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「食料の安全保障に関するアジア・太平洋会議」開かれる

[ 2003年01月26日 レポート ]

山浦康明

2002年7月24、 25日香港において国際消費者機構(CI)と香港消費者協会の共催で、アジア・太平洋地域の消費者団体代表約百名が参加してこの会議が開かれ、 私も日本消費者連盟として参加しました。
 会議の1日目は、CIの地域事務局長のソチ・ラチャガンさんが基調報告をしました。アジア・ 太平洋諸国の消費者は3分の2が栄養不良状態にあること、多国籍アグリビジネスがアジアの農民に対して種子支配を行っていること、 多国籍の食品企業によって各国の消費者は食品の安全性問題に直面させられていることが指摘されました。
 また2日目には、国連のFAOのアルゲンチさん、CIのアリスさんが、アジア太平洋の発展途上国に特有の問題として、「ストリート・フード」 (屋台など街頭での食品製造販売)の衛生上の問題も重要な課題である、と指摘しました。また、日本では人々が意識することも薄れた、電気、道路、 上下水道、などインフラの問題がアジア太平洋地域では農産物の流通の障害となっており、消費者の栄養不足問題は、 食料不足というよりも食料へのアクセスの問題であるとの報告もありました。食料の過剰摂取と栄養失調が共存しているこの状態を改善するために、 日本の消費者は何ができるだろうか、と考えさせられました。
 また遺伝子組み換え食品はこれらの地域にも流入し始めており、消費者団体はこれに反対していますが、 一般の消費者はこの問題に気づいていません。政府の規制も甘く、GMの混入規制も日本と同様の5%です。今年0.5% に強化されたEUとの関係の中でアジア太平洋地域にどっとGM食品が入ってくるのです。私も日本の食品安全行政の問題点を報告しましたが、 混入率を始め表示の厳格化、食品安全行政の確立など、日本と同様の多くの課題があることがわかりました。 表示の分科会では参加各国のコカコーラのかんのラベルの比較も行い、同一企業でも国によって異なる表示があることもわかりました。 今後参加団体の間で連携をとり消費者保護政策を進めさせようということになりました。

会議では、さらに、 農業生産をめぐる問題提起がバングラデシュのバッタチャリャ博士、フィリピンのルーカスさんからなされました。アジアの小農にとって、 60年代の「緑の革命」は生産、農家経済、環境の各側面で失敗しました。農業の近代化に対して、伝統食など土着の知識体系を復活させること、 持続可能な農業を確立することの重要性が指摘されました。また、WTO農業交渉の中の「グリーン・ボックス」 (自由化交渉の例外規定として各国に認められるべき農業保護政策)の中に、01年ドーハ閣僚会議で出された「発展途上国ボックス」 を認めさせることも提案されました。これは農産物貿易の自由化に対抗して、農業生産の確保、貧農のための分配、小農のための技術的支援、 地域産物の振興をめざす政策であり、こうした事柄は自由化交渉の対象にすべきではない、というものです。
 今後のWTO交渉においても農業保護予算の削減問題が一つのテーマとなりますが、 日本の農家や消費者にとって国内の農業保護は重要であることは共通理解できています。一方、 01年11月ドーハでのWTO閣僚会議において開始宣言が打ち出され、この中でも、「包括交渉」において、「輸出補助金の段階的撤廃」、 「貿易歪曲的な国内助成の削減」を目指すこと、「非貿易的関心事項の確認」、「開発途上国に対する特別待遇」などが採択されました。 02年12月に議長の概観ペーパーの呈示、03年3月のモダリティ(各国の関税削減などの目標基準)確立、 9月のメキシコでの第5回閣僚会議で各国の譲許表(交渉に対する約束)の提出へと進み、05年1月1日にWTO交渉の終結、 というスケジュールが組まれています。
 日本の小農が置かれている状況は途上国の農民と同様のものがあるため、今後のWTO交渉において「発展途上国ボックス」 の考え方を広げて途上国と先進国の農業交渉の共通の提案とすることはできないか、と私も述べましたが、 先進国の農家と途上国の農家の土地所有の違い、経済力や保護予算額など、格差が余りにも大きく、 アジア太平洋の小農の連帯がすぐに可能となる状況ではないとの反論を受けました。しかし農産物の自由化の論議はアジア太平洋の農民にとっても、 日本の家族経営農家にとっても受け入れられるものではありません。これからはWTO体制の問題点をお互いに指摘しあい、 各国の状況をふまえた貿易ルールを提案しあうことが必要なのではないでしょうか。また、 同時に新潟の加茂有機米生産組合の石附徹太郎さんたちがすでにタイや中国の農民と実践されているように、草の根レベルで、 技術交流なども含めお互いを理解しあうことも必要でしょう。
 日本の交渉提案において「農業の多面的機能の尊重」が強調され、農業のもつ環境保全機能や地域社会維持機能などが訴えられています。 ケアンズ諸国の農産物の自由化万能論に対して一定の歯止めとなりうる議論ですが、多くの発展途上国の賛同を得ているわけではありません。アジア・ 太平洋諸国の状況を認識したうえで、農産物の各国の自給と貿易を行うさいのルールを考える必要があるのです。
(「消費者リポート」1198号に加筆)

 

ストップ遺伝子組み換えイネ全国集会報告

[ 2003年01月26日 レポート ]

ストップ遺伝子組み換えイネ全国集会報告
参加者700人、署名322,973名集まりました

前川隆文(大地を守る会・提携米事務局)

愛知県農業総合試験場と日本モンサント社が共同開発している、除草剤(ラウンドアップ)耐性遺伝子組み換えイネ「祭り晴」 の阻止を目的として、7月6日(土)に全国集会が名古屋で開催されました。この機会にと、7月5日(金)に、 愛知県農業総合試験場を視察に出向きました。この日の参加者だけでも優に100人を超えていました。各地の生活クラブ生協や、グリーンコープ (九州各地)、中部よつ葉会(愛知)など、全国からの人々です。TBSと日本TV(ニュースプラス1)が、 この日から月曜日の愛知県への署名提出まで、取材に入っていました。
 試験場では、解放圃場(水田)で、組み換え稲が成長しており、ラウンドアップ(除草剤)の撒布・未撒布の区画があり、 未撒布の区画には見事に雑草が茂っておりました。参加者から、「この稲が商品化されて、万が一アレルギーなど何らかの事態になった時には、 どこが責任をとるのか」という質問があり、「それに関しては、商品化がまだ現実のものでないので協議が必要ですが、 慎重には慎重を期して進めていきます」という曖昧な官僚答弁でした。
 7月6日は、名古屋市中区役所ホールを会場に、700人近い参加者を集めて、全国集会が始まりました。午前中は、河田昌東氏 (名古屋大学理学部)の遺伝子組み換えについてのレクチャーがありました。自然界で起こっている遺伝子組み換えと、 人工的遺伝子組み換えの違いについて図解があり、後者の危険性についてわかりやすく説明していただきました。人工的遺伝子組み換えについては、 科学的にも安全性が確定していないことは、科学者も知っているはずだということです。にもかかわらず、愛知県農業総合試験場のパンフレットには、 両者を同等のものとみなして、「遺伝子組み換え技術とは→遺伝子組み換えは人類の歴史」という明らかに間違った説明がなされており、 強い憤りを感じました。
問題の除草剤であるラウンドアップは、大地を守る会の基準では禁止農薬です。農水省の官僚の方々は、以前の説明会の時に、 「この薬は飲んでも安全なものなのですよ」と発言してということを聞きました(実際には飲まなかったそうですが)。 大地では米穀類を除き除草剤は禁止です。ラウンドアップ、成分名はグリホサートですが、 一部の研究機関から発ガン性の疑いがあるという指摘があります。
 吉報としては、ごく最近開催された欧州議会で、遺伝子組み換え食品排除の方向性を示す提案が可決されたということです。簡単にまとめると (遺伝子組み換えという言葉省略)
i)表示すべき食品への混入率を、0.5%にする(日本では5%)。さらに、不使用表示はできないことにする。
ii)油や調味料など、検出できな食品についても混入表示をする(日本では表示義務なし)。
iii)種子について混入無し表示をするためには、混入が完全に0でないといけない。
 アメリカと供に強力な遺伝子組み換え推進国であるイギリスでは、ブレア首相がこの提案阻止のために


強いプレッシャーをかけたそうですが、僅差ではあれ採択されたことは、非常に心強いものを感じます。
日本も強力な遺伝子組み換え推進国で、表示については全く甘い規制しか設けていません。政府への働きかけも重要な課題です。
午後からは、河田昌東氏と天笠啓祐氏(市民バイオテクノロジー情報室代表、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表)が、 遺伝子組み換えについてのかけあいトークを行いました。その中の話で印象深かったのは、遺伝子組み換えの現状が、 30年前の原子力発電の様子とよく似ているということでした。そのころは、「原子力で将来は電力料金が格安になる、 アメリカまで1時間でつく原子力飛行機が開発される」といった夢が語られていました。しかし現実の30年後は、日本とアメリカ、 フランス以外原子力発電からの撤退を表明している上に、さらに悪いことに、事故が相次ぎ、改善の兆候はなく、夢は完全にしぼんでいます。 遺伝子組み換え作物についても「増産による食糧危機回避、食べるワクチン、現代生活で不足しがちな特殊栄養分をたくさん含んだ作物」など、 科学者は現在夢を語っていますが、将来的には原子力と同じ道をたどるのではないでしょうか。
 集会後半は、各参加者からのアピールです。各地の消費者に加えて、米の生産者、 味噌など加工品の生産者も一緒に遺伝子組み換え稲の不安を訴えました。この日の15時段階で、322,973筆もの反対署名が集まりました。 この署名は、7月8日(月)に愛知県庁を訪問し、愛知県知事に提出しました。
パレードは、名古屋の中心街、栄の町を、700人で歩きました。安田節子氏(ビジョン21)のかけ声に合わせて、皆で名古屋の人々に、 遺伝子組み換え稲の危険性とそれが愛知で開発されていること、を訴えました。

全国集会呼びかけ団体
●日本消費者連盟●遺伝子組み換え食品いらない! キャンペーン●ストップ遺伝子組み換えイネ生協ネットワーク●遺伝子組み換え食品を考える中部の会●大地を守る会

遺伝子組み換え大豆栽培圃場見学記

[ 2003年01月26日 レポート ]

遺伝子組み換え大豆栽培圃場見学記~8月9日、茨城県谷和原村伊佐衛門新田

小野南海子(遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン)

 遺伝子組み換え大豆はモンサント社の除草剤耐性大豆を含む2種類が日本の一般圃場での栽培が認められています。しかし、 農家の畑で実際に栽培されているという確かな情報はありませんでした。ところが、昨年秋全国9箇所で試験栽培されたという記事が、 生活クラブ生協の機関紙にのりました。見学にきた生産者は雑草がない、きれいな畑に驚いていたとのことでした。 遺伝子組み換え大豆がもし日本で商業栽培されると、国産の大豆の生産を高めようと、 大豆畑トラスト運動をはじめ各地で自給運動を展開している生産者、消費者には国産だから安全と言えなくなる事態に陥ってしまいます。 とにかく実態を調べようとしていたところ、日経バイオビジネスの7月号に、バイオ作物懇話会と呼ばれるネットワークが形成され、 代表の長友勝利氏が中心になって、全国の農家の畑で試験栽培を行っていると紹介されていました。


 その後、北海道新聞の7月6日の紙面に「遺伝子組み換え大豆栽培、網走管内1ヘクタール」が掲載されました。 日本の最大の大豆生産地が組み換え大豆の生産地になることに危機感を覚えて、遺伝子組み換え食品いらない! キャンペーンの天笠代表が北海道で自給運動を展開しているグループに、来春の農閑期に反対集会を開くことを要請しました。
  そのやさき、茨城県で活動している方から、茨城県で試験栽培している農家の圃場見学会が行われるという情報がありました。 県出身の議員からの情報ですが、問い合わせた村役場では、そういった見学会があることは知らないとのこと、 半信半疑で地元の人に連れて行ってもらったのですが、確かに大豆畑はあり、バイオ作物懇話会の長友氏と畑の持ち主の生産者が待っていました。
 畑は2反。蒔いた大豆はモンサント社の搾油用の遺伝子組み換え大豆。畑は、 除草剤をまったくまかなかった畑と通常使われている除草剤トレハノサイトを散布した畑と除草剤ラウンドアップを1回まいた畑の3つに区切り、 雑草の発生状態の違いを見せていました。確かにラウンドアップをまいた畑には、草一つ見えず、わずかに残っていたスベリヒユも枯れる寸前で、 ラウンドアップの威力をまざまざと見せていました。長友氏は『ラウンドアップは塩や酢よりも安全で、飲んでも大丈夫』と言う。また、 日本の農業は、戦後食料増産のため大量の農薬を使い環境を汚してきた、そして今、農業の担い手が減り、 省力化のためにも除草剤1回ですむ遺伝子組み換え作物は、これからの日本農業に必要と説く。モンサント社にお願いして種をわけてもらい、 私財をなげうって全国の試験栽培のGM大豆畑を指導して回っているという長友氏の説明はなんとなく物足りなく迫力が感じられない。しかし、 その長友氏を応援するかのように、農林水産先端技術産業振興センター(STAFF) のメンバーとモンサント社の社員がいっしょに大型バスにのってやってきたのにはびっくり。確かに私たち以外に生協の人たちやマスコミも来ていて、 こっそりGM大豆を栽培している所を農家に見せるという感じではなかったのですが、後から農業新聞の記事をみたところ、その見学会は、 STAFF主催の見学会だったとのこと。国を挙げて遺伝子組み換え作物の日本での生産をもくろんでいることをまざまざと見せ付けられて、 恐ろしささえ感じました。農水省の役人は、選ぶのは消費者です、消費者が好まないものは、作らないと言いながら、 このような形で着々と遺伝子組み換え作物の開発をすすめていることに憤りを感じました。農水省とバイオ作物懇話会の関係を明らかにすべきですし、 農家での試験栽培の状況を公開すべきです。キャンペーンとしても今後農水省に要求していかなくてはなりません。
 たまたま私は8月の初め、山形県白鷹の農産加工研究会の大豆畑を見る機会がありました。もちろん有機栽培で畝間はきれいに除草され、 草丈50~60センチに成長した大豆が夏の光を浴びてさやさやとゆれていました。 私たちがほんとうに食べたいと思う農作物がしっかり作られている姿にものすごく安心感を覚えました。
 GM大豆が試験栽培されていた畑の周りでは、赤茶けた畑が広がり、豊かな実りが何も見られなかったのですが、案内してくれた地元の方は、 今農家は何を作ったら売れるのか分からない状態なのだ、と話してくれました.「低コスト、不耕起狭畦栽培、大規模栽培、省力化」 をうたう遺伝子組み換え大豆が農業に明るい未来を保証するとはとても思えません。
 試験栽培されたGM大豆は、花が咲いたら畑にすきこむという説明のとおり、2~3日後に地元の人が見に行ったら、畑になかったとのことです。


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