プリオン専門調査会の傍聴記
[ 2005年09月17日 レポートに戻る ]
プリオン専門調査会の傍聴記
山浦康明 日本消費者連盟(提携米通信05年6月号より)
米国産牛肉の輸入再開問題で政府は5月24日、食品安全委員会に諮問を行い、 食品安全委員会では5月26日からこの諮問に対する審議を開始しこの問題を専門調査会に送りました。プリオン専門調査会は5月31日、 6月21日にこの問題で審議を行いました。
■5月31日の第25回プリオン専門調査会では、この諮問書
(米国とカナダの日本向け上乗せ基準を満たした牛肉・内臓食品と日本の牛肉・内臓食品とのBSEリスクは同等か?)
の諮問形式について異論が出されました。この諮問の前に日本のBSE対策の見直しの諮問が出され5月6日には対策の緩和
(20ヶ月齢以下の牛のBSE検査を不要とする内容を含むもの)が答申されましたが、この政治的背景をきちんと諮問に書き込むべきだ、
との意見が出されたのです。
また、米国、カナダのBSEリスクを評価するさいには、リスク管理措置として、
各国でSRMの除去や飼料規制などのBSE対策が行われていることが前提であるが、日本の農水省、厚労省が保証してくれるのか、といった、
主張も出されました。また、これから審議するにあたり、厚労、農水両省と食品安全委員会事務局は、日本、米国、カナダの牛の生産、
BSE対策に関するデータをわかりやすくまとめて次回の会合に提出してほしい、との注文がつけられ、
この日は諮問に対する審議は行われませんでした。
■6月21日の第26回プリオン専門調査会では米国、カナダの牛肉・
内臓食品のBSEリスク評価が主要議題となりました。前回、委員がFSC事務局と厚労、農水に要求した日・米・
加のBSE対策の比較資料などが提出され、役所からの説明がありました(3時23分~4時21分)。
これらは3カ国間でのBSE対策の相違点、国際調査団が行った米国・カナダのリスク評価、
BSE管理に関して指摘されている米国政府の違法行為に対する米国の回答、米国、カナダの牛の飼育方法、パッカーの実態など、
牛の生産とBSE対策に関する幅広い資料です。
次に「諮問をやり直すべき」との議論が再び提起されました(4時21分~4時38分)。山内委員が、再三にわたって「厚労・
農水の諮問の仕方では背景説明が不十分であり、(日本の国内対策見直しと米国産牛肉の安全性評価のつながりを示した《山浦補足》)
経緯と諮問の目的を諮問書に記せ」、と述べました。山内委員は
「国内対策の見直しが米国産牛肉の輸入再開と結びついている点を諮問の中に盛り込み、リスク管理側の意図を率直に示せ」と苦言を呈した、
と私は感じました。議論の中では、小泉委員が「諮問は本委員会がすでに受けたのだから、専門調査会は中身の議論を早くやってほしい」、
との権威的な主張が飛び出したり、山本委員から、「諮問書の最終部分に簡単に経緯が書かれているためそれでいいのでは?」、
「リスク評価機関とリスク管理機関が事前打ち合わせをすることがないことから陥った問題点の一つだ」といった意見が出たり、厚労省からは、
「この議論はFSC内部での議事に関わるものだ」と責任を転嫁する意見が出されたりしました。
吉川座長は、諮問のやり直しの意見の採択の是非にはふれず、結果的には、諮問が出されたことは既成事実化され、
あいまいなまま次の議題に移りました。諮問はそのまま、有効に受け入れられることになったのです。今後厚労・
農水省から諮問書の補足資料のようなものが出されるかもしれません。
その後、山本委員が米国・カナダと日本のBSE・vCJD対策のリスク評価に関するたたき台を出しました。しかし、日本向けの仕様 (20ヶ月齢以下に限るなど)のリスク評価の方法をどうするか、ということが次回までの課題となりました。また、 OIEのサーベイランス基準をめぐって、これを日本にあてはめてみるとその有効性の限界がわかるだろうとして、 OIE基準に対する疑問も出されました。この点はおもしろい討議でした。しかし、 リスク評価をまたもや定性的に済ませて早く答申案を作ろうとの動きが始まっており、この政治的な動きが懸念されます。
■米国では6月24日、 2頭目のBSE感染牛が確認されました。テキサス州で生まれた純然たる米国牛で、 もはや米国政府は自らをBSE暫定清浄国と釈明することはできません。食品安全委員会の米国、カナダのリスク評価にあたっては、両国の牛肉生産、 飼料管理、SRMの除去といったすべてのBSE対策を検討すべきです。
■FSCWと日本消費者連盟などでは以下のように7月26日に米国産牛肉の安全性をめぐって公開討論会を予定しています。 (終了しました)
「米国産牛肉輸入再開問題で日米公開討論会」
2003年12月にアメリカでBSE(牛海綿状脳症)が発見されて以来、日本はアメリカ産牛肉・牛肉製品の輸入を停止しています。いま、
アメリカ産の牛肉等の輸入再開に関して、厚生労働省と農林水産省は食品安全委員会に諮問を提出し、検討が行われています。また、
アメリカ政府は日本に対して、早期の輸入再開を求めています。
6月にはアメリカで2頭目のBSE感染牛も確認されており、私たち日本の消費者・市民は、アメリカ産の牛肉等の輸入再開に対して、
多くの疑問や危惧を抱いています。
私たちが抱いている疑問などについて、アメリカ大使館農務部担当者と、日本の消費者・生産者・研究者との討論を行い、
率直な疑問や意見を交換しましょう。
日時:2005年7月26日(火) 15:00~17:00(終了しました)
会場:憲政記念館講堂
呼びかけ:食の安全・監視市民委員会、日本消費者連盟、食の自給と安全の全国行動、食の安全と農の自立をめざす全国連絡会、フォーラム平和・
人権・環境、全国農民組織連絡会議(6月30日現在)
出席者 クレイ・ハミルトン米国大使館主席農務官、研究者-金子清俊(東京医科大学医学部主任教授・食品安全委員会プリオン専門調査会座長代理)
、消費者-山浦康明(日本消費者連盟副代表運営委員)、生産者-鎌谷一也(鳥取県畜産農協専務理事・全日農副会長・酪農家)
司会 三宅征子(食の安全・監視市民委員会)