2006年確認会 ライスロッヂ大潟・黒瀬農舎
[ 2006年09月11日 ]
ライスロッヂ大潟・黒瀬農舎(秋田県大潟村)
訪問者:加藤慎吾、須佐武美、清水淳一、牧下圭貴
8月30日に訪問しました。新潟から秋田まで、いずれの産地でも稲の揃いはよく、今年は安定した収量が望めそうです。
ライスロッヂ大潟では、今年から栽培計画・報告の書式を少し変え、より分かりやすく、書き入れやすく工夫をしました。
大潟村では長年、大潟村を取り巻く八郎湖の残存湖の水質悪化が問題になっています。残存湖には秋田県各地の川が注ぎ込んでおり、
その生活排水や大潟村の生活排水が流れるため、富栄養化がすすみ、アオコの発生などが見られるからです。そこで、メンバーの中には、
馬場目川の上流部にブナを植える会の中心的存在として秋田県の森を再生する活動を続けるなどの地道な取り組みをしています。今回は、
大潟村水道水検討委員会が設置した水質浄化のテスト(緩速ろ過装置)を見せていただきました。土壌、
微生物などを活用して水質を浄化しようというテストです。これがうまくいけば、富栄養化の進行を止めることができるかも知れません。

※確認会では、ほ場だけ確認した方もいますが、ここではお会いした方だけを掲載します。
(桜井義忠さん)


無農薬、除草剤1回の減農薬であきたこまちを栽培しています。無農薬は連続10年以上の田んぼですが、ヒエを極力抑えるために、
田植え後できるだけ早く機械除草に入るようしているそうです。また深水管理や田んぼを平らにすることでの抑草にも心がけています。
機械除草機を3回入れ、手取りも欠かせません。来年のために今年種を残さないように、と、
収穫後の秋になってから田んぼに残っているコナギを手で取り除いています。
大潟村は、入植当時からしばらくはイヌビエが多かったのですが、最近はふつうのヒエが増えたようです。
収穫は、9月25日頃からを予定しています。
(花塚昭さん)

無農薬と除草剤1回の減農薬栽培であきたこまちを栽培しています。大潟村では田んぼの面積が広く、
ひとり15町歩以上の田んぼを栽培しています。そのため、無農薬栽培での除草は誰にとっても大きな課題です。花塚さんは、代かきを3回、
ていねいに行うことでまず、草の種の量を減らし、その後、機械除草3回、人手を入れての除草を2回おこなっています。今年は、
イネミズゾウムシが少しだけでました。春先に風が吹いて隅の方に浮いた稲わらなどが寄ったため、そこについたのではないかと花塚さん。
それでも今のところ大きな被害ではないとのことです。また、今年はイナゴが少ないとの感じも受けています。ただ、
今小さなイナゴがたくさん見られるので、イナゴも稲同様遅れて育ったのかも知れません。昨年は、好天に恵まれて良質な米がとれました。
今年も昨年並みになるのではないかと期待がもたれます。
(桑原秀夫さん)

無農薬と除草剤1回の減農薬栽培であきたこまちを栽培しています。毎年稲わらを全量田んぼに戻し、
今年は試験的に元肥の有機肥料を使わない無肥料栽培にも取り組んでいます。その理由は、「環境負荷を下げる」ことです。桑原さんは、
メンバーの中でも環境保全の意識が高く、有機農業でも肥料の入れすぎは、水で流れて、化学肥料同様に河川などの富栄養化につながると考え、
稲の健康な育成を行いながら肥料を減らす方法を考えています。もともと、大潟村は、かつての湖底であり、土壌は豊かで、
過去の肥料の蓄積もあってある程度無肥料でも栽培は可能だと考えられています。
同様に、代かきの水も入れすぎず、排水を減らす工夫もしています。そうして、田植え後には深水管理で草を抑えるなど「知力」
で栽培していきたいとのことです。
ところで、田んぼにテグスが張り巡らされていましたが、これはノガモよけです。ノガモが入ってきて稲を食べるからです。
大潟村にも動物が増えてきて、サギ、ネズミ、ザリガニなど、稲や田んぼにとってはやっかいな動物もいて、知恵比べが続いています。
(黒瀬正さん)


無農薬と除草剤1回の減農薬栽培であきたこまちを栽培しています。無農薬栽培田では、近年、ヒエだけでなく、コナギ、
マツバイなどの草も増えており、除草に人手がずいぶんとかかっています。他のメンバーも同じですが、
カメムシなどの害虫の発生源にならないよう畦はていねいに何度も刈り、
カメムシが稲に移らないよう穂が出る2週間前から穂が出て20日後までは刈らないようにしています。それでも、
カメムシが多少出るのはやむを得ないことです。
カメムシが稲につくと、米粒に小さな黒い点が残ります。一般の流通では、1000粒に3粒以上あれば、等級が下がって、
とても安く扱われます。無農薬・減農薬の栽培を続けていて、全量を理解ある団体や消費者に引き取ってもらえればいいのですが、
余ったときなど一般の流通に回す際、味がよく、栽培方法もしっかりしているのに、黒い点があるだけで値段が自動的に切り下げられてしまい、
経営的に影響を受けます。根本的に、米の検査制度や格付け制度の仕組みが変わらない限り、この点は変わりません。この点を、
黒瀬さんは危惧しています。
GM FREE ZONEの取り組みに対しては、グループで取り組むため、大きなオリジナルの看板をつくりました。確認会に合わせて、
看板を立てています。黒瀬さんと桑原さんがそれぞれ、田んぼ、作業小屋に立て、出来具合を見て、
他のメンバーにも同じ看板を立ててもらうよう提案しています。次回訪問時には、あちこちに、
GM FREE ZONEの看板が立っていることでしょう。
(福田清一さん)

除草剤1回の減農薬栽培であきたこまちを栽培しています。福田さんは田んぼの畦畔を広くとることで、畦畔も機械で除草しやすくしています。
ていねいに畦畔を除草して虫対策につとめています。もともと、大潟村の田んぼの中でも周囲に木などが少ない場所で、
カメムシが少ないところですが、4、5年前からアメリカザリガニが多くなり、田んぼに穴を開けてしまいます。
するめを使っておびき寄せて捕獲するなど、対策に乗り出しています。
(阿部淳さん)


無農薬と除草剤1回の減農薬栽培であきたこまちを栽培しています。また、古代米の餅米アサムラサキも栽培しています。
街路樹や排水路の草むらに近い田んぼで、毎年イナゴがたくさんいます。また、田んぼの中にまでヨシが少し入ります。無農薬田の草対策は、
田植えして1週間後には機械除草機を入れて、草の芽を叩くことからはじまります。
毎年、阿部さんの田んぼを見たところで確認会は終わりですが、その後も、生産者同士、機械や肥料、
作柄などについて様々な意見交換が1時間以上続きました。
2005年確認会報告 黒瀬農舎
[ 2005年12月31日 ]
■ライスロッヂ大潟・黒瀬農舎(秋田県大潟村)
石附、橋本、坪井、前川、加藤、榑林、牧下
9月2日に訪問。昨年は9月5日に訪問し、台風の被害を目の当たりにしました。ぽきぽきと折れているポプラの街路樹、
真っ白になった田んぼなどかつてない被害のあとには、一度落ちた葉の後に新芽が出ていましたが、その後さらに台風が到来し、新芽が枯れ、
再度咲き、そして冬を迎えました。今回訪問した大潟村は、一見昨年の台風被害などないように見えますが、街路樹には間があき、
片付け終わっていない倒木も見受けられました。
田んぼは違います。昨年とは違い、稲が青々としていて、稲穂が黄金に色づきはじめ、
ふつうであたり前のうれしい実りの秋を迎えつつあります。
しかし、もはや「ふつうの秋」はないのかも知れません。この日、確認会で大潟村の田んぼを生産者や確認同行の方々と回りましたが、
気温は高く、前夜の雨のせいかこもったような空気でちょっと外に出るだけで生産者を含めみな疲れてしまい、
熱中症のような状態になってしまいました。9月の秋田でも日中暑い日はありますが、蒸し暑い日はなかなかありません。
虫と植物ばかりが元気です。
(桑原秀夫さん)
無農薬と除草剤1回の減農薬栽培です。あきたこまち。プール育苗3年目です。桑原さんは、春先にプラウ、レベラーで均一に耕運したあと、
5月の連休明けぐらいまではしっかり田んぼを乾かすよう心がけています。乾かすのにはふたつの目的があり、
ひとつは乾田効果で田んぼに元々入っている有機成分を分解して肥料効果を上げるため、もうひとつは、
地盤をしっかりさせることで乗用の除草機が大潟村の広く、湿田化しやすい田んぼに入っても沈まないようにするためです。
2回除草機を入れるための工夫だとも言います。そして、代かきした田んぼではすぐに田植えをすることで草の抑制も図っています。その後、
無農薬の田んぼではさらに手作業の除草を入れています。その数、2.3ヘクタールに70人。それでも少ない方です。
桑原さんは、畦畔の虫を網ですくい取り調査しています。今年は今のところ、イナゴ25匹、クモ2、3匹、カメムシ0という状況でした。
田んぼではニカメイチュウが多く、モンガレもありました。また、ザリガニがドジョウ目当てに多くいて、
田んぼに穴を開けて水を漏らす被害が増えているようです。
(石川賢治さん)
減農薬(除草剤1回)であきたこまちと餅米のきぬのはだを栽培しています。平年は反あたり10俵取れていますが、
昨年は台風被害で6俵ほどだったそうです。今年は、7月に一度夜15度ぐらいまで気温が下がった日があり、
溝切りして水を入れていなかった石川さんの田んぼでは白穂が少々出ました。その後1度も水を田んぼに入れていませんが、
それでもまだ乾いていないそうで、夏場に雨が多かったことを裏付けています。
(阿部淳さん)
無農薬であきたこまちと古代餅米のアサムラサキ、減農薬(除草剤1回)であきたこまちを栽培しています。今回は、
アサムラサキの田んぼを見せていただきました。7月頃まではきれいな紫色の稲穂をしているそうですが、登熟しはじめた今は穂が黒く見えます。
玄米では黒いのですが精米するとやや白くなるタイプの有色米です。
水路との緩衝地近くで緩衝地が草むらになっているせいかイナゴがとてもたくさんいました。
阿部さんたちが取り組んでいる馬場目川の上流にブナを植える会の取り組みは1992年からはじまり今も続けられています。
馬場目川はかつての八郎湖に注ぎ込む川で、大潟村の水質にも大きな影響を与える川です。
上流部にブナを植えることで豊かな森をつくるだけでなく、周辺の川や水、森について多くの人が考え、行動するきっかけとなっています。
(黒瀬正さん)
代表の黒瀬正さんです。無農薬と減農薬(除草剤1回)であきたこまちを栽培しています。無農薬の最大の課題は、今も昔も「除草」です。
黒瀬さんは、最近「結局は、草の種を落とさないこと、広がる前に物理的に抑えることしかないのではないか」と考えています。
「田植え後10日で活着できるような健康な苗をつくり、
10日目には乗用の除草機が田んぼに入って草を抑えていくような形が大潟村の無農薬の理想ではなかろうか」とも考えています。ヒエ、コナギ、
ホタルイをどのように抑えるか、無農薬栽培の悩みはつきません。黒瀬さんも2回の機械除草のあとは、手取りで除草を続けています。
10日おきに3回、近郊から作業に慣れた女性たちを雇って草取りを頼んでいます。まるでヒエの収穫をしているかのようです。
風のせいで田んぼの端の方はコナギとホタルイに負けてしまったところもありました。
今年は春先に異常な低温があり、苗が小さく、葉先が黄色くなったものもありましたが、全体的にきれいに揃っており、
平年なみに収穫できそうです。「台風さえ来なければ」と黒瀬さん。ちょうど台風14号が九州に接近しつつあり、すこし不安げでしたが、
幸いにその後離れて通り過ぎ、昨年のような被害はありませんでした。
(桜木義忠さん)
大潟村でも北部に位置する桜井さんの田んぼは昨年の訪問時被害をあまり感じませんでしたが、結果的には反あたり7俵ほどの収穫で、
黒瀬さんのところとあまり変わらなかったようです。無農薬と減農薬(除草剤1回)のあきたこまちです。昨年ヒエを抑えきれなかったため、
今年は人手を多くかけてヒエの種を田んぼに落とさないよう徹底した手取り除草を行っています。「来年のため」と桜木さん。
桜木さんによると、「冬の季節風はかつてとても強かったが、近年風が弱くなってしまった。そのせいか、
イモチが少しだが見られるようになった。気候が変化している」と、感じています。また今年のできについて、「見た目には、
慣行栽培の田んぼもふくめてとてもきれいに仕上がりつつあるが、例年ならば慣行の田んぼでは3割ぐらい倒伏していてもおかしくない。
今年は倒伏がほとんど見られないので、もしかしたら収量が少ないかも」と分析していました。

黒瀬さんの田んぼ。草取り(ひえぬき)の風景
黒瀬農舎の栽培方針
[ 2005年04月01日 ]
■稲作内容
あきたこまち
無農薬及び除草剤1回の低農薬
■土づくりや施肥の内容
稲わらなどの全量を田んぼに還元する。
化学肥料の排除。
高収量を目標としない有機肥料の施肥。
■病害虫対策の内容
収量が半減するような病虫害の異常発生がない限り、農薬は無使用。
イネミズゾウムシの初期、畦畔沿いのスポット撒布によるその後の農薬使用抑制の効果を認め、イネミズゾウムシの異常発生年において、10%
の地隣接圃場では使用する場合がある。対象圃場での使用量は標準使用量の2分の1程度。
■除草対策の内容
田植え後に除草剤を1回のみ使用する場合と、まったく使用しない栽培の2通りがある。
一般栽培では田植え前(耕起前)の水田雑草防除として除草剤が散布されているが、耕耘、代かき等をていねいに行なえば、
水田雑草は防除可能である。そこで、田植え前の除草剤使用を行なった生産者は、提携米出荷圃場でなくても、除名する。
田植え後除草剤1回、または、除草剤無使用田の除草対策は、深水管理などの栽培管理上の対策や、機械除草、手取り除草で補う。
黒瀬農舎・黒瀬正の考え
[ 2005年04月01日 ]
経営するすべての圃場に、可能な限り化学肥料や農薬などの使用をしないようにする生産姿勢での米作り。
付加価値を追求して一部の圃場の特定の生産物だけを無農薬などの有機栽培を行ない、
それ以外でのケミカル使用に問題意識のない生産者の増加を阻止している。
収量を無理に上げないことが、おいしくて安心できるお米をつくる基本であることを基にした栽培。
黒瀬農舎 自己紹介
[ 2005年04月01日 ]

ライスロッヂ大潟・黒瀬農舎
代表 黒瀬正(くろせ ただし)
メンバー戸数 15戸
住所 秋田県南秋田郡大潟村