高野健吉さんのほ場で、 17ヘクタール全面積をJAS法有機認証取得しているほ場です。
 種子消毒は、温湯60度10分とし、放線有機、米ぬか発酵ぼかしペレットが元肥です。3回代かき、 カルガモ放鳥による除草作業を中心にしています。
 カルガモはアイガモと同様で、反あたり10羽を入れています。また、ヒエなどの対策として、除草機で2回は入るとのこと。
 木酢液をほ場に原液流し込みして、病害虫予防をしています。
 また、水口に木炭を入れ、少しでも水質の改善に努めています。
 JAS有機に関しては、それほど取得が難しくはなかったということですが、 畦の間で車の往来に使う砂利道の砂利から降雨時に汚染物質がほ場に入る可能性があるのではないかとの指摘を受け、 畦に近い砂利道側に暗きょをしつらえました。この経費が一番かかったそうです。逆に、 この作業によって道路側からの雨水浸透が減ったので田を乾かすには都合がよくなったとのこと。
 無農薬化してから6年目、カモを入れてから5年目ですが、雑草の量は年々増えているということで、今後も除草対策が課題です。
 カルガモは、各ほ場ごとに比較的大きな小屋と水遊び場、休憩場がしつらえられており、夕方には小屋に集め、 朝に放すという形で管理を徹底しています。これにより、カモの損失はほとんどないとのこと。
 栽培品種はアキタコマチと酒米で、百貨店などJAS有機マークが欲しい取引先と酒米はオーガニックとして出荷していますが、個人、 団体へは従来通りに供給し、あえてJAS有機マークはつけていないとのことです。
 基本的には、環境問題を地域で考えるきっかけになればよいとのことでした。

(黒瀬正さん)
 もう1カ所は、定点観測となっている黒瀬正さんのほ場です。除草剤1回と無農薬のほ場を確認しました。 昨年まで手押し動力の除草機を活用していましたが、今年は、乗用8条の除草機を導入し、作業効率が高くなりました。
 それでも、ヒエなどの除草には例年通り多くの人手作業を行っていました。
 今年、三井化学の水田用微生物除草剤の試験を無農薬ほ場の一部で行っていました。ヒエのみに感染するカビ菌で、 ヒエを初期に枯らす効果があります。
 実験の効果は上がっているようですが、時期と使用するタイミングによってすべてのヒエを抑えるとはいっていないようでした。
 三井化学は、有機農産物に使用できる生物農薬登録をめざしているようですが、農薬登録された場合、 たとえ有機農産物に使用できる農薬として有機農産物栽培の別表に記載されても、農薬である以上、 今度は無農薬栽培には使用できなくなるという矛盾をかかえてしまいます。
 現在のところ、このカビ菌は生物資材であり、使用に問題ありません。
 また、水面に流し込むため界面活性剤成分の問題もあるかも知れません。しかし、現状でも、有機農産物に使用できる生物農薬、天然系農薬で、 界面活性剤が使用されているものもあり、事実上黙認されています。
 生物系農薬のあり方については、農薬登録することで安全性、環境リスクが実験で確かめられることもあり、 功罪含めた考え方をまとめていく必要がありそうです。

(その他)
 黒瀬農舎では、グループで放線有機を共通資材として共同購入、使用しています。これまではポリ袋、小口での購入でしたが、 メーカーと交渉してプラスチックコンテナへの切り替えを行いました。 クレーンやフォークリフトなど生産者の都合により現在4割がプラスチックコンテナとなり、大量のポリ袋を使わなくてよくなりました。また、 メーカーよりコンテナをデポジットとして返却時に1台300円が帰ってきます。この300円を累積すると現在で年5万円ほとどなり、これらは、 馬場目川にブナを植える会へ寄付されています。
 この馬場目川にブナを植える会は、大潟村をはじめ、下流部と上流部の生産者らが呼びかけ、地域を超えて活動が広がりつつあります。 今年で10年となりますが、大潟村メンバーの桑原さんから次のようなエピソードを聞きました。
 この春、田んぼに水を入れるとき、例年いろんな魚が入って来るが、今年はじめてアユが入ってきたとのこと。また、 大潟村にも徐々に魚や小動物が増えているようです。
 もちろん、大潟村周辺流域の水質悪化はすぐに改善されませんが、改善のきざしなのかも知れません。
 栽培状況は、全般に1週間遅れぐらいですが、丈はやや短めながらも稲は丈夫で健康に育っています。

 

大潟村の田んぼは広い!どこまでも畦もなく続く田んぼ。
高野健吉さんのほ場
高野健吉さん
田んぼではたらくカルガモ
暗きょ
畦に近い砂利道側に暗きょを設置
カルガモ小屋
カルガモ出動
黒瀬農舎の目印。F-1は、場所を示しています。
灼熱の中、生産者が集まって確認会兼情報交換会
ライスロッヂ大潟のメンバー、首にかけたタオルがおしゃれ
乗用草取り機。大潟村以外ではなかなか見ることができません。
ヒエ

 

2002年 高生連・産地確認会

[ 2002年12月31日 高生連 ]

●高生連事務所(精米設備)
 担当の星川さんの案内で精米設備を確認しました。高生連では、もみすりした米を生産者別、品種別、栽培方法別に低温倉庫に貯蔵し、 低温倉庫から精米設備に入れたあとは最大でも1週間以内に精米・発送する体制を整えています。4月から11月にかけては、温度14度、湿度70% 程度で、冬も10度を下回ることはないとのこと。高生連では、玄米、七分、白米で出荷しています。
 2000年より玄米を精米設備でもう一度もみすり機にかけ、さらに、選別機にかけてもみ殻やぬか、未熟米、 割れ米などが混入しないよう対応しており、それによってクレームがずいぶん減ったそうです。
 精米後は、小分けした一袋ずつに、生産者名、品種名、そしてその生産者の栽培方法やコメントを書いた栞を添えています。この管理については、 低温倉庫での出庫側と、精米設備への入庫側の両方で記録をとり、間違いが起きないよう二重チェックをかけています。
 設備は年間通して稼動しており、清掃は、エアによります。ネズミ対策は、粘着シートを利用し、施設内で薬剤等は使っていません。
 米ぬかは生産者の希望があれば引き渡し、残りは醤油屋がぬか床に使うために引き取っています。 もみ殻やくず米は現在のところ廃棄物として清掃工場で処理されています。かつては、周辺の農家や畜産家が引き取り手になっていたそうですが、 高生連のある近隣にそのような引き取り手がいなくなっています。これらをいかに有効活用するかが、この精米設備での今後の課題です。

 

高生連事務所&精米所
代表の松林直行さん
精米設備
搗きたてのお米
くず米はこの袋にたまる
パッケージには生産者の名前と写真が載っている
担当の星川さんに説明を受ける

 

●西村昭夫さん コシヒカリ・無農薬(南国市)
 前回も訪れた西村さんは、あいかわらずお元気で、稲作技術の向上に熱意を持っていました。 西村さんの稲作の特徴をまとめます。
 8月の収穫後、稲藁は全量すきこみ、2月までに4~7回耕耘し、草対策をおこないます。代かきは1回で、代かき後水をためて、草を生やし、 それを軽く「たたいて」北風が吹くときに寄る草を丁寧に取り除きます。この他の雑草対策は、田植え後の米ぬかと光合成菌です。
 苗は、ポット苗ですが、育苗ハウスを15度~20度で管理し、苗が1センチほど出たころに苗箱の苗を上からコンパネで押える「苗踏み」 をします。田植えは、4.5~5葉で20センチぐらいです。
 病虫害対策は、稲の余り苗、竹の子、松の新芽を黒砂糖で漬け込み発酵させたものに光合成菌、ケイ酸土を混合したものを散布します。高知では、 イモチ、モンガレ、カメムシのほかに、スリップスによる被害がありますが、これらに効果があるそうです。
 イネミズゾウムシに対しては、あぜをバーナーで焼いて対応しています。

西村さんの田んぼ
元気に分けつしている稲
西村昭夫さん
まだ茎だけに見える稲だが…
割ってみると、もう中に稲穂が!
こんなにできていました。
玄米
きれいに草とりされています

 

●門田理博さん コシヒカリ、あきたこまち・無農薬(南国市)
 門田さんも2000年に訪ねています。99年の洪水で農地や農業機械、 家屋などに大きな被害を受けた門田さんですが、周辺の復旧工事も徐々に進んでいるようです。しかし、 復旧工事のために一時的に稲作ができない田があるなど、まだ影響は残っていました。
 今回の訪問で、門田さんは、10年前ほどからトノサマガエルを見かけなくなっていたが、ここ数年でトノサマガエルを見るようになった。 サギがカエルを狙ってやってくるので、今はサギを追い払う知恵をしぼっている。カエルをはじめ、トンボやクモ、アメンボなどが増えれば、 虫を食べてくれるし、トノサマガエルが生息できる田んぼだということは、地域の環境にとってよいことだという話をされていました。
 除草は、米ぬか投入とジャンボタニシによるもので、徐々にジャンボタニシが増えているため、 ジャンボタニシの除草効果を生かせるようにするということです。

 

門田さんの田んぼ
川のすぐ近く
門田理博さん 
水面に藻がびっしり
分けつが進んでいる
藻が日光を遮り、他の雑草を防ぐ
青々とした稲
ばったがいました
ジャンボタニシの卵
整備された水路

 

●村上信一郎さん コシヒカリ、無農薬(香我美町)
 ナスなどの園芸農家のかたわら無農薬米を栽培する村上さん、 やはり2000年に訪問した生産者です。紙マルチ(茶色)による栽培で、稲作には極力省力化を心がけています。 モグラによって抜け水が起こっており、モグラ対策が難しいとのことでした。イモチ対策には木酢を使用、昨年は7.5俵の作柄でした。

村上信一郎さん 
村上信一郎さんの田んぼ 
雨の日の確認会となりました 
しっかり根を張っています
ジャンボタニシ
村上さんのナス畑
ナスの花
収穫の最盛期でした

 

●富家ライスファミリー コシヒカリ、ナツヒカリ・低農薬(野市町)
 提携米出荷の生産者ではありませんが、刈り取り前に田んぼに大豆を蒔き、稲作- 大豆の特徴ある栽培をしている富家ライスファミリーを訪問しました。
 大豆を稲があるうちに播種し、稲刈り後の稲がマルチのかわりとなり、大豆の雑草防除に一役買います。行っているのは、 山手と広い面積のところですが、数年続けると大豆の収量が落ちるため休ませる必要があります。
 富家ライスファミリーのメンバーは、比較的年齢の高い層が多く、2001年から県の8割減農薬農産物認証を受けましたが、 化学肥料と比べ有機肥料は田に撒く絶対量が多くなり、かさばり、重たくなるため、労働としてきびしくなる点で、 年を追うごとに体力的な問題が出てくると率直に課題を語っていただきました。

 

富家ライスファミリーの田んぼ 
ナツヒカリ
背の高い稲です
分けつ
ジャンボタニシをカラスが道路に叩きつけ、
食べた後だそうです
付近の田んぼの地図。農家が減りつつあります
富家ライスファミリーの皆さん

 

●大塚俊明さん コシヒカリ、ヒノヒカリ・無農薬(土佐山田町)
 元酪農家で現在はナス、オクラ、ブルーベリー、ブロッコリー、 米などを栽培する大塚さんを訪ねました。大塚さんは、17年前に、牛の流産や農薬被害の現状をみて、きっぱりと農薬をやめた方です。 その作業倉庫には、実にかぐわしい香りの発酵臭がしていて、いくつものぼかし発酵肥料がタンクに作られていました。原料は、 漁港のある須崎市からの魚粉、ナタネ油かす、米ぬかで、EM菌により発酵肥料をつくっています。米ぬか除草をしていますが、 今年はタイミングが悪かったのか、春の気温が低かったのと相まって、見せていただいた田んぼはかなり広く稲が欠けていました。大塚さんは、 勉強熱心な農家で、日々自問を繰り返しながら、自分の農業をつきつめようとしていました。

 

大塚俊明さん
自家製発酵肥料のタンク
ぽろぽろしています
白く菌糸が張り、ぬかみその香り
ボカシを作ってホームセンターに卸しています
大塚さんの田んぼ
澄んだ水には生き物がいっぱい
雑草たち
水が冷たく、まだ小さい苗
れんげもたくさん生えています
あちこち稲が欠けています。気温のせいでしょうか
ジャンボタニシの卵
大塚さんのナス畑。生でかじれます

 

●門脇孝行さん コシヒカリ・低農薬(南国市)  

県の8割減農薬農産物認証をとっている門脇さんは、30代の頃から除草剤を除き農薬を使わないように取り組んでいます。経営の柱は、 土佐レッドというカラーピーマンで、南国市を中心にした地域開発品種です。一時期は多くの生産者が取り組んでいましたが、輸入攻勢などにより、 今ではほんの数人しか栽培していないとか。できるだけ、地域で開発した品種は残していきたいと語っていました。
 門脇さんを訪ねたとき、まず出されたのが、コシヒカリを小さなおにぎりにしたものでした。「これで味をみて欲しい」という心づかいに、 門脇さんの農業姿勢と食味をはじめとする最終消費者への真剣さを感じます。
 門脇さんは、今年から除草剤も使わない無農薬米にも取り組みをはじめています。米ぬか除草を試みましたが、ヒエは手取りとなります。 この無農薬田を訪ねましたが、ヒエがかなり生えていて、ちょうどカラーピーマンの時期と重なっていたことから、ヒエに押され気味です。
 高知の園芸農家の場合、稲作の除草期と繁忙期が重なるため、このあたりの解決が無農薬化への問題点だと強く感じます。

門脇孝行さん
門脇さんの田んぼ 
ヒエがたくさん生えていますね
抜いたヒエの山
門脇さんのカラーピーマン「土佐レッド」

●田島邦雄さん コシヒカリ、ナツヒカリ・無農薬、低農薬(南国市)
 南国市の市議会議員もつとめ、肥育牛、養鶏も営む田島さんを訪ねました。現在、 低農薬から無農薬への転換中で、米ぬか除草、アイガモ除草、ジャンボタニシ、人力除草と除草対策に追われています。アイガモは、 養鶏家の腕を活かして自家繁殖させていますが、今年はカラスにヒナの39羽すべてをやられてしまいました。なお、 稲刈り後の田んぼは牧草栽培を行っており、牛糞を定期的に入れています。
 牛の肥育は、牧草などできるだけ粗飼料主体にする、養鶏も90日ととても長く育て、 農業経営全体に環境や安全性に配慮した取り組みをしています。さらに、地域にも減農薬、無農薬を広げられるよう働きかけをしているそうです。

 

田島邦雄さんの田んぼ
山際の田んぼです
田島邦雄さん
藻がびっしり
上から見た稲
えさを撒いてアイガモを呼びます
ちょっと警戒しています
仕事中
周囲の網がある田んぼにはアイガモがいます
アマガエル
除草作業中
稲の間に、びっしりとヒエが!
これ、みんなヒエです

 

●吉野川源流米生産グループ
コシヒカリ、マツリバレほか、無農薬・低農薬(土佐町)
 代表の式地寛肇さんに案内してもらいました。 吉野川源流米生産グループは、その名の通り、標高350メートルの棚田で、吉野川の源流域の水源から水を引き、米を生産しています。 水源流域は3つほど山を離れたところにありますが、大正時代に水路をつくり、水を引いたそうです。今も、その補修は欠かせません。
 今年から県の8割減農薬農産物認証をとっています。無農薬田は、アイガモ、コイによる除草です。
 土佐町の源流米地域は、畜産地域でもあります。土佐町では、発酵たい肥施設ハザカプラントを導入し、処理能力1日40立方メートル、 発酵処理期間25日、発酵施設の面積が2レーン、1レーン各600平方メートルという設備をつくり、運用しています。最近では、 水産加工品の残さなども受け入れており、できたたい肥は、地元優先で販売しているとのことです。

 

山間のきれいなところ
代表の式地寛肇さん
アイガモのひなたち。
まだ来たばかりで慣れていません
発酵たい肥施設ハザカプラント
長い長いトンネルで堆肥が自動的に作られます
発酵熱でたちのぼる湯気
こんなに粗い繊維のものが
ここまでさらさらになります
袋詰めして製品化された堆肥
グループの田んぼ
生き物がたくさんいる、きれいな田んぼです
水温が低いので、まだまだ小さい稲
吉野川源流から引いている冷たい水
害虫、イネミズゾウムシ発見
アマガエルもたくさんいます
水路のしくみ
板を抜き差しして調整します
吉野川源流。冷たく、甘い水でした

 

●鬼頭昭憲さん あきたこまち、低農薬(窪川町)
 無農薬米にも取り組みながら、 労力の関係で現在は除草剤を1回使用している鬼頭さんです。1回の除草剤で残っている雑草は、手作業で行っています。 鬼頭さんの田んぼはオタマジャクシやゲンゴロウがみられるなど除草剤を使っていてもとても生物が豊かです。病虫害対策はまったく行っておらず、 虫や病気と共存できる稲づくりを1974年頃から続けています。20年前は変わり者扱いでしたが、鬼頭さんの田んぼの周囲には、学校田があり、 近くの小学校横にあった保育園が廃園になったのを期に地元の人が考えて町の予算をもらい、自分たちで作業したビオトープができていました。 このビオトープはホタルが戻ってくるようにとつくられており、施工から運営までを地元の人たちで行っています。

 

鬼頭さんの田んぼ
手で除草しているそうです
鬼頭昭憲さん
ここにもたくさんの生き物が
分けつはまだまだこれからです
のっそりカエル
タガメがいました。珍しい!

 

●島岡幹夫さん コシヒカリ、ほか 無農薬、低農薬(窪川町)
 前回も訪問した島岡さんを再訪しました。前回は減反裁判関係で意見交換が主だったため、 今回はじっくりと稲作のお話を伺いました。
 除草は、刈り取り後にたい肥と米ぬかを散布し、2~3回耕耘します。それにより、草を発芽させては埋める作業をして翌年の発芽を抑えます。 田植え後は、動力3連式の手押し機械除草と手作業です。この動力除草機は、半自作で、15kgしかなく、 とりまわしがしやすいのが特徴とのことです。畦畔は、火入れを春先に行い、5回ほど草刈りします。
 虫は、カメムシの被害がない地域で、イネミズゾウムシが多発しています。病気は、イモチがでないものの、モンガレが発生します。 いずれにしても、栽培期間中の特別な対策はないそうです。
 かつて行っていた酪農はすでに辞められており、今は息子夫妻がニラ栽培を行っています。そのため、 稲ワラは田んぼに戻すことができるようになり、残っている牛糞たい肥もまだ活用しています。
 一部の田んぼは後作で自家用の野菜を栽培されているそうです。
 全国各地の反原発運動や農業集会、タイのNGO交流など国内外を飛び回り、国内外の研修生を受け入れる、 地域ではビオトープづくりの活動に力を注ぐなど、島岡さんの熱意はつきることがありません。

島岡さんの田んぼ
島岡幹夫さん
田植えしたばかりの田んぼ
まだ小さい稲です
すっくとまっすぐ
赤米が混じっていました
カエルがのぞいてる
手作りの手押し除草機

 

●井上次男さん アキタコマチ、サイワイモチ 無農薬(窪川町)
 沢づたいにある山道を入った棚田に井上さんの田んぼがあります。回りには、 耕作放棄地がいくつもあって、井上さんなど残っている田の方が少なくなっています。
 人が入る機会が減ったからか、井上さんの田んぼにはイノシシが増えています。この地域にも里に下りるイノシシが増えているそうです。 田んぼの上の方にある植林地に板を張りめぐらせて、少しでもイノシシが降りにくいようにしていますが、イノシシ対策が大変です。
 除草対策は、収穫後の稲ワラすき込みと4回ほどの耕耘、あとは除草機を押し、手作業で草を取っています。また、 病虫害は軟弱な稲にならないよう育てることが中心で、イモチ対策として米酢を1000倍希釈にて7月下旬に散布します。

 

井上次男さんの田んぼ
きっちり隅までていねいに植えられています
井上次男さん
小さいけれどがっしり根を張っています
イノシシよけの柵がはりめぐらしてありました
山間の、生き物あふれる田んぼです
水グモがいました
野生のセリ
周辺の農家の減反田んぼ

 

●坂本穂さん ヒノヒカリ、アキタコマチ 無農薬、低農薬(窪川町)
 区画整理された沢ぞいの棚田に坂本さんの田んぼはあります。3人の生産者がいて7枚ありますが、 機械が入りやすいため、井上さんの田んぼのような耕作放棄はありません。坂本さんの稲作は、米ぬかと稲ワラのみを肥料にして、 完全な無肥料栽培を実践していることです。もう10年、続けています。除草は田植え後の米ぬか散布と手押し除草機。 ウンカは近年いなくなったそうですが、カメムシが発生しています。しかし、それほど大きな影響はないので、放っています。こちらも、 秋には防風ネットを使用して、イノシシ対策をほどこします。イノシシの被害が一番大きいのではないでしょうか。ちなみに、早場米で7.5~8俵、 晩稲で8~9俵とれているということです。

 

坂本さんの田んぼ
山に抱かれた沢沿いの棚田です
坂本穂さん
まだ小さめの稲たち
分けつもまだまだこれからです
米ぬかで沸いている泥
カエルになりかけ

 

●西山和さん コシヒカリ 無農薬、低農薬(宿毛市)
 前回も訪問したアイガモ農法の西山さん、 体調を崩され春先に入院されていたそうですが、今は回復して、田んぼに出ています。今年はカメムシが異常発生しているようですが、 アイガモのおかげで今のところ被害はありません。西山さんも、肥料を米ぬか主体で、冬場のレンゲと合わせて無肥料が基本です。また、 カメムシ対策に、竹酢液を300倍~500倍に希釈して2~3回散布しています。ジャンボタニシ、米ぬか除草も行っています。

 

西山さんの田んぼ
ネットはアイガモの脱走防止だけでなく、
犬猫やカラスよけでもあります。
西山和さん
カモに助けられて、すくすく育つ稲
水路でくつろぐアイガモちゃん
いざ、出陣。
野犬に空けられた網の穴

 

●チョットいいカモクラブ コシヒカリ 無農薬(愛媛県一本松町)
 高知県の西、愛媛県一本松町までが高生連の生産者範囲です。 前回もこのチョットいいカモクラブが最後の訪問地でした。代表の二神作二郎さんに案内していただきました。 メンバーは2年前と変わっていませんが面積は毎年若干変わり、今年は7反減の6町になっています。もともと、 年金がもらえるようになったから少々労力がかかってもいい米作りをしたいとはじめたグループです。アイガモをつかった除草の技術は安定しており、 少々草が生えても適宜カモを入れることで問題なく対処しています。

 今回も前回に引き続き、南国市から宿毛市まで高知県を横断しました。高生連が日々行っている生産者との調整や栽培状況確認、 集荷などの大変さが身にしみる距離です。
 また、生産者も、農法のみならず、考え方、経済状況、農業を取り巻く状況などが大きく異なり、 距離もあって横のつながりがなかなか持てないことを感じました。そのためか、情報や方向性を示す高生連への期待感の大きさが伺えます。 高生連に対する期待の大きさは、高知の農業の胎動なのかも知れません。
 日本の中でも、気候に恵まれながらも、山間部が多く、交通には厳しい高知で、農業経営と環境の持続に対して、 高生連とそこにつながる生産者の取り組みが、よい影響力を及ぼすのではないかと感じました。

 

二神さんの田んぼ
整然と育つ稲たち
カモに助けられて、すくすく育つ稲
二神作二郎さん
ヤゴの抜け殻
カワニナのいる水路
抜いたヒエの山!
ごはんの時間です
それーっ!
しごとしごと
カモたちの働いた後。草は粉々です

 

■その後…
高知新聞8月21日付は、コシヒカリで乳白粒が多く、1等米比率が低く、収量もやや少なくなっていることを報道しています。 登熟期の日照不足と夜間温度が高かったため起こったようです。

 高生連のお米はどうでしょうか。(「高生連早稲米だより」より)
「7月下旬からスタートしました稲刈り、平野部はほぼ終了し、これから山間部へと移っていきます。
 今年の天候は、台風も来ず、適度に降り適度に照っていい具合だったのですが、6月下旬から7月下旬までの雨、 夜温の高さがコシヒカリの生育に微妙に影響したのか、乳白粒が多くなりました。
 ナツヒカリは、いつも通りの実りでした。
 病虫害はいたって少なく、中でも、毎年問い合わせやクレームをいただくカメムシ、スリップスの被害粒(黒い斑点米)が、 極めて少ないのが特徴です。原因はよく解りません。
 7月下旬の収穫期からは晴天が続き、収穫作業は前倒しで順調に進みました。
 4月の低温で分ケツ数こそ少なめだったものの、収量は、おおむね平年並みでした」
「“見た目良くない”けど、“何時にもまして美味しい”というのが、今年のコシヒカリの特徴になりました。“見た目良くない”といいますのは、 米の中に乳白粒(モチ米みたいな粒)が多くなったことです。


これは、栽培上の問題というより今年の天候によるところ大で、一般栽培米でも、見た目を評価する「等級検査」で、1等米比率が何と10数% に激減しています。
 そして、“何時にもまして美味しい”というのは、高生連では各生産者の米を「食味計」にかけテストしておりますが、今年の早稲コシヒカリは、 今出荷中の全生産者が80点を超えており、実際に食べてみた食感を、食味計の数値が裏付ける結果が出ていることです。
 消費者の方々に安心して食べていただくために、各生産者それぞれに有機主体での土作り肥料設計をし、農薬を減らしあるいは無くし、 健康な稲作りの努力を重ねてきております。その結果、食味値までもが軒並み80点を超えるところまで来ております。今年生産者もさりながら、 異常天候の続く中、稲自体も精一杯いい粒を実らそうとしたことと思います。
これから窪川町、土佐町と収穫は山間部へと移ります。食味、安全性、+見た目も輝く出来栄えを期待しつつ…」
 とのことです。松林さんによると、カメムシの被害は全県的に少なかったとのことで、高生連生産者も木酢散布などをやめた例がありました。 参加者:加藤(白鷹農産加工研究会)、橋本(代表)、坪井(県民生協やまゆり)、中野(理事)、前川(大地)、牧下、榑林(写真)

 

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