特別栽培農産物に係る表示ガイドライン 改正案に対する意見書
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提携米ネットワーク(担当:牧下圭貴) 2003年4月7日提出
【意見者の立場】
・本来的には、
JAS法による有機農産物の表示と特別栽培農産物ガイドラインのいずれも、前提として、
日本農業が日本の環境保全や食料の安全確保のために持続可能な農業に転換することをめざす政策が前提であるべきである。
持続可能農業法などがすでにあるものの、政策として環境保全型農業の推進や転換のための技術研究などの取り組みが遅れている。表示制度は、
農業政策を前提として、それに沿って行われるべきである。その意味で、有機農産物表示、特別栽培農産物表示制度ともに、
農業政策と一にした体系になっていない。
・本来的には、農業生産はすべて環境保全型、有機農業で行われるべきであり、農薬・化学肥料の使用は緊急時や必要最小限に抑えるべきである。
その観点からいけば、表示制度が必要であるならば、すべての農産物に対して、使用農薬、化学肥料の表示が適正に行われる方が望ましい。
・表示制度の必要性は、広域流通を前提にしたものである。農産物などの食品は、生産と消費が近い距離にあり、提携・
産直など相互に信頼関係を持って流通すべきものであると考える。その意味で、表示制度は、農業政策を前提としながら、地域自給、提携・
産直などへの転換を阻害するものであってはならない。
【総論】
・従来のガイドラインに対して、生産の原則を定義し、減農薬・減化学肥料以上を表示対象としたことなど、全体として評価できる内容である。
・慣行定義方法や栽培責任者のあり方などに個別の解決すべき問題点が残る。
【各論】
1.生産の原則について
3項目の生産の原則を定めたことは高く評価する。
より積極的に
「環境保全型農業を推進することで、持続可能な農業の確立と地域環境に寄与し、安全な食料生産を確保する」を前提に付け加えてはいかがか。
2.ガイドラインの適用の範囲について
慣行栽培生産者が圧倒的に多い現状では、農薬5割以下の回数、化学肥料使用量5割以下の規定は妥当と考える。
環境保全型農業、有機農業を推進するとの政策的位置づけを示し、慣行からの転換を政策として押し進め、農薬・化学肥料の使用量を削減するために、
将来定期的に表現方法を見直すべきである。
3.適用範囲と名称について
名称を「特別栽培農産物」と一括したこと、慣行部分が残る栽培方法を除外したことについては、高く評価する。
4.使用資材取扱について
・有機農産物の日本農林規格別表2との関係について
有機農産物の規定と異なるため、消費者が誤解、混乱する要素を持つ。また、生産者によっては、
有機農産物ほ場と特別栽培農産物ほ場を持つものがあると考えられ、化学合成農薬の取扱について誤解、混乱をもたらす要素がある。
環境保全型農業、有機農業を推進する政策を持ち、表示制度全体を見直すべきである。
・特定農薬の取扱について
農薬取締法の改正により「特定農薬」が取り入れられたが、現状、食酢、重曹、地域における天敵のみが指定される状況である。
特定農薬という概念そのものが化学農薬を取り締まるという法律の本来の趣旨にそぐわないものである。これにより、
本ガイドラインが消費者にとって分かりにくいものとなるのは残念である。
「特定農薬」のようなレトリックを廃し、農薬取締法を化学物質の拡散を抑制し、安全性を確保するための化学農薬の規制法と、
生物多様性の観点からの生物農薬の規制法として改正することが必要である。
5.慣行レベルについて
節減割合の比較基準となる慣行レベルについて、「客観性向上のため、地方公共団体が策定又は確認したものとする」となっているが、問題がある。
まず、慣行レベルの策定についてであるが、地方公共団体が都道府県レベルをさすのであれば、地域特性によって同一都道府県内であっても農薬・
化学肥料の基本使用回数・量が大きく異なる場合がある。市町村レベルであれば、農薬・化学肥料の基本使用回数・量が策定できるであろう。
ガイドラインを実効性のあるものにするには、市町村レベルでの策定が必要である。ガイドラインのままで、
市町村に策定を義務づけるのは困難ではないか?
一方、慣行レベルの確認であるが、この場合、栽培責任者、あるいは、栽培確認者が地方公共団体に「確認」を求めるのであろうか?
あいまいさを残す内容であり、策定のみにすべきであろう。
ただし、地方公共団体が策定又は確認した場合に公開、周知、見直しを求めたことは評価できる。「努める」のではなく、
地方公共団体の地域に特別栽培農産物ガイドライン準拠を求める生産者がいる場合、公開、周知、見直しを必要とするべきである。
6.7.については異議なし。