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2003年産地確認会報告

[ 2003年12月31日 産地確認会 ]

8月20日から25日にかけ、産地確認会を行いました。今回は、新潟県・加茂有機米生産組合、山形県・庄内協同ファーム、遊農くらぶ、秋田県・ 黒瀬農舎、山本開拓農場の5カ所を回りました。参加者は、提携米ネットワーク代表の橋本さん、県民生協やまゆりの坪井さん、沢里さん、 加茂有機米生産組合代表の石附さん、事務局・牧下です。
加茂有機米生産組合の石附健一さんは、昨年亡くなられた石附徹太郎さんのご子息で、提携米産地を一緒に回るのは今回がはじめてです。消費者、 生産者ともに新たな刺激になったと思います。
さて、今年は冷夏ということで各産地の状況を心配しつつ訪ねました。(確認会参加者の敬称略)

牧下圭貴(提携米ネットワーク事務局)

食の安全・監視市民委員会設立 

[ 2003年12月04日 レポート ]

■これに対して市民の側からは4月19日に「食の安全・監視市民委員会」を設立し、行政や事業者の監視を行うとともに、 事例によっては食品の安全性評価について、専門家の協力を得て科学的評価を行い、政府の「食品安全委員会」に対抗していく。
 規約では〈活動計画〉は次の5項目とした。
(1)運営委員会が対象課題の選定など企画にあたり、BSE問題、遺伝子組み換え問題、農薬問題な ど、 個別事例ごとにプロジェクトを組み対応する。
 運営委員会は、課題に応じて専門委員への協力を要請する。
(2)政府の食品安全行政の監視
 ・リスク評価機関として設立される「食品安全委員会」に対する監視。
 ・リスク管理機関となる、厚生労働省、農林水産省などの政策決定、施策に対する監視・対案提  示。
(3)課題ごとに集会の開催、行政、企業への批判・対案提示を行う。
(4)「食の安全・監視市民委員会」のニュースの発行
(5)食の安全に関する情報提供、意見を幅広く受けとめる体制を早急に整える。

 また、その〈組織〉は次のとおり。
(1)本会は、その目的に賛同して入会した個人会員及び団体会員によって構成される。
(2)総会は会員で構成し、原則として1年に1回開催する。
(3)運営委員会を設置し、活動目標に基づいて運営方針を決定する。
(4)常任運営委員会を設置し、運営方針に基づいて活動を行う。
(5)課題に応じて専門委員会を設置する。
(6)事務局を次のように日本消費者連盟内に設置する。
 〒162-0042東京都新宿区早稲田町75日研ビル2階日本消費者連盟気付
 食の安全・監視市民委員会事務局 Tel 03-5155-4765 Fax 03-5155-4767


〈役員〉は、代表、運営委員、常任運営委員、監査委員、事務局長とすることが設立総会で検討され、次のメンバーが選ばれた。
代表:神山美智子
運営委員:井上義雄(東海大学)、生井兵治(前筑波大学)、寺田かつ子(東京地婦連)、石黒昌孝(農民連)、大和孝資、及び常任運営委員。
常任運営委員:神山美智子(弁護士)、天笠啓祐(遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン)、市村忠文(フォーラム平和・人権・環境)、 伊藤康江(日本有機農業研究会)、蓮尾隆子(家庭栄養研究会)、山浦康明(日本消費者連盟)
監査委員:三宅征子(日本子孫基金)
事務局長:水原博子(日本消費者連盟)
また〈専門委員〉を擁することが決定され5月現在20人以上の専門家の協力が得られている。
年会費は、団体1口5000円(1口以上)、個人1口1000円(1口以上)
郵便振込:00120-8-776497(名称:食の安全・監視市民委員会)
連絡先:162-0042東京都新宿区早稲田町75 日研ビル2階
日本消費者連盟 気付 「食の安全・監視市民委員会事務局」
電話03-5155-4765 FAX03-5155-4767 E-mail: nishoren@jca.apc.org


■本会では食品安全基本法に対して次のような内容の声明文を5月16日内閣府に提出した。

 2002年4月2日の「BSE問題調査検討委員会」の報告により、政府は食品安全行政の抜本的な改革が求められ、昨年来「食品安全基本法」 「食品安全委員会」が課題となり、このたび国会で「食品安全基本法」が成立しました。私たち「食の安全・監視市民委員会」では以下のように、 この法案の審議状況とあわせてその内容は多くの問題があると考えます。とりわけこの法律の第3章に成文化された「食品安全委員会」 の抜本的見直しが必要です。今後の食品安全行政においては私たち市民の望む制度・人事・施策を求めます。
(1)第一に、国会審議が極めて不十分であった。
(2)第1章「総則」では「消費者の役割」でなく「消費者の安全・健康を求める権利」を規定すべきである。
(3)第2章「施策の策定に係る基本的な方針」において、「食品健康影響評価」(法11条)が規定されている。この評価は 「その時点において到達されている水準の科学的知見に基づいて」行われるとするのでは不十分である。「予防原則に基づいた安全性評価」 の考え方が基本におかれる必要があり、とりわけ、新規食品などに関する安全性評価においては、 開発者の安全性の証明と徹底したデータ開示が必要である。少しでも安全性に疑問が提示された場合には、まず結論を凍結した上で、 関係者間の徹底した議論がなされる必要がある。
(4)「情報及び意見の交換の促進」(第13条)はリスクコミュニケーションの徹底が必要である。これは、 政府や評価機関による情報提供といった一方的なものであってはならない。また条文にある「施策について意見を述べる機会の付与」「意見交換」 をするためにのみ位置づけられるのではなく、


「食品安全基本法」は2003年5月16日に国会で成立し、「食品安全委員会」が7月1日に設立されることになった。
また6月4日には「食品安全5法」が成立した。このうち食糧庁の廃止、消費・安全局の新設などを内容とする「改正農水省設置法」、 「改正HACCP(危害分析重要管理点方式)法」、「食品安全確保関連法」、「改正飼料安全法」は7月1日に施行される見通しだ。
また「牛肉トレーサビリティ法」は年内の施行をめざしている。それぞれが制度の改革を目指すものだが、後述のように多くの問題点を抱えている。
山浦康明(日本消費者連盟)

私たちの意見が反映される場として位置づけられるべきである。 そのような双方向性を有するリスクコミュニケーションを制度として担保すべきである。そのため、消費者の申し出制度を新設し、 措置請求権を保障すべきである。
(5)第3章「食品安全委員会」
1.この委員会は業務として「食品健康影響評価」を行い、「食品の安全性確保のための施策を内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告」し、 「施策の実施状況を監視・勧告」(第23条)する、とある。また「関係者相互間の情報及び意見の交換を企画・実施すること」(第23条)とする。 こうしたリスク評価、リスクコミュニケーションを行うにあたっては、その目的が達成されるように、安全性を求める権利を有する消費者も参加して、 評価対象の選定、リスク管理部門への強い監督・監視を行わなければならない。
2.そのためには、食品安全委員会は担当大臣を置くことなく、公正取引委員会のように独立した機関となるべきである。
3.その権限は「関係行政機関の長に対して、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めること」(第25条)以上に、強力な指導・ 勧告の権限をもたせる必要がある。
4.委員は7名(第28条)で、科学者を中心に構成されようとしているが、企画、安全性評価、 行政監視など重要な業務を行うためにはEUに見られるように科学者以外が委員長となり、委員には消費者、生産者、事業者、 研究者を入れた総合的なものとする必要がある。そのため常勤の委員をもっと多くすべきである。
5.委員の人選については「両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命する」(第29条)とある。人選の透明性を確保するためには、消費者、生産者、 事業者、など関係団体からの推薦者リストを作成し、選考基準・選考過程を透明にし、 公募制を取り入れるなど行政からの独立性を確保するための工夫を行うべきである。
6.「専門委員」(第36条)の人選にあたっては、リスク評価機関として本委員会の独立性を確保するために、 既存の省庁の審議会委員を兼務させるべきではない。また人選においては、関係団体の推薦に基づく公募制をとり入れ、選考基準、 選考過程を公表すべきである。
7.「事務局」(第37条)事務局長および事務局スタッフは、意欲ある者を公募制により選出することとし、 事務局長は行政機関出身者以外とすべきである。スタッフは民間からの起用も含める。
(6)今後の課題
安全な食品は、自然環境を基盤とし、農薬、化学肥料、飼料添加物、 動物用医薬品など食品の安全性に影響を及ぼすおそれのあるものを生産段階から避け、放射線照射、遺伝子組み換え技術を使わないで、 自然環境と調和した農林水産業によってつくられるという基本的認識を明らかにすべきである。そのような認識に基づき、有機農業・ 環境保全型農業をいっそう推進する施策が講じられなければならない。そのため、「有機農業振興基本法」の創設や、関連する農薬取締法を改正して、 農薬の定義の見直しや有機農業側から包括的に有機農業関係の防除資材等を適用除外するなどの対策が課題となっている。
 また、食の安全に関して多くの問題を引き起こしている輸入食品についても、関連する食品衛生法を改正して、 輸入監視の強化などを図るべきである。同時に、食の安全性に影響を及ぼすおそれが


ある生産資材、食品、食品添加物などを総量として削減していく施策を総合的かつ計画的に推進することが必要である。
 さらに、「安定性のある食システムの確立」、「食料自給率の向上、地産地消の推進」、「食文化の継承と創造」、「環境にやさしく持続可能な食」 など、農と食のあり方への視野をもった総合的な施策への発展をめざすべきである。

■6月に入り各紙報道によれば、政府の「食品安全委員会」には次の7名の委員が内定したが、やはり消費者代表は存在しない。委員長・寺田雅昭・ 元国立がんセンター総長、小泉直子・兵庫医科大教授、坂本元子・和洋女子大教授、本間清一・お茶の水女子大教授、寺尾充男・日本公定書協会会長、 三上彪・日本大教授、中村靖彦・元NHK解説委員。
「食の安全・監視市民委員会」はこの政府の委員会の監視も強めていく。食の安全・監視市民委員会

 

農薬取締法改定についてのまとめ

[ 2003年12月02日 レポート ]

■特定農薬
 特定農薬は、農薬取締法の「農薬」定義にあてはまらないもので、 農業生産の上で農薬と同様に殺虫や殺菌、除草などの目的で使用される資材をすべて指定制とし、 指定されなければ不適正使用として使えないようにするためのものでした。しかし、実際に特定農薬として指定されたのは食酢、重曹、 使用される場所の周辺で採取された天敵のみとなってしまい、実効性がないことを自ら示す結果となりました。
 さらに、有機農業などで「特定農薬使用」という表記が生まれるなど、特定農薬という法律定義が生む混乱から、農水省は、現在、 特定農薬の通称を「特定防除資材」として定めることにしているようです。しかし、法律の改定をする見通しはありません。
 当面は、指定された特定農薬以外の資材は従来通り使用できます。
 ちなみに、粘着剤などの物理的防除資材、アイガモ、アヒル、ウシ、コイなどは農薬ではないとされました。 使用される場所の周辺以外で採取された天敵については、 生物農薬と同様に登録農薬とすべきと農薬分科会小委員会は特定農薬について整理しています。
 この特定農薬問題以上に法改定には問題がありました。
 罰則が強化されたと言いつつ、実際には使用できる農薬の適用が拡大したり、経過措置として使用できる農薬の範囲を拡大し、かつ、 罰則のない努力規定を濫用するなどして、農薬をこれまでより使用しやすくしています。


■マイナー作物とグループ化、登録適用拡大
 農薬取締法の改正によって、すべての食用作物で登録された農薬しか使えないことになりました。しかし、実際には、登録のない作物、 いわゆるマイナー作物があり、それらはグループ化して、農薬メーカーから登録変更を受け付け、 グループ内の作物であれば農薬が使えるようになりました。反農薬東京グループによると3月20日現在、191成分、 630製剤が登録変更の届けだけで適用拡大されたことになります。
さらに、経過措置として県知事が申請し農水大臣が承認すればかなりの範囲で農薬が使用できるようになっています。 この申請の受付は03年12月までとなっています。反農薬東京グループが3月30日までにまとめたところでは、 44都道府県で農薬件数のべ1158件、作物数のべ798、作物と農薬での組み合わせでは2590件の承認となっています。

■失効農薬でも使える?
 今回の農薬の定義では、「登録農薬」「特定農薬」が使用できる農薬であり、「無登録農薬」すなわち一度も農薬として登録されていないものや、 「使用禁止農薬」すなわち一度は農薬として登録されたものの安全性などの理由で使用を禁止し、失効した農薬は使用することができません。しかし、 「失効農薬」すなわち一度登録されたものの農薬メーカーが再登録を行わないなどの理由で失効したものについては、 使用禁止農薬に指定されない限り使用できることとなりました。

■罰則のない努力規定
 さらに、農薬使用基準の中では、以下の項目が努力規定とされ、罰則のない状態になりました。
 ①有効期限切れ農薬を使用しない
 ②農薬を使用した日や場所、作物、農薬の種類や量を記帳する
 ③航空散布や住宅地周辺での散布で、農薬が飛散しないようにする
 ④水田で使用する農薬の止水期間を守る
 ⑤土壌くん蒸剤の被覆期間を守り揮散防止に努める

■防除業者の届け出制度廃止
 これまでの農薬取締法にあった防除業者への届け出制度と都道府県の監督義務が廃止されました。これにあわせて、 省令である農薬使用基準の中でくん蒸業者、航空防除業者、ゴルフ場散布業者に対し、農水大臣へ住所氏名、 農薬使用計画を届け出ることが義務づけられました。これにより、公園や農薬を散布していた業者の多くが登録、監督などの指導対象からはずれ、 農薬の使用規制が甘くなりました。

■作物残留性農薬、土壌残留性農薬分類の削除
 この他、これまでの作物残留性農薬、土壌残留性農薬については、全農薬に使用基準を設けるとしているため分類そのものがなくなりました。 水質残留性農薬については、地域ごとの指定であり、総量規制の意味から残されたようです。

 

政府の「食品安全委員会」の問題点

[ 2003年12月02日 レポート ]

市民委員会常任運営委員・日本消費者連盟  山浦康明

 政府の食品安全委員会が7月1日内閣府に発足した。この日は第1回の会合が開かれ、委員長に寺田雅昭・元国立がんセンター総長を選んだ。 また首相は谷垣禎一郎食品安全委員会等担当相を食品安全担当相に任命した。副大臣には根本匠氏、大臣政務官には木村隆秀氏が決まった。
 食品安全委員会の第2回会合が7月9日に開かれたため、市民委員会(FSCW)の水原さんと私が傍聴した。 会議時間は午後1時30分から午後2時30分という短時間にすぎず、次の4議題が討議された。
①「委員長代理の指名」では、寺田委員長から既定のように寺尾充男氏の推薦があり、質疑もなく了承された。
 [本来ならば候補者の推薦の理由を説明し、経歴やリスク分析に関する考え方、 消費者の立場をどのように考えているかなどを委員の間で討議すべきであった]*[ ]は山浦の見解以下同じ
②「専門調査会運営規程」について(15分間):事務局が「規程案」を説明し、「添加物専門調査会」など科学的評価を行う13の調査会、及び 「企画」「リスクコミュニケーション」「緊急時対応」の3専門調査会を置くとした。各専門調査会の座長は食品安全委員会委員長が指名する。
 [討議内容はおそまつなモノだった。委員7名の内発言したのは本間委員が6回、中村委員が1回、見上委員が1回だけだった。 その内容は食品安全委員会事務局に対して、「専門委員の兼任、任期、専門調査会の設置の優先性」などについて、 この規程の内容を質問するというものにすぎず、委員会が主体性をもって専門委員会を構築しようとする姿勢は皆無だった。小泉、坂本、寺尾、 各委員は無言のままだった。専門調査会の委員の人選がとくに重要であるが、各座長の案は討議されず、のべ 200人にわたる専門委員の人選は事実上、事務局まかせとなり、7月末にこの委員会で承認するという段取りになりそうである。 このままでは事務局主導の形骸化した委員会となってしまう恐れがある]
③「食品安全モニター」について(15分間):全国で470名を選びリスク管理のチェックを市場などにおいて行ったり、 食品危害情報を集めるという重要な任務を持つモニターだが、応募資格についてはまたもや事務局をもとに若干の修正を行い決定された。
 [発言は中村委員が2回、坂本委員、本間委員が各1回、寺田委員長が2回行いまとめた]
 すなわち
 A:食品に関係の深い学問(理科系を中心)を修めた者(修正により流通・経営の分野は入った)
 B:食品に関係の深い資格を持つ者
 C:食品の安全に関する行政・業務に従事したことがある者。
 [これらは一般の消費者、社会科学専攻の者を排除する意図がある。これにはさらに、D:として一般
 消費者や社会科学専攻の専門家にも応募資格を与えるべきである]
④「諮問事項」について(25分間):委員会第2回会合で、7月1日付けの厚生労働大臣よりの諮問があった。その内容は「農薬残留基準」 「動物医薬品の食品への残留基準」「食品添加物」などである。(発言は中村委員、本間委員、寺田委員長が各3回行った。他の委員は無言)
 [私たちは7月16日、食品安全委員会に対して安易な安全性評価を行わないことを要請した]

□第3回「食品安全委員会」は7月18日(金)14時から開かれた。中村靖彦委員は欠席。 議題は①食品安全基本法第24条に基づく委員会の意見の聴取について、②その他だった。
①は農薬・動物医薬品・かび毒・清涼飲料水など数え切れないほどの品目について「リスク評価をお願いしたい」ということである。新たな基準設定、 改正もあるが多くはすでに「薬事・食品衛生審議会」で審議済みの物が大半である。
 厚生労働省の担当官から法律と基準設定の手続き、部会報告の内容の説明があった。質問は本間委員3回、坂本委員1回、寺尾委員1回。 質問に事務局が答えていたが、すべて納得かどうか、反論はない。1時間たらずであっけなく終了。専門調査会(これから人選) で再評価の必要の有無を区分するということであるが、調査会の委員が、旧「薬事・食品衛生審議会委員」と同じなら“再評価必要なし” になってしまう。新しい委員はまったく別の人にしなければ意味がない。7月16日に私たちが提出した公開質問状 (安易に安全性評価をすべきでない、等)が事務局より紹介され、委員にも渡された。 

「食の安全・監視市民委員会」は7月16日「公開質問状」を食品安全委員会委員長に提出。
 その慨容は以下のとおり
 本年5月に成立した「食品安全基本法」に基づき7月1日より、「食品安全委員会」が設置され、2回の会合を重ねてきました。私たち消費者・ 市民は今後の日本の食品安全行政が抜本的に改革され、消費者の声を反映しうるものとなるかに注目しています。
しかるにこれまでの貴「食品安全委員会」の組織・活動については以下のような疑問を抱かざるを得ません。 リスクコミュニケーションを重視する考え方に基づき、私たちの疑問に対しご回答いただくとともに、 私たちの声を7月18日の第3回委員会会合以降の運営に反映されることを要請いたします。

1.食品安全委員会の7名の委員のうち主に常勤委員が毒性学、微生物学、有機化学、公衆衛生学等の専門家とされる。 各分野担当は毒性学が寺田雅昭委員、有機化学が寺尾充男委員、微生物学が見上彪委員、食品流通が本間清一委員、 公衆衛生学が小泉直子委員と思料されるが、正確か否かをお答えいただきたい。事実に反する場合には正確な担当者をお知らせいただきたい。
2.同じく7名の委員のうち主に非常勤委員が農場から食卓までの生産・流通システム等、食生活、健康意識を中心とした消費者意識、消費者行動等、 食をめぐるコミュニケーションを担う情報交流の分野を担当するとされ、坂本元子委員、中村靖彦委員がこの分野を担うと思料されるが、 正確か否かをお答えいただきたい。事実に反する場合には正確な担当者をお知らせいただきたい。
3.7月9日開催の第2回委員会において「食品安全モニター」制度が討議されたが、その中で、応募資格につき事務局案に引きずられ、 応募資格を限定し、一般消費者、社会科学専攻の者を排除する意図があり遺憾である。なぜそのように狭く限定したのか釈明を求めるとともに、 モニターは食の安全を現場で確認する重要な役割を担うものであり、一般消費者や(流通、経営以外でも) 社会科学分野の専門家に応募資格を与えることを求める。
4.7月18日の第3回委員会において厚生労働大臣より7月1日に諮問された「農薬残留基準」「動物医薬品の食品中の残留基準」「食品添加物」 等につき安易な安全性評価を行わないことを要請する。評価の作業を行う場合は薬事・ 食品衛生審議会等の審査とは別の食品安全委員会の独自の安全性評価を行うこと、 その際には毒性データの安全性再評価を生データに基づき充分に行いその審査経過を公開することを求める。 
5.専門調査会委員の人選が事務局主導で行われようとしていることは遺憾である。食品安全委員会委員の実質的な選考を求める。 また専門調査会委員がいつ決定し、食品安全委員会の活動が本格化するのかその時期をお知らせいただきたい。
6.以上の点につき7月23日までに文書でご回答いただくことを求めます。

7月24日、市民委員会事務局に政府の食品安全委員会事務局メンバーが来訪し、私たちの質問状(7月16日付)に回答。
 その後「食品安全委員会」は、7月24日(第4回)、7月31日(第5回)、8月7日(第6回)、8月21日(第7回)、8月28日(第8回) 、9月4日(第9回)、と会合を重ね、食品添加物、農薬残留基準、動物医薬品の食品への残留基準などを、薬事・ 食品衛生審議会の答申通りに承認した。
 また8月28日には、食品安全委員会内に「緊急時対応専門調査会」が、8月29日には、「プリオン専門調査会」が設置された。しかし、 いづれも、リスク管理機関から独立し、主体性をもって安全性評価を行おうとする姿勢は今のところ見られない。なお、「企画専門調査会」 「リスクコミュニケーション専門調査会」は一部の委員を公募したがまだ人選は終わっていない。 消費者の声を実質的に反映する委員が選ばれるかどうかは、「食品安全委員会」の運営の仕方を占うものとなる。

 

農薬取締法改定はなんだったのか 提携米セミナー講演録

[ 2003年12月02日 レポート ]

2003年第2回提携米セミナーを6月20日に開催しました。
講師に反農薬東京グループ代表の辻万千子さんをお招きし、「農薬取締法改定はなんだったのか 結局、喜んだのは農薬メーカー」 をテーマに農薬取締法の問題点を明らかにしていただきました。

■反農薬東京グループ

2002年の7月末に無登録農薬問題が大きく取り上げられました。これをうけて、農薬取締法の改定があり、省令の修正がありました。 この1年で農薬を取り巻く状況が大きく変わりました。
 実際、農薬取締法の改定とはなんだったのでしょうか。
 結論から言うと、農薬取締法の改定で喜んだのは結局、農薬メーカーだけでした。
 今回の農薬取締法改定では、農薬の問題を作物の残留農薬に矮小化しました。もちろん、 作物への農薬残留により消費者の被害がまったくないとは言いませんが、農薬全体の毒性から考えれば、農薬を使う生産者や周辺住民、 環境への影響の方が重大です。

【残留農薬問題へのすりかえ】
 2002年、無登録農薬問題とならび、中国の「毒菜」問題が起きました。輸入冷凍ほうれん草に違反農薬が高濃度に残留していたという問題です。 中国では残留農薬で何十万人が中毒になったという噂が流れています。この噂の確認はできていません。
 1980年代にアメリカ・カリフォルニアではスイカにアルディカーブという農薬が残留し、約1000人が被害を受けた事件がありました。 作物の残留農薬で直接被害を受けた大事故はこれくらいです。残留農薬で慢性毒性による人体被害を特定した例はまだありません。
 しかし、農薬を散布する農家の健康問題、周辺住民の健康問題、 土壌や水など環境汚染を通じて水道などから毎日摂取するなどの問題の方がより大きいと思います。
 それなのに農薬問題を作物の残留に限ってしまうのは、問題の矮小化です。
 武部・前農相は、「生産者から消費者へ軸足を移す」と言いましたが、これは残留農薬を減らすという意味でした。生活環境での農薬・ 農薬類似物質による化学物質過敏症・アレルギーが増えています。2002年9月に武部大臣と面談して規制を求めましたが、 今回の農薬取締法の改定では、生活環境に対する規制は無理だとはっきり言いました。残留農薬の規制であり、 農薬を使用する農家の不正使用に罰則をつけるための改定だということでした。
 この農薬取締法の改定は、本当に消費者のためになったのでしょうか? いいえ、むしろ、今後数年間は、 どういう農薬が使われるかさえわからないような状況となっています。

【増える農薬の広告】
 最近の日本農業新聞には農薬メーカーの広告がものすごくたくさん掲載されています。それも、一番目立つところにです。
 たとえば、プリグロックスLというパラコートとジクワットの混合剤の広告があります。この農薬は今も日本で一番死者が多い農薬です。 プリグロックスLはパラコートを含み、これは杯1杯で死にいたります。それもすぐに死ぬのではなく、 2週間ぐらい苦しみ抜いて最後は肺の呼吸困難で死にます。それでも自殺目的で使う人がいます。
 ずっと以前の例ですが、グラモキソンというやはりパラコートの入った農薬の原液をいれた洗面器に尻もちをついて、 皮膚から吸収され死んでしまったという例もあります。この農薬はパラコート25%入りでした。
 プリグロックスLはパラコート5%、ジクワット7%で低毒性になったとメーカーは言いますが、それでも毎年数百人がパラコートで死んでいます。
 現在、この農薬は、まったくマイナス表示なしに「よく効く」と広告されています。なぜ、このプリグロックスLを宣伝しているかというと、 パラコートは土壌に吸着してしまって作物に残らないとされるからです。
 この農薬は、一時、日本で製造が中止されていましたが、現在原体が輸入され、 シンジェンダと大塚化学は農薬取締法の改定後にどんどん宣伝をはじめました。
 仮に、彼らの主張が正しく、土壌に吸着し、作物に残留しないとしても、撒く人の危険は去りません。誤って飲んでしまったら助けようがなく、 80%の人が死にます。助かった人も血液を全部替えるなどいろいろなことをやってようやく助かったという状況です。
 そのような危険は広告に載りません。農薬取締法が変わってからもこのような宣伝は減ることなく、むしろ増えています。
 今回の農薬取締法改定が、問題を残留農薬に矮小化した結果です。

【知らされない農薬登録情報】
 昨年、無登録農薬の販売や使用が全国的に問題になりましたが、この問題の本質には、農薬の毒性や失効などの情報が、 農家に伝わっていないことがあります。
 この点は、今回の農薬取締法の改定でも変わりません。
 2002年7月31日に山形県の業者が逮捕されました。このときの無登録農薬であったダイホルタン、プリプトランは、 かつて登録されたことがあり、失効した農薬です。ダイホルタンは、厚生労働省が失効後7年後ぐらいに、農産物への残留基準を厳しくし、 「残留してはいけない(ND)」に変えました。その理由は発ガン性でした。
 しかし、発ガン性があるという事実が明らかになったのは、今回の問題が起こってからのことです。私たちは「農薬毒性の事典」を発行し、 昨年改定版を発行しています。この中で、独自に文献を調べてダイホルタンには発ガン性があると記載していますが、 農水省や厚生労働省に接している私たちでさえ、厚生労働省が「発ガン性がある」とした情報は知りませんでした。まして、 一般の農家の方が知るはずがありません。
 ダイホルタンに発ガン性がある、プリプトランに催奇形性があるという情報は、業者が逮捕されてはじめて出てきました。「ダイホルタンとは何か」 と新聞にコラムが載っていて、そこに「発ガン性がある」と書かれており、記者にどこからの情報か問いただすと、「農水省が言った」 ということだったので、確認すると、農水省は「厚生労働省が言った」と言いました。つまり、情報公開がきちんとされていないのです。
 ダイホルタンを使っていたのは、東北地方が多かったのですが、その方々が「発ガン性があると分かっていたら使わなかった」と言っています。 しかし、その情報は入らず、ただ安くてよく効くとして使われていたわけです。

【無登録農薬使用は氷山の一角】
 無登録農薬は、最終的に、44都道府県、4641農家が購入、使用したとされています。ただし、 この数字の根拠は県の調査を農水省がまとめたものです。最終的に30種類の無登録農薬がありました。
 この中に、ナフサクという、メロンの肥大調整に使われる農薬があります。
 このナフサクはマスクメロンの表面にきれいに網を出すため、全国的に使われています。私は、 ナフサクの使用をやめた静岡のメロン農家に呼ばれたことがあります。この地域には、3つの生産組合があり、1000人以上の生産者がいます。 ナフサクを使われているとおぼしきメロンを分析したところ、ナフサクが残留しており、その結果が新聞に出ました。
 しかし、静岡県は、この事例などを今回の問題で取り上げていません。何人かの農家が、 県に対しナフサクを使っている農家があるではないかと言いに行ったのですが、取り合ってくれなかったそうです。
 だから、静岡県のリストには出てきませんし、農水省のまとめにも上がらない。つまり、この人数は氷山の一角なのです。

【拙速な改定がもたらす混乱】
 無登録農薬問題から農薬取締法の改定まではものすごく拙速です。
 武部農相が、2002年8月に、使用農家への罰則がないのがおかしいと発言しました。そして、10月には、農薬取締法の改定案が提示され、 12月には、衆議院、参議院を通過、成立しました。2003年3月に、使用基準などの省令が決まっています。
 私たちとしては、農薬取締法の改定や使用基準の見直しは必要だが、単なる罰則強化ではなく、抜本的な改正を主張してきました。 私たちが問題にしている生活環境での農薬や類似物質については、今回の改定はむしろ後退しています。

【条文から削除された防除業者の規制】
 今回の農薬取締法改定では、いくつか削除された項目があります。
 特に、防除業者の届け出と監督が規制されなくなりました。これまでの農薬取締法では、 農薬を散布してお金をもらう防除業者は都道府県に届け出が必要でした。都道府県は、業者に対し、指導監督ができました。もっとも、 ほとんど指導はしていませんでしたが、その権限をもっていたのです。
この届け出義務がなくなり、都道府県はどこでどんな業者が散布しているか分からなくなりました。
 農水省はこの理由として次のように説明しています。これまでは、製造業者、輸入業者、販売業者という規定がありましたが、この「業」 がなくなり、製造者、輸入者、販売者となりました。防除業者も、「業」がなくなるため、防除者です。そこで、 防除業者も一般の農薬を使う農家も同じ「防除者」である。そういう発想だそうです。
 この件について、私たちはなんども規制を残すよう交渉しましたが押し切られました。
 そこで、2月に都道府県知事宛にアンケート調査しました。この中で、 半数ぐらいがこの防除業者の届け出義務がなくなることを問題視していました。今後把握する方法は検討中というところが多かったのですが、中には、 従来よりもっと厳しくしたいという意見もありました。
 防除業者は、田んぼや学校、街路樹の防除だけでなく、マンションの木、シロアリ防除、衛生害虫駆除、ネズミ駆除などと同じ業者です。 農薬だけでなく、様々な薬剤を散布する業者が参入しています。
 防除業者は散布器と薬剤があれば成立します。安全性の知識は持っていません。人がいようがいまいが、安全だと思って薬剤を撒きます。
 ひとつの例ですが、2000年、北海道静内町にある特別養護老人ホームでゴキブリ駆除が行われました。もちろん、 北海道にはゴキブリがほとんどいません。
 ここで、ハウス栽培で使われる有機リン系の燻蒸剤DDVPをはじめ、スミチオンなど数種類の農薬を散布しました。 散布中一時的に入居者を外に出していましたが、7時間後に入居者を入れました。そこで、健康被害が発生しました。中毒で入院する人もいました。 この業者は農薬防除業者であり、シロアリ駆除をはじめ、様々な散布業をやっていました。しかし、この程度の認識しか持っていなかったのです。

【防除業者のための行政】
 今、西ナイルウイルスがアメリカで問題になっています。これは蚊が媒介します。 もうすぐ日本に入ってくるのではないかと厚生労働省が戦々恐々としています。担当の結核感染症課は西ナイルウイルスは蚊が媒介するので、 蚊を駆除すれば安心だという考えになっています。もし、患者が発生したり、 カラスが死んでいて西ナイルウイルスが検出されたら周囲10km四方に空中散布し、蚊を駆除しろといっています。 そういうガイドラインを都道府県に通達しようとしています。化学物質過敏症の人だけでなく、一般の人にも健康に影響がでてくるでしょう。 私たちはこの通達を出すなと申し入れをしているところです。
 このガイドラインは、国立感染症研究所、PCO業者代表、防除業者を指導する日本環境衛生センターらがつくっています。PCOとは、Pest Control Opaerator(ペストコントロールオペレーター・害虫防除技術)のことです。
 昔、伝染病予防法という法律があった時代、町内会が農薬散布、駆除を行ない、必要のないような薬剤散布をやってきました。 私たちがさまざまな運動をしてようやくこの事業は減りつつあります。
 本当に蚊の発生を抑えようと思ったら、成虫を駆除するのではなく、発生源をなくすことです。幼虫段階で抑制するしかないのです。
 多くの反対運動の結果、ようやくこの町内会での防除体制がなくなってきたと思ったら、今度はPCO業者が行なうというのです。 ガイドラインによれば、蚊の駆除について専門的な知識を持っているのはPCO業者であり、 市町村はPCO業者に頼んで駆除しなさいということです。
 このガイドラインには、散布するための農薬として、危険な有機リン系農薬がリスト化されています。防除機についてもリスト、写真、 連絡先まで記載された業者にやさしいガイドラインになっていました。
 6月2日にガイドラインについての新聞記事が出ました。そこで、6月10日に厚生労働省に申し入れをしました。その際、 厚生労働省は万一西ナイルウイルスが入ったらパニックになるので、その防止対策だとして聞き入れませんでした。その後国会で、 業者名が入っているものを国のガイドラインとして出していいのかと質問してもらいました。その結果、厚生労働省の名前をはずし、 ガイドラインではなくなり、特別研究の研究報告との内容に変わり、農薬散布だけでなく、日常的に水たまりをなくすとか、 散布時には乳幼児等の家族に配慮するようになどの課長通知をつけて、昨日公表されました。
 私たちは、町なかで農薬が散布されるような状況を少しずつ抑えてきたつもりです。ところが、この西ナイルウイルスの問題でいっぺんに元に戻り、 とにかく殺虫剤を撒けという状況になりつつあります。
 この例をみてもわかるようにPCO業者と厚生労働省はとても仲よしです。
 彼らの利権は直ちに取り入れられ、70頁におよぶようなガイドラインをさっさと作ったりします。そして、 市民の健康被害を示す意見は無視するという構図は変わっていません。

 農薬取締法の改定でPCO業者の届け出はなくなりました。もちろん、農家と同じように「使用者」として同じような罰則があります。食用作物、 飼料作物の使用基準には罰則があります。しかし、非食用作物については罰則がありません。抜け穴があるのです。たとえば、 桜の木に使う農薬については罰則がありません。これではほとんどのPCO業者の行為が罰則から逃れられます。
 たとえば、桜につくアメリカシロヒトリの防除で、 有機リン系のディプテレックスはアメリカシロヒトリには1500倍に希釈しなければなりません。しかし、 他の虫では1000倍の希釈でいいとされます。それでは、桜の木にアメリカシロヒトリ防除を目的に1000倍で撒いたら違法ではないかというと、 「違反ではあるが罰則はない」ということになります。
 私たちは、このPCO業者の届け出がなくなったのはあまりにもひどいと訴えつづけ、法律からは削除されましたが、省令で復活しました。 空中散布、ゴルフ場、農薬燻蒸業者は届け出になりました。しかし、一番問題にしていたPCO業者の届け出は不要となりました。 PCO業者が防除業者全体の8割から9割を占めています。これでは意味がありません。

【問題だらけの特定農薬規定】
 農薬取締法の改定で追加された主な条文とは、使用禁止、使用規制、使用指導です。使用禁止とは、無登録農薬を使ってはいけないということです。 そのためには、どれが登録農薬で、どれが無登録農薬かはっきり知らなければなりません。そこで、 ようやく農薬検査所のホームページに失効農薬の一覧が出るようになりました。しかし、理由は明らかにされません。 毒性上の問題で失効したのか、 メーカーがもうからないから製造をやめたのか、それが分かりません。
 さて、この結果、使える農薬は、登録農薬か特定農薬しか使えなくなりました。罰則は、個人で最高刑は、懲役3年か100万円、 法人は1億円となっています。
 ここで問題なのは「特定農薬」です。
 なぜ、特定農薬が出てきたのか? 結局、化学農薬を使わない有機農家なども規制しようという発想です。最初の農水省の説明では、 有機農家が使っている資材はもちろん登録された農薬ではなく、かといって、それを農薬取締法違反だとして規制するのは過剰規制になる、よって、 原材料に照らして安全なものは農水省が使用を認めるというものでした。最近は説明がどんどん変わっています。
 農水省は2002年12月に、特定農薬候補の調査、情報収集をしました。有機農家、JAS有機認定機関や都道府県から情報を集め、 600種類ぐらいが上がってきました。
 合鴨やカエルなどもあり、こんなものも認定されないと使えないのか、と、社会問題になりました。
 特定農薬は、 農業資材審議会農薬分科会特定農薬小委員会と中央環境審議会土壌農薬部会農薬専門委員会の合同委員会で指定することになっています。法律には、 農業資材審議会の意見を聞くとなっていますが、実際には、この合同委員会です。
 農薬取締法が12月改定、3月施行となりました。農水省はこの委員会に特定農薬を決めろと丸投げしました。本山直樹農薬分科会部会長 (千葉大学教授)に、「事前に改定についての情報を持っていますか」と聞いたところ、もっていないとのことでした。 なんの相談もなかったようです。改訂後に聞いたら、「3カ月以内に特定農薬を決め、使用基準を決めろと言われた」とのことです。 特定農薬の規定がまったくなく、事前の相談もなかったため、「原材料に照らして安全」なもので決めろということでした。検討委員会では、 「安全であっても効果がなければ農薬とは言えない」という話になり、結局、「安全で、効果があるものを特定農薬に指定する」となりました。 その結果、最終的に、重曹、食酢、地域でとれる天敵の3種類が特定農薬として指定され、あとはすべて保留となりました。保留は、 指定されるまでは、使用者が効果があると信じて使う分にはかまわない。ただし、販売業者は農薬として効果があるといって売ってはならない。 というあいまいなことになりました。
 現在、特定農薬を決める基準を作っているところです。
 基準案は、農水省が出しています。
 まず、特定農薬が「特定防除資材」という通称になります。通称の方が長いというのも変ですね。この指定には科学的評価が必要だとして、薬効 (効果の確認)、安全性(農産物、人畜水産物への確認)を求められます。
 特定農薬に指定されると、効果があり、安全だというお墨付きになります。
 ですから、特定農薬に指定されると、安全と効果が農水省によって保証されるということで、木酢やニームなどの販売業者らが、 現在採用のロビー活動をしています。
 指定の対象にならないものは、化学合成物質です。ただし、食品は除かれます。次に、抗生物質、天敵、微生物、弱毒ウイルスはだめです。 化学合成界面活性剤の補助剤を入れるのもだめです。石けんもだめでしょう。
 だめだと決められたものは、ナフサク、塩化ベンザールコニウム(逆性石けん)、クレゾール、クレオソート、タバコ抽出物、ナフタリン、ホウ酸、 ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、灯油、消石灰などです。これらは、特定農薬に指定されず、必要ならば、登録をとるしかありません。
 では、化学合成物質を指定しないとなっていますが、「化学合成物質とはなにか」、その議論が審議会で行われています。傍聴していたのですが、 農薬対策室長は、化学合成物質についてわからない、と発言し、委員から、それでは困ると返されています。たとえば、酢にも、発酵と合成があり、 合成は化学合成物質なのか、と聞かれると、事務局は答えられず、「化学合成とは、化学合成的手段によって作られる」というのが、 何かの法律にあるそうで、それを読み上げたところ、大笑いになっていました。
 化学合成物質の整理さえできないという討議です。
 加熱したらいけないのか、抽出したらいけないのか、疑問が多い点ですが、まだ決まっていません。
 たとえば、除虫菊粉剤は特定農薬になりうるでしょうか。農薬対策室長は、販売するなら登録が必要だといいます。実際に、 過去に除虫菊粉末は登録されたことがあり、主成分のピレトリンは登録されています。
 つまり、特定農薬の指定は、最初に考えられていたより厳しく、安全性と薬効を申請者が提出しなければなりません。薬効については、 2カ所以上の研究機関で認められデータが必要とされています。農水省は、農家の負担を考え、予算の範囲で試験も考えているとしています。
 おそらく、化学農薬メーカーも特定農薬の指定を待っていると思います。ニームやセルコート(セルロース系の合成化学物質で虫を窒息死させる) などが指定されたとき、化学農薬メーカーが販売し、今、そういう資材を開発している中小のメーカーはつぶれていくと思われます。 大手のメーカーは、一方で化学農薬を売りながら、品揃えとして特定農薬を扱っていくことになるでしょう。
 この制度そのものをなくしてしまわなければならないと、食の安全と農薬問題連絡会で運動を続けてきました。
 農薬取締法の修正案を作り、国会で社民党と共産党に提案してもらいましたが、否決されてしまいました。
 有機農業で使うような資材は、別の法律で管理すべきで、農薬ではないというのが私たちの主張です。農薬とは、 化学農薬のことでいいはずだと考えています。今後、この特定農薬をいかにして農薬取締法からはずすのか、これが大きな問題で、 非常に難しい問題でもあります。抜本改正が必要で、あきらめず運動を続けていきたいと思います。

【化学農薬を推進する法律】
 農薬取締法の改定は、使用者の規制をするということでしたが、回り回って化学農薬使用の推進になるとは思いもよりませんでした。 表面的な理由とは別に、抜け道があって、最終的に農薬をどんどん使いなさいという図式ができています。
 農水省や農薬メーカー、農薬推進派の人たちは、登録された農薬は安全だという基本があります。だから、特定農薬はあやしげなものであり、 あれよりは、化学農薬のかかった農産物の方がずっと安心という人たちがいます。
 さて、農薬取締法改定を受けて、農薬使用はどのように促進されるのでしょうか。
 ひとつは、作物のグループ化です。
 たとえば、従来はとうがらしにスミチオンは使えましたが、ししとうには使えませんでした。これを作物別ではなく、 とうがらしに使っていいものはししとうにも使える、つまり「とうがらし類」としてグループ化することで、使用適合の範囲が増えました。
 ミニトマトとトマトは似たような作物ですが、残留実験ではミニトマトの方がたくさん残留しました。そこで、 これらに使用できる農薬は分けられていましたが、それがグループ化されることでミニトマトは0だったのが、94も使えるようになりました。
 野菜類という分類もあります。これは、種のことですが、種でもグループがくくられました。
 このグループ化は農薬メーカーを喜ばせ、たくさんの作物に使用できるという広告を出すようになりました。大金を出して試験をしなくても、 どんどん適用範囲が増えたわけです。
 次の問題は、マイナー作物の経過措置です。
 マイナー作物とは生産量が少ない作物のことです。農薬メーカーはマイナー作物のために農薬登録しても、登録料がかかるばかりでもうかりません。 マイナー作物の生産者は登録農薬がないため栽培できないというのです。
 当面は、登録農薬がないため、生産できなくなるケースがあるということで、経過措置として、都道府県知事が申請し、 登録がなくても使ってよいことになりました。もともと使ってはいけないけれども、2年~3年は使ってもいいということです。 適用外農薬を農水省に申請した件数、農薬名と作物名をあわせると55570件(4月28日現在)です。
 経過措置の期間ですが、食品衛生法での残留基準が3年後にネガティブリストからポジティブリストに変わることになっています。今は、 残留基準のないものが圧倒的に多く、基準のないものは残留しても違反ではないネガティブリストです。これが、 残留基準のないものが検出された場合、すべて違反となる、ポジティブリストに変わります。
 日本の残留基準の決め方はかなりいいかげんです。もともと残留基準の決め方に整合性がありません。 日本人の平均食料消費量から割り出して1日のADIを超えなければよいというものです。
 中国の冷凍ほうれん草問題では、クロルピリホスが検出されました。生のほうれん草は農産物であり残留基準がありますが、 冷凍ほうれん草には基準がありません。そこで、生のほうれん草の基準をあてはめました。茹でて冷やしただけなので、 生鮮と同じという理屈にしました。クロルピリホスはほうれん草で残留基準が0.01ppmでした。ところが、大根だと3ppmです。
 中国の冷凍ほうれん草の残留最高値が2.9ppmだったため、大根よりも低いではないかと中国が怒ってきました。厚生労働省は、最近、 大根の残留基準を下げました。
 中国だって外国ですから外圧です。
 これが3年後は基準外は違反となります。すると、マイナー作物に残留基準のないスミチオンが検出されたら、今後は違反となります。
 それまでは、申請し、承認されれば使ってよいということです。
 福岡県は最高で695を申請し、承認されました。申請したらその農薬の残留を調べなければなりません。 残留基準がないものは登録保留基準を参考に調べます。調べずに出荷して、残留が分かったら回収しなければならないと農水省は言っています。 農水省は仕組みを作ったのであとは都道府県の責任ということです。そのことを理解せずにどんどん申請したのです。 残留検査費用は県が行うこととなります。そういう覚悟で申請されたのでしょうか。富山や奈良や福井は申請数が0ですが、頭がよかったのでしょう。
 しかも、申請したグループしか使えません。県単位ではありません。もちろん他県での使用もできません。しかし、 こういう情報は消費者に一切知らされません。
 厚生労働省に、このマイナー作物の経過措置で出る残留農薬について調べないのかと聞いたところ、「そんなに心配なら有機農産物を食べなさい」 ですって。
 結局、化学農薬を使いたい放題ということです。
 農水省は、経過措置の間に、農薬登録しろと言っています。そして、農薬メーカーに負担がかからないよう、 都道府県や生産者がお金を出して登録しろということだそうです。

 他にも、農薬取締法改定について、使用基準問題など、様々な問題があります。これは、別の機会にまわします。 (講演資料として問題を整理した文書をいただいています~編注)

 


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