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提携米栽培出荷基準

[ 2005年04月01日 提携米ネットについてに戻る ]

はじめに

「提携米運動」は、米の生産と消費・流通について自主的・自立的に決定するという、 市民としての本来的な権利と責任を確立する運動として1987年にスタートしました。
そして今日まで、地球的規模の環境保全という視点から食糧生産を考えつつ、日本の主食である米の安定確保や自給と、 安全性の問題とをどう両立させるべきか、という課題を生産者と消費者の直接提携によって追求してきました。
化学物質や機械を無自覚に駆使して自然を征服するような「効率農業」ではなく、可能な限り自然と共存していくことを共通の目標として、 各地の自然条件に適した栽培方法と安定的な米の生産・流通・消費のあり方を確立しようとしてきました。
このような理念と実践とによって、日本の稲作を将来にわたって継続させ、 主食である米の国内自給を図ろうとしてきたのが私たちの提携米運動です。

この「栽培出荷基準」とそこから、導きだされる「表示基準」は、農水省の「青果物等特別表示ガイドライン」や「改正」JAS法による 「特定JAS規格」の新設にみられる「高付加価値商品生産農業」のための画一的な栽培基準ではありません。提携米運動に参加する生産者が、 環境保全型の自立した稲作経営を行なうための指針です。

 
Ⅰ 生産の基本理念

提携米は、単に「付加価値」の高い米の生産をめざしているのではありません。
この運動に参加しようとする生産者は、次の5点の基本的な生産姿勢を理解して実践することが必要です。

1、主食である米の国内自給が可能な生産基盤をつくろうとする旺盛な意志と意欲がある。

2、可能な限り自然と共存しながら、安全な食糧の安定的な生産を継続させる技術を追求する。

3、経済的に自立し、主体性のある経営姿勢を身につけるように努力する。

4、常に科学的な探求心を欠かさず、経営や技術について創意工夫に努める。

5、自分の営農範囲だけの安全性や環境保全だけでなく、地域や国際的規模での環境問題に常に関心を持ち、社会性ある営農活動を行なう。


Ⅱ 病虫害防除などの指針

提携米は、原則として農薬などの化学物質を使わないで、安定した食糧供給をめざすことを目的とします。 なお特に次のような栽培は提携米の生産姿勢として一切容認できません。

ア、倒伏防止など生育を促進または抑制するための化学物質を使った栽培。
イ、ヘリコプターや地上一斉防除によって農薬散布するなどの栽培。
ウ、田の耕起前や米の収穫後に除草剤や病虫害農薬を散布した栽培。
エ、防除基準や防除計画に従って農薬散布するなど化学物質を利用することに問題意識のない生産姿勢での栽培。
オ、省力や増収などを目的として、通常の栽培方法以上に除草剤や病虫害農薬などの化学物質を使用した直播や不耕起などの新技術による栽培。

1、次のように病害虫などに侵されない栽培法法を工夫してください。

(1) 多肥や密植栽培など、無理な多収穫をねらった栽培をしない。

(2) 地域の自然条件に適した品種や栽培時期を選んだ栽培を行なう。

(3) 植物生理や土壌肥料などの栽培に必要な知識を修得し、科学的姿勢で栽培する。しかし、 微生物や有機の作用など科学的に解明できないメカニズムもあるので、栽培にあたっては作物の十分な観察など健康なイネ作りに努める。

(4) 畦の草刈りなど環境整備に努め、病害虫の侵入や発生を防止する。

(5) 除草剤を使わないで雑草発生を抑えることに努める。

  • 1 深水管理など、雑草の発生を抑制する管理を工夫する。
  • 2 それぞれの栽培規模や土壌条件にあった除草機を開発・利用する。
  • 3 翌年の雑草の発生を防止するため雑草の種子や根茎などの排除に努める。
  • 4 2度代かきや、反復耕起あるいは雑草発生周期と栽培時期の工夫などそれぞれの土地に適した雑草を防ぐ方法を工夫し活用する。


2.化学物質に代わる防除法法の開発や活用に努める。

(1) 木酢液、天然有機酸、各種土壌微生物、天然酢酸、タバコや除虫菊の粉末など環境汚染や残留の少ない資材の使用方法を工夫する。

(2) アイガモ・マガモ・コイ・フナの飼育活用、紙マルチなど、農薬に代わる防除法法や栽培技術の研究や工夫を行なう。


3.収穫が半減するような著しい被害や、人手不足で栽培が継続できない場合など、 やむを得ず病害虫農薬や除草剤を使用する場合には、次のように必要最低限度に留めてください。

(1) 病害虫の生態をよく観察して、農薬の全面散布を避けスポット(部分)使用するなどで農薬の使用量の節減に努める。

(2) 水田除草剤などを使わざるを得ない場合は、薬剤の使用をできるだけ減らして効果的な雑草防除を行なうように、 水管理や散布方法を工夫する。

(3) 農薬を使わざるを得ない場合、次の点に留意する。

  • 1 「残留性」の少ない薬剤を選ぶ。
  • 2 「遺伝毒性」などの恐れの少ない薬剤を選ぶ。
  • 3 環境への影響の少ない薬剤を選び、あわせて、散布後落水や漏水によって使用した田んぼ以外への影響の出ないように留意する。

 
Ⅲ 肥料などの使用の指針

提携米は、原則として化学肥料の使用を避けて、有機質肥料を利用した栽培をめざします。

 
1.厩肥や収穫後の稲わらなど、できるだけ地域で生産されるものを原料とした有機質肥料の活用に努めてください。

2.使用する有機質肥料の特性や土壌環境を判断して、 米の味を悪くするなどの品質低下や病害虫の発生を招かないように注意してください。

3.有機質肥料は天候や土壌環境あるいは、使用する有機質肥料の違いによって肥効に大きな差異があります。従って、 化学肥料から有機質肥料に切り替える場合には、最初は本肥部分を有機質肥料にするなど、 栽培方法の修得に従って全面有機質肥料へ転換させるなど土壌に応じた工夫をしてください。
 
4.有機質肥料であっても、土壌や環境などを汚染する有害な物質が混入している場合もあります。 有機質肥料の導入にあたってはその素材の経歴を十分調べるなど、次の諸点に留意してください。

(1) 堆厩肥や有機質肥料を使う場合は、多量に農薬や薬品が使われた原料を避ける。

(2) 市販の有機質肥料には、化学肥料を混入させたものや原料素材の表示に偽りがあっても確認が困難なので、 信頼のおける販売店や製造業者の有機質肥料を選ぶ。

(3) 下水の汚泥などを原料とした有機質肥料は重金属など有害物質が混入している恐れが高いので使用しない。

(4) 産業廃棄物を原料とした有機質肥料にも重金属や抗生物質などの混入の恐れがあるので、素材の経歴を調べる。
 
5.肥料の散布後数日間は落水を行なわないなど、肥料が流亡して河川など環境を汚染しないように留意し、また堆厩肥の多用は、 地下水や河川への流亡など環境を汚染するとともに、米にも病害虫を多発させたり、味など品質低下を起こすので適切な使用に努めてください。


Ⅳ 栽培方法の検証と表示の指針

提携米商標を使って出荷する生産者は、栽培方法の信頼性を確保することをめざします。
栽培方法の検証にあたっては、提携する消費者が希望すればいつでも栽培の現場で栽培の状況を確認できる権利を持ち、 生産者はそれに応える義務と責任があることを原則とします。

1.生産者は毎年の播種前に「栽培計画書」を、収穫後すみやかに「栽培管理記録書」を別記様式に準じて作成して、 提携米ネットワーク理事会に提出します。

2.提携米ネットワークは、生産者と消費者による「栽培検討会」を開催して「栽培計画書」「栽培管理記録書」をチェック検討します。 「栽培検討会」は、参加するすべての生産者・消費者に公開されます。

3.栽培期間中のチェックは、地域の生産者ごとに相互の研修を兼ねて、実際に田んぼを見ながら行ない、必要に応じて「栽培検討会」 を開き、その過程を確認します。これらのチェックは参加するすべての生産者や消費者に公開されます。

4.出荷に際しての「表示」は、必ず「栽培管理記録書」にもとづいたものとします。

5.「栽培計画書」「栽培管理記録書」は、すべての生産者に一律の書式とします。書式は別紙の通り。

6.提携米ネットワークでは、必要に応じて提携米の残留農薬等の分析を第三者機関で行ないます。 分析に必要なサンプルは必要に応じて抽出し、分析に要する費用は抽出した当該提携米の生産者とします。


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