1999年産地確認会(庄内協同ファーム)
[ 1999年12月31日 庄内協同ファーム ]
訪問した8月1日の前日に、庄内協同ファームの総会が行われました。庄内協同ファームは、稲作だけでなく、畑作、 農産加工品などを扱っています。畑作の一部を除いては少々余裕の出てくるこの時期に年次総会を開き、 前年の反省と翌年以降の事業計画を協議しています。米をはじめ、組合員同士の共同事業として各部会も充実しており、稲作部会では庄内協同ファーム自主基準「水稲栽培基準」をもうけ、毎年、 議論の上、更新しています。
99年度版の特徴は、栽培ランクを従来より増やし4段階にしたことです。
特Aランク…有機栽培米として、有機100%、育苗期からの一切の農薬を使用しない。
Aランク……本田無農薬米として、本田での有機100%、育苗期の種子消毒を除き、本田、畦畔での農薬防除を使用しない。
Bランク……除1栽培米として、基本水準の栽培方法。本田での有機比率70%以上、種子消毒および初期除草剤1回、 畦畔防除を除き原則的に農薬を使用しない。
Cランク……ゲンキ米として、緊急避難的な位置づけ。本田での有機比率60%以上、種子消毒、初期除草剤、畦畔防除、予防剤(単剤1回) を除き原則的に農薬を使用しない。
となっています。このうち提携米として出荷されるのは、特AからBランクのものとなります。
さらに、環境ホルモン(外因性内分泌かく乱物質)などに対応するため、独自の自主禁止農薬リストをつくり、 農薬を使用する場合でもできる限りの工夫をしています。
現在のところ、提携米出荷生産者は13世帯です。
庄内協同ファームでは、水稲栽培基準にもとづいて、独自のほ場登録台帳、施肥等の計画・実績報告書を作成し、事前、事後の管理を行っています。 今回、ほ場を見て回る際、たとえその生産者がいなくても、正しいほ場位置が台帳をもとに確認でき、記帳の正確さを実感しました。
精米は、庄内協同ファームが独自にもっている精米センターで行います。精米区分ごとに精米機をエアで清掃し、 他のランクの米が混ざらないようにしています。また、精米、出荷ごとに記録をきちんととることで、事故のないように心がけています。
栽培している品種は、主にひとめぼれで、もち米にも力を入れています。栽培方法やほ場の条件は様々であり、カモや鯉除草に取り組む生産者や、 機械除草、韓国自然農法などの技術を相互に交流しながら全体としての技術向上に努めています。
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| 実際のほ場と、記録とを見比べて聞き取り調査します。(暑い!) |
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| 庄内協同ファームの精米設備。生産者別、ランク別に分けてあります。 |
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| もうまもなく穂がでる稲穂。ちょっと遅い場所のイネです。 |
1999年産地確認会(遊農くらぶ)
[ 1999年12月31日 遊農くらぶ ]
山形県遊佐町、鳥海山のふもとにあるのが遊農くらぶです。遊農くらぶは4世帯のグループで、何より女性達の元気さが目に付きます。 遊農くらぶのメンバーは、それぞれ稲作の他に、牛の肥育や鮭のふ化・放流事業、リサイクル石けんづくりなども手がけています。減反やほ場整備に反対していますが、ほ場整備は地域の条件などもあり、近年ほぼすべてのほ場で整備事業が行われました。今は、 新しい条件に合った栽培を模索しています。
それでは、栽培の特徴を見てみましょう。遊農くらぶでも除草剤1回の栽培と無農薬の栽培があります。無農薬栽培は、マガモ、 鯉を使った除草を中心に、手取り、機械除草を行っています。昨年、鯉の除草方法を行ったところとてもよい結果がでましたので、 今年も導入する予定でしたが、鯉の出荷元で生育が悪かったため、必要量が入手できませんでした。そんななか、土門忠男さんは、 自分の家のそばにある清流が流れ込む沼に住んでいる鯉を利用しました。除草には、ふ化して2年目の鯉がちょうどよいのですが、 沼では3年目の鯉が多く、体長が大きすぎるのではと心配されましたが、結果的には成功したようです。訪ねたときには、 もう鯉は沼に戻されていました。
ただ、この地域ではアオサギが田んぼに戻ってきてドジョウを食べるため、鯉もねらわれます。土門さんは、 鯉を入れたほ場の周りや上のあちこちにテグスや光るテープを張りめぐらせましたが、アオサギの中には隣の田んぼから歩いて入るものもいて、 ずいぶんと被害にあったようです。
土門さんのように鯉が入手できなかった菅原鉄弥さん、多喜子さんは、機械除草をしたあと、2週間にわたり毎日、手取り除草を続けたそうです。
代表の尾形修一郎さん、なつさんは、マガモの除草と鯉除草の両方を行っていますが、今年は鯉が思うように入手できず、また、 マガモもキツネやタヌキに襲われて全滅してしまいました。近隣の子ども達は、毎年田んぼのカモを観察していましたが、 今年は途中でできなくなりました。なつさんは、子ども達に、キツネやタヌキのことを説明したそうです。
遊農くらぶの提携米出荷分は、すべて尾形さんが所有する精米機で行っています。そのため、他の米と混ざることはありません。
4世帯とも、主に女性陣の手によって栽培記録がきちんととられています。
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| 山形の夏も40度近い。汗を拭きながら、確認していきます。 |
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| 鯉除草の田。田を渡るひもは、アオサギ対策です。 |
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| こちらは、アイガモ除草の田。野犬などの防止電柵です。 |
1999年産地確認会(黒瀬農舎)
[ 1999年12月31日 黒瀬農舎 ]
秋田県大潟村は、八郎潟の干拓地であり、入植農家1世帯あたり15町歩の面積が割り当てられています。
それぞれの農家の圃場は2団地に分かれており、1枚田んぼは2~3町歩という大面積での栽培が基本です。
大潟村は、その独特の成り立ちから、条件面、作業面なども他の産地とは違った利点と問題点を抱えています。
田植え、機械除草、収穫などの作業は、すべて大型機械で作業します。大潟村のほ場は、もともとが八郎潟の湖底そのものですから、
田んぼが湿潤で地盤が弱く、作業が大変です。干拓された当時と比べれば今ではずいぶん地盤が形成され、固くなりましたが、それでも、
田植えや除草中に機械が沈んでしまうことが多く、沈まないように気をつけたり、引き上るのに苦労が多いとのことです。
田んぼは、計画的な干拓工事によって用水と排水は、すべて分離されています。取水水源は、八郎潟の湖で、この湖には、
周囲から河川が十数本流れ込んでいます。
このため、上流域の生活廃水などの水質汚染の防止や水源地の森を守ろうと、ライスロッヂ大潟のメンバーが中心になって、
流域の人々に呼びかけて、上流部となる馬場目川で「秋田・ブナを植える集い」を行っています。
毎年11月3日文化の日に行われるこの催しには地元の人だけでなく、
提携米を利用している各地の消費者もライスロッヂに無料宿泊して参加できるようになっています。
ライスロッヂ大潟では、「あきたこまち」が中心で、一部の田んぼでモチ米の「キヌノハダ」が育てられています。栽培方法は、
すべて無化学肥料で、病害虫農薬の使用はなく、労働力の関係で、除草剤を1回だけ使用する栽培方法と、
除草剤もまったく使用しない無農薬栽培の2種類になっています。各生産者は、農薬の使用をしなくて済む合理的な方法を、
個々人がさまざま工夫をこらし、定期的に開かれるほ場見学会や勉強会で情報交換を行っています。
各メンバーの学習意欲と先取意欲はすばらしく、今回の訪問時にもほぼ全員が集まり、
炎天下に4カ所の田んぼを回りながら葉緑素計やメジャーを取り出し、葉の色や丈をきちんと計測しては肥料や栽培方法の議論を行っていました。
代表の黒瀬正さんは、今、早めに水を切ってしまい、そのまま水を張らずに自然状態のままで収穫に向かう方法を実験中です。
有機栽培の基本は、先ず「土作り」です。このために有機物を土に入れることは一番大切なことですが、堆厩肥や稲ワラなど有機物や、
有機肥料の過剰な投入は問題があります。大潟村の田んぼは太古からの湖底の堆積物など元々有機物が多いところへ、
稲ワラなどの有機物を毎年多量に入れ続けてきたため、水田内に分解されない有機物が過剰に蓄積され、
稲の根っこの成長に悪影響があるのではないかという考えから実験しているしているものです。
水を切ることで土の中に酸素を供給し、有機物の分解の促進と、根っこの成長をうながし、土壌の環境バランスを回復させ、
イネが健康に育つことをねらっています。
この実験田の稲を見学したところ、他のほ場の稲に比べ、丈が短く、茎や葉も細く非常に貧相に見えます。しかし、
この方がかえって風通しがよくなり、病気や害虫の発生もなく、水ぶくれのイネより健康ではないかとのこと。
収量的にも心配するほど減らないのでは、と黒瀬さんは考えています。
この他にも、1枚が2~3町歩もの大きな面積のほ場では、広すぎて鴨が片寄って除草効果が期待できないのではないかと考えられてきた、
アイガモやマガモを使った除草方法に取り組む生産者などもおられます。これら各生産者の工夫が、ライスロッヂ大潟のみならず、
大潟村で有機栽培が拡大、安定していく原動力になることは間違いないようです。
ライスロッヂ大潟の提携米は、それぞれの生産者がモミで貯蔵して、出荷時期には玄米にして、
すべて黒瀬さんの精米所の低温保管庫に集められます。低温倉庫には、各生産者の名前、ほ場、栽培方法を記録したラベルが張られ、
精米時まできちんと分別されています。ここで精米されるのは提携米だけであり、一般栽培米などが混ざることはありません。
精米施設は、すべて黒瀬さんが中古の機械に改造を加えて手作りした設備です。これまでに消費者から出された意見やクレームをもとに、
次々に改良されてきた「傑作」の施設装置です。例えば「玄米に小石がある」というクレームを受けて、石抜きラインを増設し、
小石混入をゼロにしました。また、「玄米食用の玄米のモミ混入をゼロにして欲しい」という要望から、
モミを完全に除去するための設備を整えています。
生産者と消費者が直結している強さを、黒瀬さんは充分に活かしています。
消費者に届けるおコメは、現在5kgごとポリ袋に入れられ、段ボール箱で届けられています。黒瀬さんは、
消費者に届いてからのごみ処理のことを考え、米袋や結束バンドなどをすべて紙にできないものかと検討しています。
紙袋は、ボリ袋より環境面だけでなく、吸湿性など優れているところも多いですが、作業性が悪く、保存性や運びやすさ、
耐久性などの欠点もあります。これらの欠点の改善を目下工夫中で、テストがうまくいけばいずれはすべて紙にしたいということでした。
訪問時の7月末、早いほ場では出穂が始まっており今年も順調に育っています。農薬を使っていないので、小さなイナゴが無数におり、
ところどころ葉をかじっていましたが「イナゴに幾ら食べさせても、収量や品質に極端に影響するものではない」
というのがライスロッヂ大潟の生産者の説明でした。
私たちが訪れた時も、無農薬田ではパートで草取りに来た女性達が、10人ほど列になって、気温35度以上の炎天下、
キビキビとヒエ抜き作業に頑張っておられました。
収穫は例年より少し早まりそうです。
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| ライスロッヂのメンバー学習会。真剣に葉の色や茎数を確認。 |
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| 38度を超える暑い中、ほぼ全員が集まって、ほ場を回ります。 |
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| ひえの種類や今年の傾向をみんなで情報交換。 |
