体細胞クローン家畜パブコメは09年4月10日まで

「体細胞クローン家畜由来食品についてのパブリックコメント」

09年3月23日
日本消費者連盟 事務局長 山浦康明

3月12日、食品安全委員会(食安委)は体細胞クローン家畜由来食品の評価書を採択しました。これは08年5月から食安委ワーキンググループが討議して09年2月24日にまとめたものをほぼ踏襲したのです。この評価書では、クローン家畜の死産、病死など体細胞クローン技術の欠陥からくると思われる安全性の問題を充分検討することなく、6ヶ月間生き延びた家畜は健全であると断定し、生命操作がどこまで許されるのか、家畜改良には動物福祉を考慮するべきではないのか、といった事柄には一切答えていません。かわりに体細胞クローン家畜とその後代(子や孫など)の食肉や乳製品を既存の家畜のそれらと比較するために、ラットやマウスに給餌したところ、異常がなかった、というばかりです。この安全性評価は実際に日本でのクローン家畜の病死の原因などを調べたのではなく世界の研究機関のデータを調査し、都合のよいものだけを引用するというものです。
このクローン技術は生産者にとってもメリットはありません。銘柄牛の精子を作りそれを畜産農家に販売しようというのでしょうか? しかし農家は生まれてきた体細胞クローン牛を育てる作業は既存の牛と同様ですし、クローン牛の精子の値段は途方もないものになるでしょう。消費者が食べたくないという声が強いなか、銘柄牛だからといって人気が出て高く売れるとは限りません。消費者にとっても、健全に育つ牛が少ないという現実の中でいくら政府が安全だと言っても、食べる気にはならないでしょう。
ただし、この安全性評価は米国産の体細胞クローン牛の後代牛の食肉などが日本市場にに入ってきた時に、食品衛生法上、違法とはならない、という効果はあります。食安委のパブリックコメントの締め切りは4月10日です。みなさん、欠陥だらけの体細胞クローンに「ノー」の声を挙げましょう!(「消費者リポート」1435号より)

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