2001.4.25 日本における遺伝子組み換え反対運動(海外紹介用文)
日本における遺伝子組み換え反対運動(海外紹介用文)
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日本では、1996年にアメリカ産遺伝子組み換え大豆の輸入がはじまりました。同年、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン(NO! GMO Campaign)が、
日本の消費者運動団体、生産者団体、生協、有機農産物流通団体や個人により立ち上げられ、国内の生産、
海外からの輸入をストップさせる運動、当面の課題として表示制度をつくる運動を展開しました。
■表示制度
日本は、世界最大の食料輸入国であり、大豆の国内自給率が3%であり、穀物メジャーやアメリカ政府の意向が強く反映します。日本政府は、
遺伝子組み換え食品を「実質的同等」として、表示や厳しい安全性審査を行わないという姿勢を見せていました。
しかし、同キャンペーンをはじめ、各地の消費者団体、生協らが中心となって、表示を求める署名活動を行い、1998年半ばで、
厚生大臣あてに120万以上、農水大臣あてに100万以上の署名が届きました。さらに、地方議会が表示を求めるなどの意見書を、
厚生大臣あてに1100以上、農水大臣あてに900以上寄せられました。日本の地方議会は3300ほどであり、
約3分1の地方議会が表示を求めるなど、遺伝子組み換え食品になんらかの規制を求めたのです。これはかつてない動きでした。しかし、
国民の署名あるいは、地方議会の意見書に、なんらの法的拘束力はありません。しかし、世論の高まりに、
政府は農水省が表示問題を検討してきました委員会で、1998年、「表示義務」と「表示不要」の2案を提示します。
そして、最終的に世論に押される形で、農水省の「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)
が1999年7月22日に改正され、遺伝子組み換え食品について表示することが決まりました。2000年3月31日に
「遺伝子組み換えに関する表示の基準」が告示され、表示制度がスタートしました。この表示制度は2001年4月1日以降に製造、加工、輸入、
販売されるものから適用されています。
この表示制度は、日本の市民運動の大きな成果です。
ただし、この表示制度には欠陥もあります。食用油や醤油など、最終製品で遺伝子組み換えのDNA判別ができないものは不表示となったのです。
市民側は、原料の追跡による分別と表示を求めています。
■国内生産阻止
日本での遺伝子組み換え作物は、食品として、大豆、菜種、トウモロコシ、綿、ジャガイモが認められました。これらのうち、ジャガイモは、
植物防疫上の理由から、冷凍、乾燥物しか輸入が認められていないため、輸入量は限られます。大豆、菜種、トウモロコシは、畜産飼料として、
また、食用油の原料として大量に輸入されます。これらは、日本においてきわめて自給率の低い作物です。とりわけ、大豆は、醤油、味噌、豆腐、
納豆、大豆油のように、日本の食生活で伝統的に欠かせない作物であり、摂取量の多い作物です。
また、日本では遺伝子組み換え作物の栽培が行われていないこともあり、遺伝子組み換え食品いらないキャンペーンや、有機食品流通団体、
生協らは、遺伝子組み換えへのオルタナティブな取り組みとして、さらなる国内自給の向上を提案しました。
具体的には、自給率の低い大豆を生産者に作ってもらい、それを消費者が必ず購入することで、大豆畑を増やす「大豆畑トラスト」運動などです。
また、「国産品=非遺伝子組み換え」をアピールし、農業生産者には遺伝子組み換え作物を栽培しないよう働きかけを強めました。
一方、日本では、食品会社のカゴメ(ケチャップ、トマトジュースメーカー)、ビール会社のキリン(ビール、酒類、ジュース、一般食品)が、
遺伝子組み換えによる日持ちトマトの国内商業生産を目指していました。
遺伝子組み換え食品いらないキャンペーンを中心に、反対運動を行い、カゴメは早々に商品化を中止すると発表しましたが、キリンは、
商品化への準備を進めました。そこで、キリンの主力製品であるキリンビールの不買運動なども行い続けました。キリンは、ついに、
日持ちトマトの商品化をあきらめました。
■国内食品企業の方針転換
さらに、キリンや他のビールメーカーなどは、ビール製造の補助原料となるコーンスターチを非組み換え品にするなど、
市民の遺伝子組み換え食品への反対に合わせる動きを見せます。
大豆製品である豆腐については、表示制度がはじまる以前より大手の太子食品が「遺伝子組み換えではない」ことを明記し、
業界内で議論を起こします。はじめは、太子食品を非難していた流通業界、製造業界も、やがて、
非組み換えであることで製品が売れることに気づき、遺伝子組み換えではないことを自主的に表示しはじめました。
輸入穀物市場でも、97年、98年当時には、分別が困難として商社らは難色を示していましたが、ビールメーカーなど、
大手ユーザーの要求により、非組み換え大豆、トウモロコシなどを分別して輸入する非組み換え市場が成立しています。
■キャンペーンの検査運動
遺伝子組み換え食品いらないキャンペーンは、1999年7月から国内の食品や飼料の遺伝子組み換えDNAを検査する「検査運動」
を行っています。すでに、コーン製品から未承認組み換えトウモロコシ遺伝子が検出されています。
アメリカでスターリンクコーンのタコスへの混入が問題になる以前に、国内流通の飼料からスターリンクを検出しており、
アメリカのスターリンク状況をふまえて、スターリンクのみの調査を食品で行ったところ、1種類よりスターリンクが検出され、
国内食品でもスターリンクが混入していることを明らかにしています。
この結果に対し、日本の農水省、厚生労働省は、無視、あるいは、批判的な態度を続けています。
■遺伝子組み換えイネへの運動
2000年冬、日本の消費者生活協同組合のうち、有機農業や環境問題に積極的な3つの生協連合が、共同で、「ストップ!
遺伝子組み換えイネ生協ネットワーク」を設立し、反対運動を開始しました。3者は、グリーンコープ連合(GREEN CO-OP
CONSUMER'S CO-OPERATIVE UNION)、生活クラブ生協連合(Seikatsu Club Consumers
Cooperative)、関西生活協同組合連合会で、組織消費者数62万人、提携しコメを栽培する生産者数3800人におよぶ組織です。
ここでは、署名活動や啓蒙活動、国内での栽培を行わせないよう働きかける運動などを続けています。
また、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンも2000年11月21日に遺伝子組み換えイネいらない世界行動を行い、
2001年3月には、WTO/FAOのコーディックス委員会バイオ食品特別部会に合わせ、韓国、フィリピン、インド、
マレーシアなど海外のNGOとともに反対運動や集会を行いました。
日本では、このように、消費者運動、有機農業生産者、生協、有機農産物流通団体などが中心となり、また、環境保護団体も加わって、
広範な遺伝子組み換え反対運動が繰り広げられています。
(2001.4.25 GMR Watch Center)
[ 2005年05月05日 | レポート ]