2001年5月 日本における遺伝子組み換えイネ状況(海外紹介用文)
日本における遺伝子組み換えイネ状況(海外紹介用文)
(2001年5月現在 GMR WATCH)
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■日本では、遺伝子組み換えイネの開発が政府、民間企業、
多国籍企業により盛んに行われている。
開発は、モンサント、アベンティスといった多国籍企業によるもの、多国籍企業と日本の大学や農業試験場などの研究機関が共同で行うもの、
日本の企業や政府研究機関が単独あるいは共同で行うものがある。
研究開発の方向性としては、従来から知られる除草剤耐性や病気抵抗性など生産上のメリットがあるものと、鉄分増強、肥満防止など、
消費者にアピールする目的のものがある。
日本での遺伝子組み換え開発、商品化に対しては、以下のような段階がある。
- 文部科学省により、閉鎖温室実験を行う確認が必要である。
- 1のステップの後、文部科学省により、非閉鎖温室実験を行う確認が必要である。
- 2のステップあるいは同等の海外での研究ステップの上、農林水産省により、隔離ほ場栽培を行う確認が必要である。
- 3のステップの後、農林水産省により、一般ほ場栽培を行う確認が必要である。
この4により、日本国内での栽培は可能になるが、食用として供するためには、以下のステップが必要である。 - 4のステップの後、厚生労働省により食品としての安全審査を受けることになっている。
現段階では、4のステップを経た遺伝子組み換えイネが複数存在するが、5のステップを経ていないため、商業生産は行われていない。
■現在、日本で開発され、
農水省の閉鎖あるいは一般栽培確認がとられている品種についての概要および状況は以下の通り。
低グルテリン「コシヒカリ」
開発企業:オリノバ社
現在の状況:一般ほ場栽培が農水省の確認により可能になっている(2000年)
オリノバは、JT(日本たばこ産業)、シンジェンダ(旧ゼネカ)の合弁会社であり、前身は旧日本たばこ産業の遺伝育種研究所である。
かつては、タバコをはじめ様々な品種開発を行ってきたが、商業用としては現在イネに特化している。
低グルテリン米は、日本酒醸造の際に不要なタンパク質分を減らし、歩留まりを上げるための「酒造用品種」として開発された。
コシヒカリは食用としてにほんでもっとも好まれる品種であり、あわせて、低タンパク食事療法用、良食味米としての応用が考えられている。
当初は、品種「月の光」「アキヒカリ」を開発をしていたが、市場性がないため、この月の光らは凍結。
コシヒカリ4系列が97年に閉鎖温室実験、98年に非閉鎖温室実験、99年に隔離ほ場試験に進められた。そのうち、
KA130とされるコシヒカリが2000年に一般ほ場栽培可能となる。食品として厚生労働省に申請されそうな品種のひとつ。
除草剤耐性(グルホシネート耐性)イネ LL(リバティーリンク)
ライス
開発企業等:アベンティス(旧アグレボ)、農業環境技術研究所、農林水産先端技術産業振興センター
現在の状況:一般ほ場栽培が農水省の確認により可能になっている(2000年)
閉鎖温室実験、非閉鎖温室実験はアメリカにて終了。99年に2系統「M-202」「Bengal」が隔離ほ場栽培。2000年に1系統品種
「Bengal」が一般ほ場栽培可能になる。グルホシネートは商品名バスタとして知られる。アベンティス社は、アグレボ社とローヌ・
プーラン社が合併してできた。スターリンクコーンの開発、販売元として知られる。開放形利用の目的は「加工用及び飼料用としての輸入」
となっている。なお、一般情報として、カリフォルニア州でグルホシネート耐性コシヒカリの栽培実験が行われていたとの報道があり、将来、
要注意。厚生労働省に食品としての申請はされていない。
除草剤耐性(ラウンドアップ~グリホサート耐性)「M-202」
開発企業:モンサント
現在の状況:一般ほ場栽培が農水省の確認により可能になっている(2000年)
6系統がアメリカでの開発を経て、99年に日本で隔離ほ場試験、2000年にはすべてが一般ほ場栽培可能になる。
品種はカリフォルニア米中粒種の「M-202」。飼料米、食用米、国内作付けのいずれも考えられる。
厚生労働省の食品としての安全性審査申請される見通し。
縞葉枯ウイルス抵抗性「日本晴」
開発企業:農業生物資源研究所
現在の状況:
日本晴16-2…一般ほ場栽培が農水省の確認により可能になっている(94年)
日本晴20-2、21-3…一般ほ場栽培が農水省の確認により可能になっている(97年)
3系統とも、90年に閉鎖温室実験、92年に非閉鎖温室実験が可能になる。日本晴16-2は、93年に隔離ほ場実験、
94年に一般ほ場栽培と、植物工学研究所(三菱化学)の縞葉枯病ウイルス抵抗性「キヌヒカリ」とともに、
もっとも早く一般栽培が可能になった品種。20-2、21-3は、96年に隔離ほ場実験、97年に一般栽培が可能になった。
いずれかは食品としての安全性確認審査申請は行われる見通しだが、商品化は見送られ、品種改良の元品種として使われる方向と考えられている。
低アレルゲン「キヌヒカリ」
開発企業:三井東圧化学、農業環境技術研究所
現在の状況:一般ほ場栽培が農水省の確認により可能になっている(95年)
1992年に閉鎖温室実験、93年に非閉鎖温室実験、94年に隔離ほ場実験と、95年に一般ほ場での栽培が可能になった。
95年に一般ほ場栽培試験を実施したものの、アレルゲンの完全な抑制にはいたらず、当面商品化は行わないとしている。
除草剤耐性(ビアラフォス耐性)
イネ
開発企業:岩手生物工学研究センター
現在の状況:農水省の確認により隔離ほ場栽培が可能になっている(98年)
97年に閉鎖温室実験、非閉鎖温室実験が可能になり、98年より隔離ほ場栽培が可能になる。現在開発中。
除草剤(ラウンドアップ~グリホサート)耐性「祭り晴」
開発企業:モンサント、愛知県農業総合試験場
現在の状況:農水省の確認により隔離ほ場栽培が可能になっている(2000年)
98年閉鎖温室実験、99年非閉鎖温室実験、2000年に隔離ほ場栽培が可能になる。6系列が平行して開発中。国産品種であり、
島根県ではヘリコプターを利用した直播適合種という栽培試験も行われている。ラウンドアップは水に弱く、
直播に使われると考えられているだけに、気になるところである。
ヒトラクトフェリン生成「コシヒカリ」
開発企業:全国農業協同組合連合会(全農)
現在の状況:農水省の確認により隔離ほ場栽培が可能になっている(2000年)
96年閉鎖温室実験、98年非閉鎖温室実験、2000年に隔離ほ場栽培が可能になる。ヒトラクトフェリンを生成する遺伝子を組み込む。
免疫力を高める効果のほか、鉄分増強にも効果があるとされる。将来、機能性食品(健康食品)として登場する恐れがある。
■そのほか、日本で研究開発が行われている品種は以下のようなものがある。
ただし、これは、GMRWatchが、過去5年間の国内発行新聞、開発研究機関等のWEBサイト、
遺伝子組み換え食品いらないキャンペーンの調査をもとにまとめたものであり、情報の欠落等があるかもしれない。
■いもち病抵抗性「日本晴」 農水省農業生物資源研究所、先端技術研究所、宮城県古川農業試験場
■いもち耐病性イネ 日産化学工業、東大
■いもち耐病性イネ 岩手生物工学センター
■いもち耐病性「富山36号」 富山県農業試験場
■イモチ耐病性イネ 国際農林水産業研究センター
■白葉枯病予防イネ 農水省蚕糸・昆虫農業技術研究所
■紋枯病・いもち病抵抗性イネ 北陸農業試験場
■紋枯病抵抗性 北陸農業試験場
■殺虫性イネ 北陸農業試験場
■殺虫性「日本晴」 滋賀県農業試験場、京都工芸繊維大学、京都大学、農業生物資源研究所
■ウイルス農薬使用の害虫抵抗性イネ 日本大学・植物工学研究所
■背丈の短い(耐倒伏性)イネ 農業生物資源研究所、名古屋大学生命農学研究科
■低温抵抗性「能登ひかり」 石川県農業短大農業資源研究所
■アルカリ土壌耐性「つきのひかり」科学技術振興事業団、東京大学
■鉄分欠乏土壌対策イネ 東京大学
■耐塩性「日本晴」 岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究室
■耐塩性イネ 大成建設生物工学研究所
■サバイバルイネ 国際農林水産業研究センター、日立製作所、ライフサイエンス研究センター
■トウモロコシ遺伝子導入C4イネ 農水省農業生物資源研究所、名古屋大学
■トウモロコシ遺伝子導入C4イネ(光合成活性) 三井東圧化学
■グルタミン酵素遺伝子導入C4イネ 植物工学研究所(三菱化学)
■抗生物質マーカーフリーイネ 日本製紙
■低アミロースイネ 三井東圧化学
■リジン高蓄積イネ 北興化学工業開発研究所
■トリプトファン高蓄積イネ 北興化学工業開発研究所、農水省
■鉄分増量イネ 電力中央研究所、農水省・農業生物資源研究所
■成人病予防(グリニシン・オポキニン導入)イネ 農水省・農業生物資源研究所、京都大学食糧科学研究所
■ラクトフェリン導入イネ(鉄分強化) AFT研究所・農水省生物資源研究所
■高シスタチンイネ 東京大学
■B型肝炎予防薬「植物工場」イネ 東京理科大、上海生物製品研究所
■血糖値調整機能イネ 三和化学研究所、日本製紙、農業生物資源研究所
■病気予防(リノール酸増加、肥満防止、抗ガン)イネ 植物工学研究所
■殺虫性イネ 東北農業試験場
■低アレルギー性イネ 名古屋大学大学院生命農学研究科
■その他イネ 農業生物資源研究所
■その他イネ 東北大学大学院農学研究科
[ 2005年05月05日 | レポート ]