WTO農業交渉の現状 山浦康明 日本消費者連盟
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WTO農業交渉の現状
山浦康明 日本消費者連盟
□ 12月13日から18日にかけて行われるWTO香港閣僚会議に向けて、各国の農業交渉への取り組みが大詰めを迎えている。
農業分野が他の分野の交渉のリード役ともなるだけに、
香港会議で各国閣僚の合意文書が採択されるかどうかは次のような論点での合意の行方にかかっている。
関税引き下げなど「市場アクセス分野」では「一般品目」について階層を4つにするなどとし、
また階層内の具体的な関税引き下げ方式を途上国、輸入国、輸出国ごとに決定すること、「重要品目」
という枠を設け関税削減の例外とし関税の緩やかな削減と関税割当の組み合わせで対処することついて議論は続いている。また、
上限関税を設定する提案をG20の途上国グループ(インド、ブラジルなど)が出し、米国、EUも賛同し始めた。
日本は輸入国として反対している。
国内補助金分野では、(農家が意欲を出し生産量が拡大する)生産を刺激する補助金について、
農業補助金が多い先進国とほとんど出していない途上国・ケアンズの主張が対立している。ウルグアイ・ラウンドの約束水準を守っている日本
(AMSで18%まで削減)、64%まで削減したEU、75%までしか削減していない米国などの状況をふまえ、日本は「黄色の政策」
について先進国を3階層に分けた上で例えば米国は50%まで削減すべきだ、などと主張している。「青の政策」
(生産調整を実施している作物の直接支払い)の強化については米国の柔軟性を示さないかたくなな態度が目立っている。
輸出補助金をめぐっては、04年の枠組み合意で、期日を設けて撤廃することや、輸出信用、輸出国家貿易、
食料援助も輸出補助金的な部分は撤廃することは合意されている。
今後、10月4~7日に事務レベル会合、10日に少数国貿易担当会合、中旬に非公式閣僚会議、17~21日事務レベル農業交渉、19、
20日一般理事会、11月中旬閣僚会議文書案(合意原案)をラミー事務局長が提示する見通しが立てられている。
農業交渉をめぐる全体構図として日本、韓国などの「G10」(農業の多面的機能を重視するグループ)、「EU」、「米国」、
実質的にオーストラリアのみとなった「ケアンズ・グループ」(農産物輸出国グループ)、ブラジル・インド・中国などがリードする「G20」、
インドネシア・トルコなどの「G33」(途上国の特別扱いに関心が高いグループ)、多くの途上国がグループを作っている「G90」
などの対立が続いている。また昨今リーダーシップを発揮し始めた「FIPs」(米国、EU、ブラジル、インド、豪州)の動きも目立っている。
□ 市民はこの閣僚会議に対して、現地香港には香港ピープルズ・アライアンス(HKPK)も作られ、日本の「脱WTO草の根キャンペーン」
をはじめとする市民団体、農民団体、労働団体なども、WTO閣僚会議への対抗運動を行う。12月10日から18日にかけて、
デモンストレーション、シンポジウム、ワークショップなどのプログラムの企画が進んでいる。ふーどアクション21、
日本消費者連盟としても12日から18日まで、現地でのNGO行動に参加し、閣僚会議の傍聴、NGO会議などに参加する。
提携米通信24号 2005年10月10日発行