強制減反への逆行

米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針(平成20年3月26日公表)
http://www.maff.go.jp/j/soushoku/keikaku/beikoku_sisin/h200326/

が、今年も発表された。
平成20年は、「強制減反への逆行」の年となる。
これまで、農水省は、以前の強制減反をやめ、平成19年度には基本的に農協を中心とした「生産者自身の判断」で米の生産調整を行うような方向性にあった。ところが、ここにきて、急に舵を切り替え、生産調整を強制的に行うような体制をとっている。ただし、政策による強制であると言われないよう、あくまで、生産者団体や流通団体などの要請を受け、合意して取り組む形を強調しているが、実質としては、目標未達成の都道府県、地域、農業者に補助金などのカットというペナルティなどを課しており、強制色が強い。
一方で、日本国民は米を年々食べなくなっており、人口減少や高齢化も合わせて、国内での需要量は確実に減っている。国際的には穀物不足が起きている中で、異常な状況である。
強制減反を行わなくても、販売を目的にした農業者で米の販売力を持たなければ、米の生産をやめざるを得ないだろうし、主たる目的が販売ではなく、土地の維持や保全、あるいは、縁故米に置いた農家は減反や価格とは関係なく、自らの判断を行うだろう。
強制減反しなくても、米については問題がないはずである。
もはや現代的な意味を持たない減反政策に多額の予算をつぎ込むのは愚の骨頂である。

ところで、昨年秋からずっとバターが不足している。
輸入しようにも、国際的に不足している。
国内では、過度な生産調整を行ったために、乳牛の数が急激に減り、生乳生産量が減っている。「牛は蛇口をひねるのとは違う」と酪農家がテレビのインタビューに答えていた。
農産物の強制的な生産調整で生産者も消費者も幸せになれるのだろうか?